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The Vampire Castle  作者: 二上 ヨシ
The Ground
17/81

Side Story:登場人物人気投票結果発表

 *本編同時更新しようとしたけど、間に合いませんした……(ーдー;)

 ご協力いただきました投票の結果発表を行います。「世界観壊したくないわぁ」という方や「興味ねぇ~」という方はスルーの方向でお願いします。「見てやろう」という方は、こちらの【招待状】をお持ちの上、ヴァンパイア王国ヘルグスティンキャッスルの特別ホールへどうぞ。特別優待席をご用意しております。ああ、どうかドレスコードにご協力を。では行ってらっしゃいませ――

 この一年中暗闇に包まれているという世界。月は落ちてくるかと思うほどに大きく、地面には影も伸びている。小さなランプを持った精霊に誘われるかのように、大勢のモンスターたちが集う会場へ足を踏み入れた。時折聞こえる狼の遠吠えに、「雰囲気あるなぁ」と一人つぶやいた。それに鋭く反応した緑色の顔の女性は、頬紅を塗りたくりすぎてひどい様になっていた。笑ってはいけないと堪えながら、ぎこちなく頭を下げる。


 遠い遠い山の向こうで雷が落ち、そのライトニングが一瞬建物を白く照らした。パルテノン神殿を思わせるような、大きくて美しい建物。ただ柱はイオニア式で、柱頭が羊の角のように渦を巻いていた。全体的にツタがたくさんからみついているが、この世界ではそれもお洒落に見える。実際わざと掃除していなさそうだ。

 屋根には、背中に翼を持った恐ろしい顔のガーゴイルが真っ赤な眼でこちらを見すえ、喉をクルクルと唸らせていた。こういうのは大体石像だけど、本物なのはさすが。襲い掛かってこなければいいけど。


「あの、お客様? 招待状を」


 いけない、壁のあまりに精巧な悪魔の彫刻に見とれていた。真っ黒な下地に銀文字で書かれたインビテーションを手渡した。正装した受付のミイラに「ようこそ」と座席表を渡されて入場を許される。口もとの包帯が僅かに動いたから、きっと笑ったんだろう。


「ああ、じきに始まりますから、お急ぎください」


 こちらの背中に向かって忠告するその声に気を取られ、誰かとぶつかりそうになった。


「おっと、失礼」


 相手が先にそう言った。謝罪にシルクハットを取った彼は顔がない。だが突如ニパリと真っ赤な三日月を描いて笑う彼に、ああ人間をからかっているのかと解した。まあ正直ちょっとびっくりしたから、きっと彼の思惑は成功したんだろう。けれど表情には出さなかったから、向こうさんは少しがっかりしているようだった。今さら気を遣って“わあ!”とか言っても……遅いか。


 二重扉の前に佇むカメレオン男の傍を抜けようとすると、小さな眼を光らせて止められた。それがまるで大統領のSPさながらだったものだから、ヒヤッとした。でも座席表を見せると「失礼いたしました。どうぞこちらへ」と誘われる。案内つきとはありがたい。受付で手渡された座席表は、これまた不親切にも見たこともない文字で、一体どこか分からなかったから。


「こちらです」


 オレンジ色の光に包まれる観客席へ足を踏み入れた。すでにほとんどが埋まっていて、いかにも高貴そうな人たちばかりだ。ちょうどワインのお供についての話で盛り上がっていたところだったらしいヴァンパイアたちが、通路を通る人間の登場にピタリと話しを止めた。上から下まで舐められるように見られて、少しばかり居心地が悪い。あまり目は合わさないでおこう。


 ホールはとてもきらびやかで、ドーム状になった高い天井には大きな丸いシャンデリアがぶら下がり、客席が何重もの半円を描きながら配置されていた。左右にボックス席もあるが、今日は使われていないらしい。カーテンが引かれて中が見えなかった。

 悪魔や精霊の像がそこかしこに飾られ、一杯になった座席は少々熱気に包まれていた。上部に大きな国旗が掲げられたステージは、まだ深紅の幕が下りていて何も見えない。

 すいませんすいません、と美麗なヴァンパイアたちの前を通り抜け、案内係に言われた席へ遠慮がちに腰かけた。まるでマシュマロに腰掛けたように座り心地がいい。ど真ん中のかなり見やすい位置だしね。ここが特別優待席か。あれ、でも何か違和感が。

