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The Vampire Castle  作者: 二上 ヨシ
The Ground
26/81

st.ⅩⅩⅤ    The Promise

「ソフィア! ソフィアぁあああっ! くそっ!」


 目の前で姿を消したソフィアに、レオナルドは口元を震わせ、落ちていた青白く光るピラミッドを手に取った。


「ど、どうしようレオ君! まさかこの“約束の塔”の中に?」

「これは重要な儀式で用いられる、時空と繋がるピラミッド。これに誓いを立てることで、未来永劫その契りを守る意思を示す。だがこれを魔力のない人間が触れれば永遠に時空をさまよい、いずれ魂だけになって一生苦しみ続けることになる」


 ロキはその言葉に真っ青になり、口を金魚のようにパクパクとさせていた。


「あ、そ、そうだ! それが時空に繋がってるなら、そこへ魔力を流し込んで術で探索すれば」

「無理だ。今この瞬間の一秒前にいるのか、昨日なのか、それとも数百年前なのか何万年前なのか。あるいは未来かもしれない。そんな膨大な範囲から彼女を探そうとしても、こっちの魔力がもたない!」


 砂漠から一本の針を見つけそうというほど困難な事態に、レオナルドは奥歯をギリッと噛み締めた。魔術で床に何か術式を書き始め、書いては消し、書いては消して必死に解決策を模索した。


「ど、どうしようレオ君っ! このままじゃソフィアちゃんが……ソフィアちゃんが! どうしようっ! ねえ、レオ君! レオ君ったら!」

「ウルサイ、黙っててくれ!」


 限りある魔力の中でどうやって彼女を探し出すのか、途方もないその術を求めた。

 いや、これは探している“ふり”なのかもしれない。なぜならそんな方法など存在しないだろうことは分かっていたから。以前にも何度かこのような事故が起こったことがある。だが無事に戻ってきた者など誰一人としていない。

 レオナルドは悲惨な末路を予期し、頭をかきむしってイライラとした様子で舌打ちした。


「チクショウ! どうすればいいんだっ、クソ!」


 めったに使わない罵り言葉を吐いて床を叩くほど、混乱に頭がかき乱されていた。


「落ち着け、レオ」


 そんな彼の元へ静かな声が降り注いだ。

 そっと声の方を振り仰ぐ。快晴の夜空のような、静寂と奥みのある墨染めの瞳の男が凝然とそこに立っていた。


「兄上……」


 何人をも畏怖させる男が、凛として扉の向こうの月を負う。風に黒髪が揺れた。


「私がやる」


 ゆっくり屈むと床に掌をつけた。ピラミッドを中心に山、いや国すらも覆おうかというくらいに巨大な魔法陣が一瞬で構築され、あたりを金色の光が包んだ。

 レオナルドには兄のしようとしていることがすぐに分かった。彼女を見つけるには迅速なスピードでもって広範囲を一気に探索すればいい。彼女が再びどこか別の時空へ飛ばされる前に。単純なことだ。 だが――


「兄上、いくら兄上でも無理だ。これほどの魔術を使い続ければ体への負担が大きすぎるる。それに魔力がなくなれば、体が動かなくなるだけじゃすまないぞ!」


 今更言われるまでもないことなのか、ザルクは無言だった。あたりはこれほどの明るい色に包まれているというのに、その双眸の闇色は何にも染まらない。


「兄上! だったらオレがやる!」

「お前では無理だ。魔力が足りなさすぎる」

「だからって!」


 本気ならば、なおさら止めさせなければならない。彼はただのヴァンパイアではないのだから。


「兄上! 兄上は――」

「私は彼女の命を奪いかけた」


 ザルクは言葉を被せるように口を開いた。悲痛な表情に一瞬顔をゆがめる。あの日のことは後悔してもしきれない。冷たい凍りつくような戦慄の過去。なのに彼女はもう、償うことすら許してはくれない。

 だが、すぐに目に力が戻った。


「だから今度は、この命をかけてでも彼女を護りたい」


 レオナルドはそれに一瞬返す言葉に詰まった。


「命をかけてって……自分の立場分かってんのか?」

「王はいなくなっても誰かが代わりをやれる。だが、彼女の代わりはどこにもいない。違うか」


 その張り裂けそうな表情から、額から流れ落ち始める大量の汗から、兄の彼女に対する気持ちが痛いほどに伝わってくる。

 確固たる覚悟を持っていた。自分の命よりも彼女を優先させようという。


 ヴァンパイアの国王がたった一人の人間のために命をかけるなど、ばかばかしいことこの上ない。彼が与える億単位の者たち、万単位の国々への影響を考えれば当然ありえない。王が変わることで、 この国や周辺国の情勢は一変する可能性とて否定はできない。

