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第一章 第1話 ドックタグ

一之瀬和樹は周りから見れば今の時代でよく言う

「ごくフツーの」「平均な」「文系?」という言葉が似合う

本人も御希望な普通の受験生。


「ん?これなんだ?」


しかし彼もやはり「普通」「純粋」が希少な現代のオタクっ子であった。


「やべぇ!これドックタグじゃん!アメリカのか!?自衛隊のか!?」

 

生粋のミリタリーオタクである。


「ん?ネームは、ええっと・・Kazuki Ichinose・・?

俺の名前じゃね??何故に?」


っと拾ったドックタグを疑問に思いながら

そのキラキラと金属製の個人認識票ことドックタグを右手に掴みながら

和樹は「ごく普通」の「いつも通り」の学校への道をまた歩き始めるのであった。



そんな普通な登校がそれで最後となるのを知らずに・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


和樹の学校、市立ショウエン中学校は全校生徒362人の

古いと言えば古い、規模もそれなりなありふれた学校だった。

そんな学校の彼らの話題はとあることに集中していた。


「何故あなたがわたくしと同じネックレスを付けているんですの!?」

ですのですわ口調のこの見た目お上品なお嬢様の名は吉田 結菜と言った。

茶髪のポニーテールで、どうも口調と見た目がマッチしていない。

しかも極度な上がり症でちょっとでも緊張すると何かしらやらかす。


「私がどんなアクセサリーしてようと勝手じゃん?って言うかこれ『どっくたぐ』って言うのよ。知らないの?」


そんな美香を無知と煽っている黒髪長髪の見た目(だけ)大和撫子は

篠崎 美香。見た目(だけ)を見れば文字通り

和樹の大和撫子のイメージにスッポリなのだが・・


「そ、それくらい知っていますわよ!逆にあなたが知らないと思って言い換えましたの!」


「ふ~ん?知っていたかどうか怪しいわねぇ?」


っと知ったかぶりをするお嬢様に追撃を加えている。

この女、他人を弄り翻弄し振り回すのが大好きなドSであった。

現に結菜の事を煽って楽しんでいる。


「ムキーッ!は、腹が立ちますわ こ、この女!」


顔が真っ赤になる結菜。


そこに止めに入る声が。


「まぁまぁ二人とも。」


この止めに入った男子の名は横田 幸弘。

全学年でもトップ20に入る程と頭がそこそこ良く

律儀な優等生である。また、面倒見が良く

和樹も宿題や授業について教えてもらっていた。


「このドックタグ付けているのはどうやら全校生徒みんならしいしさ。

どうしてか解らないけど。 とりあえずケンカするのやめないかい?」


そう。このドックタグ、何故か全校規模で皆が首からかけている。

朝から「お前もか」「なんでお前もかけてるんだよ?」的な

やり取り会話が絶えない。

しかし


「だってこの女が!」


「ちょっかいかけてきたのそっちでしょ?」


「まぁまぁ・・」


「こんのぉ!」



「どうして皆が?」というのはどうでも良いかのように

口喧嘩続行する2名と止めにかかる一名である。

特に結菜は頭に血が上るとキャラが壊れるらしく口調が荒くなっている。


そこにタイミングが良いのか悪いのかガララッと扉の音を立てて

教室へ入ってきた和樹。

気付いた近くのクラスメイト達に挨拶されそれに返す。

周囲も誰が入って来たのかと一瞬注目するが確認すると自分たちの会話へと戻る。

和樹もカバンを置き2名が口喧嘩をし1名が止めるグループに入り

挨拶がてら口を開く。


「またやってんのか 飽きないねぇ」


そう、この光景はこのグループのデフォルトである。


「だってこの女が!」


(もう少し上品に言えないのかねぇ・・平常な時のお嬢様キャラとは大違いだな)

毎度のことだが結菜のキャラの壊れ具合はいつ見ても面白い。

断じてそう思っていることを表面には出さないが。


「そのセリフ2度目よねぇ・・」


呆れたように美香がコメントを漏らすように言う。

漏らすようにといっても絶対わざとである。


「クーッ!」


案の定、結菜の顔がさらに赤くなる。

馬鹿にされていることを悟ったようだ。


「まぁ和樹も来たことだしね?この辺にしないかい?」


「幸弘も大変だな んで今回は何が原因?」


いつも2人を止めている幸弘に労いの言葉をかけつつ

いつものように原因を聞く。

原因を聞いて「そんなことでかやるか」「マジかよ」っと

面白がっているのは秘密である。


しかし今回その返答は返ってこなかった。

代わりに


「ん?和樹も付けてるんだ。 そのドックタグ。

それなんだけどね何故かクラス全員付けているんだよね。」


確かに周りを見ると胸元にドックタグが光っているのがチラホラ・・・

どころではない。ほぼ全員付けていた。

これには和樹も驚いた。


「ふ、不思議なこともあるもんだな。」


「僕の場合、朝家を出るとき玄関先に落ちていたんだ 何故か無性に身に着けたくなってね。他の人も話聞く限り大抵そんな感じだったみたいだね」


「ますます不思議になるな・・」


「そうですわよね!どうしてこんな女まで付けているのか不思議ですわよね!」


(話してるとこ、そこじゃないぜ・・)

結菜の方向違いな発言にツッコミたくなったが心の中だけにしておく。


「別にみんな付けているなら私がつけていても不思議じゃないでしょうに」


「ムーッ!」


っといつも通りのメンバーで会話(口喧嘩含む)をしていると

キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴り朝の学習開始を告げるのであった。


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