 どうやら置いてあったウェルカムカードに気づかず座ってしまったらしい。おかげですこし曲がってしまった。綺麗な顔立ちのヴァンパイアたちに物珍しそうに見つめられながら、「ハハハ」とそれを掌で伸ばしていると、開幕を告げるブザーが鳴って明かりが落ちた。ゆっくりとカーテンが上がっていく。


「魔界および人間界のからのお客様、ごきげんいかがでしょうか。本日はお忙しい中、ヴァンパイア王国の本会場まで足をお運び頂き、まことにありがとうございました」


 司会の男性がスポットライトの中、コウモリの飾りがついたマイクを手にしていた。そのそばで妖精が金の粉を撒き散らし、キラキラと輝いている。

 ざわめいていたホールはすぐに静寂に包まれ、くしゃみをして首が回ったガイコツや透明人間が必死にほどけた包帯を巻く姿が垣間見えた。


「どうぞ天井をごらんください。出迎えのゴーストたちです」


 半透明のゴーストたちが、白い布を持って宙を舞う。小さな花を撒きながらこちらへ向かって投げキッスする女性や、ゆったりと笑顔で手を振る紳士的な男性がいた。それにこちらもにこりと笑って返す。まるで雪の中に舞う天使を見ているようで、とても幻想的だった。


「えー本日のこの会場の進行をいたしますのが、国王補佐のシュレイザーでございます。どうぞ最後まで、お付き合いください」


 割れんばかりの拍手の後、一度真っ暗になった。天井にはもうゴーストはいない。ただときどき頬を撫でるように何かが通り過ぎて寒気を感じた。


 ダッと次に明かりがついたときには、エントリーした者たち十名と一匹が順にステージ左の椅子に一人ひとり腰掛けていた。


「全く、何なんだこれは。ソフィアとの婚前パーティーではないのか」


 腕を組んでイライラとしているのはこの国の王、ザルク。ああそうか。高い位置にあるボックス席が使われていないのは、王が壇上にいるからか。国王を足元の方で見下ろすなんてあり得ないもんね。

 彼は確かに威厳も感じるし、相当顔もいい。だが隣に座るソフィアをチラチラと見ては、セクハラかと思えるほどあからさまに体を近づけていっていた。

 ソフィアは色白で瞳の綺麗な本当に可愛らしい子。そんな彼女が気になるのは分かるけど、舞台上でそれはやめなさい。ほら、それに気づいた彼女がそれとなく椅子を遠ざけた。またそれをしつこく追いかけるサマがなんともイタい。横の席に座るレオナルドに、おもいきり椅子を引き戻されたしね。

 わぁ……それにしても金髪碧眼の彼もかなりの色男だ。やっぱヴァンパイアってすごい。


「えー、登場人物人気投票、お一人様一票ずつ投じていただきまして、その総数は実に148票でございました。まことにありがたい限りです。ではさっそく第1位から発表いたします」


 ドラムロールが鳴り響いたのに反応して周囲を見渡すと、ガイコツが前に座る別のガイコツの頭を叩いて音を出していた。会場を舞うスポットライトも、会場後ろに控えるチョウチンアンコウの怪物が頭を左右に振っている。


 ジャン、と言う音と共に照らされたのが、

「エントリーナンバー3番! レオナルド様!」

「え、オレ?」


 レオナルドは驚いたように自分を指し、ゆっくりと立ち上がった。歓声に手を振る。こちらを見てウインクした気がしたのは、思い過ごしだろうか。


「オレはてっきりソフィアかと」


 遠慮がちに首を振る彼女の頭を優しく撫でる。それに小声で何か言う王に、また小声で返されて口をつぐんでいた。何を言ったのかは知らないけど、勝てないんなら何も言わなければいいのに。


「レオナルド坊ちゃんは71票獲得の堂々の一位です。えー、理由をいくつか抜粋してご紹介を。【ソフィア信じて大切にしてる所です】【主人公一筋っぽいから。優しいし、大切にしてくれそう】【男らしい!優しい☆】【ソフィアのことをずっと信じて助けようとしてくれてたから。】【どんどんイイ男になってきた~vv】【つか勝負にならなくないですかね?ぶっちぎりで、レオの方が良い男なんですが】【面白いし、優しいし、なんだか可愛い!是非ソフィーと幸せに】などなど。主にあの件に対するレオナルド坊ちゃんの姿勢が高く評価されたようです」