 だがレオナルドは出しかけた言葉を飲み込んだ。

 “あなたは王なのですから”という一言で、自身の兄がどれほどのことを我慢させられ、そして耐えざるを得なかったかを知っている。自分が遊んでいる傍らで、どれだけの重責をたった一人、担ってきたかを知っている。


――『遊びたい? 何をおっしゃっておられるのですか、あなた様はこの国の王なのですよ? いいえ、レオナルド様はよいのです』

――『陛下、そのようなことをしていては立派な王にはなれませぬぞ!』

――『我慢なさってください。王という立場をお忘れなく』

――『それくらいできて当然です。国王なのですから』

――『陛下』

――『陛下ッ!』


 これは王であるはずの彼の、とても個人的なわがままだった。

 だが愛する人を救いたいと願う彼を止めることなどできなかった。

 彼を苦しませ蝕み続けてきたであろう“王なのだから”という言葉を使って。その言葉にさいなまれ苦悩し続けてきた彼を、誰よりも間近に見てきたのだから。

 全身から汗を流して歯を食いしばる兄の姿に、レオナルドは諦めたように息を吐く。


「この術は本来、体の中の異常や異物を探すための魔術。兄上の場合、医療系はほとんど使えなくなってるってこと忘れてるんじゃないよね」

「レオ……」


 消えかかっていた魔法陣にレオナルドがそっと触れた。金色の光が勢いを取り戻す。随分と楽になったのか、ザルクはホッとしたように汗をぬぐった。


「でもオレがフォローできるのは僅かな調整部分だけ。あとは――」

「分かってる」


 繊細な技術が必要なこの魔術。攻撃系や防御は力任せに何とでもできるが、こればかりは。

 レオナルドがサポートしてくれると言っても、ほとんどは自分で行わなくてはならない。

 震えだす指先に長時間は持たないと察した。“頼む”と強く唇を噛み締める。

 胸騒ぎがするのだ。早く見つけなくてはと。

 気の遠くなるような時間の中から、彼女を探す。見つけられるかどうかなど、ある種の賭けだった。魔力を空にしたところで、彼女を連れ戻すことなどできないかもしれない。自分は無駄に命を落とすかもしれない。

 それでもいい。彼女のためにできうる全てのことをしてやりたかった。たとえもう会えないとしても。

 もちろん償いのためではない。彼女を誰よりも深く愛しているから。


 こんなことになるのなら、きちんと告白くらいしておきたかったとザルクは思った。力が目減りするのが手に取るよう分かる。骨が溶けてゆく感覚に似ている気がした。

 レオナルドは脈を取るかのようにザルクの手首を握った。


「兄上」


 紺碧の瞳が悲痛に歪む。ザルクの表情からは、完全に色が抜け落ちていた。唇は青ざめ、体が寒さに震えだしている。吐き気をやっとのことで抑えていた。


「兄上、これ以上やると!」

「あとどれくらいもつ」

「だからもう限界だって言ってるだろう!」

「私の体はあとどれくらいもつのかと聞いているんだ!」


 レオナルドは目を閉じて唇を噛み締め、


「三分だ」


 三分以内に彼女を見つける。

 それ以外に結末など無かった。早くしなければ、今探し終わったところに彼女が飛んでしまうかもしれない。今やるしかないのだ。彼女が魂だけになってしまう前に。


「どこだ! どこにいる! ソフィア!」


 嫌な予感が胸をかき乱す。彼女が遠くへ行ってしまうような。

 額から落ちた汗がパタパタと床へ染み込んでいった。頼む、もう二度と傷つけないと誓ったのだ。絶対に護ると約束したのだ。


「うう、大王様ぁ……」


 ロキは泣きながら二人を見守る。自分がきっかけで招いてしまった事態に怯え、鼻水を垂らしていた。


「ごめん、ごめんねぇっ」

「ロキ! うるさいから黙ってろ!」

「だって、レオ君、お母様にも怒られちゃうよぉっ!」


「一緒に謝ってぇ」と喚き散らすロキの言った言葉に、ザルクは何かを思い出したかのように“もしや”と力を込める。

 魔力はもうあと一分も持たないだろう。


「ねぇ、お前ホント殴ろうか?」

「レオ君、大王様、ごめんねぇええ!」

「だから! うっさいっての!」

「見つけた!」


 その声に弾かれたように振り返る。


「兄上早く!」

「分かっている!」


 レオナルドが彼女のいる時へと繋ぐ扉を開ける。本来過去や未来への行き来は禁止されているが、この際仕方あるまい。

 ゴゴゴゴと床に現れた門が下へ大きな口を開く。白や黒や赤や黄の混ざった渦が不気味に待ち構えていた。


「オレはここで扉を開け続けていなきゃ。兄上!」

「ああ。もし私に何かあったら、レオお前が――」


 下から吹き上がる風に髪を乱しながら、ザルクは言葉を紡ぐ。


「勘弁してよ。オレはこの国の王なんて仕事、絶対いやだからね」


 そう笑みを浮かべて頷き合い、扉の向こうへと飛び込んでいった。



****


「ソフィア! ソフィア!」


 扉の中を吹き荒れる渦を抜けた先には、霧深い森があった。このあたりは見覚えがある。幼い頃父や母と来た思いでのある場所だ。母も妊娠中、ここで静養していたと聞く。


「ソフィア!」


 いつもなら山だろうがなんなく駆け回れるが、今は体中に鉛がついているようだった。それに胸を強く圧迫されていつかのように息苦しい。だが休んでいる暇などなかった。彼女が危険な目に遭っているかもしれないのだから。


「ソフィア! ……これは」


 無数の足跡を見つけた。このひづめの形は――

 このあたりはかなり安全なはずだが、魔界は魔界。百パーセント保障されているわけではない。

「まさか」と額からやけに粘り気のある汗が流れた。急いでその後を辿って走る。


「……ソフィア」


 背の高い草を掻き分けた先に、たくさんのペリュトンに囲まれた彼女がいた。服はボロボロで髪も乱れ、頭を抱えて一人恐怖に泣いていた。


「陛下ぁあああ!」


 一頭のペリュトンがその鋭い角の先を突き立てる。


「ソフィアッ!」


 足に力を入れて踏み込むと、半ば滑り込むようにして彼女を抱きしめ、襲い掛かるペリュトンと彼女の間ギリギリに体を割り込ませた。

 肉を突き刺す鈍い嫌な音が響き、鋭い痛みと生暖かい液体がじわじわと伝っておりた。


 腕の中に抱いた彼女は、恐ろしさで意識を失ったらしい。まるで人形のようにぐったりと体を預けていた。そしてザルクのその胸からは、血塗れた鋭い角の先が飛び出ている。


「ぐ……っ」


 その先が彼女に当たらないように配慮しながら、体を起こしてペリュトンの頭を押した。動くたびにナイフでえぐられるような痛みが走る。ズチャッと角が抜けると共に、生暖かい血が小さな滝のように噴き出した。足元に赤い血溜まりができあがっていく。

 普段なら何でもない怪我だが、かなり魔力の失った体には随分と堪えた。口へ湧き上がってくる血をペッと横へ吐き出す。


「去れ」


 彼の姿を見ただけで怯えたように硬直していた怪物たちは、途端にワナワナと震えだした。


「行けっ!」


 一斉に羽音を響かせ、ペリュトンは我先にとクモの子を散らすように真っ白な天空へと飛び去っていく。いくら今の彼がひどい傷を負っているといえど、彼らにとってはとんでもない敵であった。

 再び訪れた静寂の中、腕の彼女を見つめた。


「ソフィア、間に合って良かった」


 意識のない彼女の頬をなでながら優しく呼びかけ、出血がないか確かめた。掌や膝を少しすりむいているようだが、後はなんとも無さそうで胸をなで下ろす。彼女の顔についていた汚れ涙を丁寧に手で拭ってやった。


――『陛下ぁあああ!』


 なぜ彼女はあの場で自分を呼んでくれたのだろう。一番に信頼しているのは、てっきり弟の方だと思っていたのに。

 いや、いいほうに考えるのはよそう。何かほかに理由があるに違いないとザルクは思った。


 ふと愛らしい唇が目に入って顔をぬぐっていた手が止まった。薄く開いた艶やかな色を放つそこから目が離せなくなる。シェルピンクの唇はハチミツを塗ったようにみずみずしく、まるで熟した果実のようだった。

 目を少し下へやれば、丸みを帯びた胸のふくらみが優しくドレスを押し上げ、スカートなどかなりきわどいところまで破れていた。隙間から見える柔らかそうな白い太ももが、まるで“噛みついてくれ”と自分へ訴えかけているような気がする。