「男らしいとかイイ男とか照れるな。オレはただ、自分の愛する女性を信じ続けただけなんだから」

「さすがどこかの国王とは違います」

「だからソフィアのことは、オレが必ず幸せにするよ」

「おい、どういうことだッ!」


 不機嫌そうな王を無視して、シュレイザーは資料を見つめる。


「えー、あとこちらは、叶○妹さんか何かですかね? 【ソフィアを唯一信じてあげたmen'sだから】」

「多分関係ない人だと思うよ、シュレイザー。でも、ありがとう」


 ゴーストの運んできた花束を受け取ると、笑顔で拍手を送るソフィアの頬に口づけて座った。顔を赤くする彼女との仲睦まじい様子を睨みつける王からは、どす黒いオーラが目に見えるかと思えるほどににじみ出ていた。でもそれをものともしないのは、なんともレオらしい。


「では第2位の発表です。エントリーナンバー1番、43票を獲得したソフィア様!」

「わ、私……?」


 戸惑ったように立ち上がり、観衆の数と拍手に気おされるようにぎこちなく礼をした。


「本当にありがとうございます、皆さんのおかげです……」

「理由をいくつか。【心が強いと思ったから!】【真っ白で健気で、かわいいです^^】【幸せになって!と思わずにはいられない素敵な主人公だと思います´ω`】【けなげだけど、意思が強く心根もやさしいから。本当に大切なこともはんだんできそうで人としても好感持てる】【好感がもてる主人公のソフィアがすきです】【健気でいいこだし大好きです】とソフィア様のその内面が評価されたようですね」

「全部もったいないお言葉です。ずっとずっと大切にします」


 彼女の両目に浮かぶ薄い涙が、ライトに反射してキラキラと輝く。ブーケを受け取り、花がほころぶように微笑んだ。


「この上位お二方を応援する言葉がたくさん届いておりますよ。例えば、レオナルド坊ちゃんへ【押せ!押せ!にーちゃんに負けんな~!】や、【想いが通じてレオとソフィアが幸せになってもらいたい!】、【二人がほんとうの意味で好きあって、結婚してくれるといいです】、【レオナルドの方がソフィアの相手に相応しいですよねー。王よりよほどソフィアをよく見ているし分かっていると思う】【ソフィアには明るく優しい彼を是非是非プッシュしたいです】【ソフィアの旦那様にピッタリ!】などなど」


 それにレオナルドが立ち上がり、花を持ったまま頬を赤く染める彼女の背中へ手を回した。


「どうするソフィア。期待に応えちゃおっか?」

「あの……」

「シュレイズァー、次だ次!」


 王は立ち上がってレオナルドの首根っこを掴むと、椅子へ放り投げるように無理やり座らせた。とことん邪魔する気らしい、執念深いな。


「……はいはい。えー第3位はエントリーナンバー4、 26票を獲得したミセスグリーン!」

「いやっほーい!」


 その様子に観客席から笑いが漏れる。

 小さくてあまりよく見えないけれど、飛び跳ねながらもろ手を挙げて大きく振っているようだった。今日はどうやらテンションMaxらしい。


「では理由を。【ソフィアのよき相談相手というポジションが何とも素敵です!】【肝っ玉かあさんみたいで、温かいから(笑)】【ソフィアのためにまっすぐなところ。登場人物の良心だと思う】【かっこいい!】【お母さん~】【主のために愚王に対して直訴した点】など」