 頬を染めてコクッと喉を鳴らした。


「や、やはりかわいいな」


 彼女を前にして心臓が激しく、うるさいほどに鼓動する。

 我慢ができない。呼吸も心なしか荒くなっていた。

 そっとスカートの破れ目から手を入れる。


「だ、だめだ!」


 寸でのところで手を止め、何度も頭を振った。

 だが夢にまで見た彼女の体が、図らずも今、自分の腕の中にある。そんな状況と想像以上に柔らかな体に興奮し、ますます体が熱くなった。

 彼女の薄く開いた唇に気が高ぶり、瞳を閉じて吸い込まれるように顔を近づける。


「ソフィア」


――『もう、全てを終わりにしてください』


 唇が触れあうほんの少し手前で動きを止める。


「あああ! 何をやっているんだ、私は!」


 意識のない彼女をどうかしようなどとは、と邪心を振り払うかのように地面に額をぶつけた。

 しかも彼女とのあれやこれやの妄想に興奮しすぎて、気づけば傷口からドクドクと血が溢れ出している。我ながら愚かだとため息をついた。

 だが狂おしいほどに愛している女性を腕に抱きながら、危うかったとはいえ耐え抜いた自分を褒め称えたかった。ぶつけた額は少々痛むが。

 カサッと草を踏む声に顔を上げる。目の前に現れた黒い髪の女性に目を見開いた。


「す、すみません。彼女、大丈夫でしたか」


 ザルクの腕の中のソフィアを心配そうに見つめた。


「あなた様の恋人でしたか。目が覚めたらどうか彼女にお礼を」


 ゆっくりとお腹を撫でた。


「強く優しい女性です」


 そう、確かに彼女は強い女性だ。ザルクは腕に抱いたソフィアの顔を見ながら、処刑日のことを思い出していた。力はないが、心はきっと自分よりもずっと。

 自然と笑みがこぼれた。


「あなた様もヴァンパイアなのでしょう。お名前を伺っても?」


 ザルクはソフィアを抱いて立ち上がった。今まで何の音も立てなかった森を、心地よい穏やかな風が吹きぬけてざわめく。


「今はあえて。いずれあなたの前に現れるでしょうから。……ありがとうございました」


 彼女はそう言って立ち去るザルクに軽く首をかしげ、そのうち何かを悟ったようににっこりと柔らかく微笑んだ。薬指の指輪を輝かせて。


****


「兄上、ソフィアは!」


 現れた兄の姿に、レオナルドは声をあげた。


「無事だ」


 彼女の体をレオナルドへ預けると、よろよろと立ち上がる。


「兄上、出血してるじゃないか」

「問題ない」

「いいから見せてみろよ。魔力の抜けた状態でのそのケガは――」


 ザルクは胸を押さえたまま扉へ向った。


「レオ、このことは彼女には言わないでくれ。彼女に聞かれたら、お前が助けたと言ってくれ」

「何? 死ぬかもしれないような危険まで冒しておいて、そのことは言うなってか?」


 信じられないと首を振る。


「その方が彼女にとっていいんだ」

「ちょっと格好つけすぎじゃないの?」


 冗談めかしてそう言うレオナルドに、ザルクは足を止めて顔だけ少し振り返った。


「レオ、彼女を頼む。私が初めて心底惚れた女性なんだ。もう傷つかないよう見守ってやってほしい。どうやら……私ではダメらしいんだ」


 そばにいてはいずれまた傷つける。


「兄上」


 振り返った兄の表情がハッとするほどに透き通っていて、レオナルドは目を見張った。体を引きずりながら立ち去るその痛々しい背中を見続けることができず、目を閉じて俯いた。


****


「よっと」


 ソフィアを馬車へ寝かせながら、レオナルドは軽く息を吐いた。自分の上着をかけてやり、そっと額を撫でる。扉を閉めようとするロキに「あ……ロキ、ちょっと待ってて」


「どこ行くの、レオ君」

「忘れ物だ。彼女に何かしたら歯を全部へし折るからな」


 その脅しにロキは顔を真っ青にし、約束の塔を見せながら絶対にしないと誓った。


 レオナルドは先ほどの古い建物の扉を開け、ゆっくりと中へ歩を進める。風でちょうつがいが妙に甲高い声を上げ、生暖かい空気があたりを包んだ。

 黒の絨毯を一歩一歩踏みしめ、説教台の上に乗っていたグラスを見おろす。一つは割れてしまっているが、もう一つは――

 そばに置かれてあったレッドロット(血液採取器具)を手に取り、ポチャッとグラスへ浸した。数度かき混ぜ、ワインに濡れたままそれを引き抜く。ガラス管に溜まった鮮血を見つめ、目を細めて笑った。

 軽く唇を舐め、それをゆっくりと先を口の中へ差し込み、血液を流し込む。滴ったワインが口角からアゴを伝い、まるで血のように緋色の筋を作っていた。

 旨そうに飲み下す音が冷たい壁に反響する。


「はぁ……」


 熱く切なげな吐息を吐き出し、血のもたらす快感に酔いしれた。

 電流がかけめぐって頭を突き抜けるような、体の芯を優しくくすぐるような、全身が熱くたぎるような感覚。器具を捨て、よろよろと歩いてヒンヤリとした壁に背中をつけた。


「“傷つかないよう見守ってやってほしい”? いいよ、兄上。オレが彼女を護ってあげる。その身も心も、そして彼女の中を流れるこの甘美な血もね」


 真っ赤に染まった美しい歯を見せ、レオナルドは肩を震わせて笑った。艶やかな金色の髪の間からは、緋色の瞳がのぞく。

 彼の笑い声は風のざわめきと重なって、不気味に闇夜を揺さぶっていた。


あとがき

 レ、レオくーん……!?


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