「うぅぅ、ありがとうね……長年クモやってるけど、こんなにたくさん温かい言葉をもらったのは初めてだよっ……うぅぅ」


 飛び跳ねたり泣いたり大変だな。彼女は小さなハンカチを取り出し、チーンと鼻をかんだ。あれ、クモって鼻あるのか。

 今まで黙って聞いていた王が、こらえ切れない様子でガタンと椅子から立ち上がった。


「ちょっと待て、納得いかん!」

「そうですわ! どうしてここまでに私たちが入ってませんの!?」

「夫婦そろって何を」


 王に追従して立ち上がったリザへ、シュレイザーは面倒くさそうにそう言った。


「夫婦なわけがあるか! ソフィアに負けるのは仕方ないとして、なぜ私がレオやこんなクモ以下なのだ! それにさっき“愚王”とか聞こえたが、私のことか!」

「ご心配なく、陛下。あとで発表しようと思っておりましたが、実は陛下も1位でして」


 そう言ってシュレイザーは、下の方から資料をピックアップして一番前に乗せた。それに王は不敵な笑みを浮かべて椅子に座りなおす。


「何だランク外と見せかけて、私を驚かせる予定だったのか? ははは、下手なことを。レオと同率なのは気に食わんがまあいい、理由を読み上げろ」

「えー主な理由【ヘタレすぎ!!笑】」

「……」


 一瞬で王は真顔になる。


「あとは、【あほだから。王なのに、感情で動きすぎ。周りがいくら優秀でもあれでは】【本来、主役の男性ザルクが、良いはずなのだけど、あまりにも、カッコ悪くて頭にくる。(*>w<*)】【リザ達にまんまと騙されて、見ててイライラしたから! 】、【嫌いではないけれど、諸々の行動からソフィアとの恋愛に関しては応援し辛い】、【真実を見抜けない愚鈍な王】、【もっと早く気付けよ】、【救いようがない】あとは……」


 パラパラと資料をめくった。


「待て! 待て待て! 何だそれは! 本当に1位なのか!?」

「60票獲得、‘逆’人気投票堂々の第1位でした。本国への懸念を示してくださる方もおられ、全く、補佐官としてお恥ずかしい限りです」

「何!?」

「ですが、建設的な意見もございますからご紹介を。【ちょっとここで一発大きなカウンターをくらっといた方が、彼も一回り成長出来るのでは】【一万年反省してから出直しておいでなさい。一万年と二千年前からあ・い・し・て・る♪を歌いながら反省しましょう、ザルク君】」

「どこが建設的だ! そんな歌知らんわ!」


 むしろ歌わんでくれ。名曲が腐る。


「もっとこう、可愛げのある意見はないのか!」

「可愛げ……ああこれですか【だってたらしでバカぢゃん?】」

「言い方が可愛いだけで、内容はボロカスだろうが! 私は断じて、たらしでもバカでもない!」

「【自分が正しいと信じて疑わない所です】」

「うるさァい! 何だこれは、一体人気投票ではどうだったんだ」


「陛下は4同情票ですね」

「妙な単位をつけるな! くっ……見る目がある者もいるようだが、この私がたったの4票だと?」


 体を震わせる王にシュレイザーは、次のページをめくった。


「ちなみに、陛下とソフィア様とのことに関するご意見をご紹介」

「今度はまともだろうな」

「ええ、当然。例えば……【主人公に対してあれほど酷い事をしてしまった後では、愛を請う資格もないと思います】【自分が惚れた相手が解らんような馬鹿に、ヒーローを名乗る資格は無い!(断言)】【気持も分かるし嫌いではないんですが、ソフィーの相手としては…】【ソフィアのことについてはレオがんばれ超がんばって!というのが現時点の評価です】【自業自得。とっととソフィアを諦めて、レオと幸せになるのを、指を銜えて見てろ!って感じですね】【正直、一番ソフィアのお相手にならないで欲しいキャラかな】【すいません。話の都合上とはわかってても、イラッとします。報われたくない人です。本当にすいません】」

「全否定ではないか! 特に最後のは低姿勢とみせかけて心の破壊力がハンパないぞ!」


 堪えきれずに立ち上がって「違うだろう、もっと別のものを!」と吠える。


「別の……あー、ありました、ありました。これですね、【リザととってもお似合いだなと思いました】」

「別の女になっているだろうが!」

「これしかなかったので」

「全く、何たる由々しき事態だ……」


 王は頭を抱えた。全部お前のせいだろう。

 そんな王に、リザはにんまりと笑う。


「もういやですわ陛下、お似合いだなんて言われてお照れにならないで」

「うるさい、二度と私にまとわりつくな!」

「もう陛下ったら、あんなに愛し合ったではありませんか~」

「黙れ。ヌいただけだ」

「はいぃ!?」

「オッホン! 45票獲得、逆人気投票第2位はエントリーナンバー5、リザ」

「な、私が!?」


 リザは王の腕から手を離してシュレイザーを睨みつける。


「主な理由【怖いっす】【ひどいから。とゆうか残酷】【好きになれる訳がない】【いくらなんでも、酷すぎる】【恐いです…】【悪女】などなど。痛い目にあわせてほしいとの意見もありますね」

「あ~ら、一般市民の皆さんにはこの愛の深さがお分かりにならないのね」


 完全にこちらを見ながらそう言っている。一般市民以下のお前に言われたくない。


「えー、他には【「情けは人のためならず」かと…実際そうはいかないかもですが、やはり自分のしたことって自分に反ってくるのでは?】、【完璧に悪い子ではないだろうが、善悪くらい自分で考えてほしかったな】という意見もあるので、やはりきちんと反省し――」

「反省!? 何をわけの分からないことを! 私に入れた方々は私のこの美貌に嫉妬してるのでしょう? 正直に言いなさいよ、ク・ヤ・シ・イ・で・すって。オーッホッホホホ!」

「はい、誰か舞台から下ろしてください」


 屈強な衛兵たちがリザの周りを取り囲む。


「ちょっと! 放しなさいよ! 私は悪くなああい!」

「ああ、ついでにそこの【性格が悪い】【中途半端な悪役】たちも」

「誰が中途半端ですって?」

「どうして私たちまで!」

「リザのせいだわ……」

「何ですって!?」


 リザがジェニファーら三人のおまけたちと共に、ギャーギャーわめき散らしながら衛兵に舞台袖へと引きずり下ろされていった。


「どうもお騒がせいたしました。あ、人気投票の方でも一票入っていたのを忘れていた。【あまりの悪女っぷりに感服!】とのこと。あんなヤツにありがとうございます。私が代わってお礼を」


 そう言ってペコリと頭を下げた。


「えー陛下に流れをすっぱ切られてしまいましたが、人気投票同率第5位、エントリーナンバー9、シェイラ、エントリーナンバー10、司書の蛇男、エントリーナンバー11のアンデッドル先生! それぞれ一票ずつ獲得です」

「え、アタシらも?」

「一度しか出ておりませんのに」

「フヒ、フヒ、フヒ嬉ひ恥ずかひ!」


 シェイラは驚いたように眼を丸くしていたが、蛇男はいたって無表情であった。先生は笑った瞬間コロリと目玉が零れ落ち、「あららら」とそれを追いかけてそのまま舞台袖へと消える。

 王は舞台に突っ立ったまま、怒りに拳を震わせていた。


「私(4票)がこんなやつらと大差ないだと……ッ」


 ビシッと観客席を指した。いや、完全にその指先がこちらを向いている。


「人間たちよ! このたび私を“好きな登場人物”へ入れなかったことを、あとで泣いて詫びるがいい! 彼女は私が必ず手に入れてみせる! なあソフィ……あれ」


 王が席を振り返ると、すでにそこには誰の姿も無かった。


「何かゴメンね、バカな兄上で。いざとなったらオレが王になるよ。じゃあ、ソフィア帰ろうか」

「はい。皆さん、本当にありがとうございました!」


 レオナルドは手を振り、ソフィアは丁寧にお辞儀して舞台袖へと帰っていく。


「おい、どういうことだ! 待て!」


 その後を追いかけていく彼の姿は、何とも哀れに見えた。あれで一国の王なんだからなぁ。


「みなさま本日はお越しいただき、まことにありがとうございました。頂いたコメント全てをご紹介できず非常に残念です。私が責任を持って全てに目を通し、マーカーで線を引いて陛下の部屋の壁に貼り付けておきます。ではまたお会いできる日を楽しみに……あぁ、【シュレイザーにも期待しています】と書き込んでくださった方、まことにありがとうございます。【もっとやっちゃってください】との意見もありましたので、これからも腕輪以上にきつく陛下を締め上げて参ります。それではこれにて閉幕。人間界へのお帰りの際は、どうぞお気をつけて……」


 大きな拍手と共に幕が下り、みな帰り支度を始めた。


 混雑を避けようと、誰もいなくなるのを待ってからゆっくりと席を立つ。やれやれやけにドタバタしていたな、と軽く息を吐きながら、ホールの出入り口に立って目の前の巨城を見つめていた。時々壁から出たり入ったりしている青白い光は、ゴーストだろうか。


 頭を下げる受付のミイラに会釈して通り過ぎたその時――


「いやあ、ワタクシまでお褒めくださる方がおられるとは。いやはや、ありがたい」


 そんな独り言が耳をかすめて足を止めて振り返ったが、そこにはもう誰もいない。


 少々曲がったウェルカムカード握りしめ、さっきまでのことが現実であったことの証を求めた。


Thank you!

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