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明日。楽しかったと言えるようにたくさんあそぼう

作者: 澪ナギ
掲載日:2026/06/22

「…」


 むくれている。


「…」


 小さな頬をぷくりと膨らませて。


「…」

「どうした」


 恋人がむくれているから、聞けば。


「んぅ…」

「ん?」


 いやいやと俺にすり寄りながらも何かに「嫌」と主張している。


 ――あぁ、これは。


「眠いか」

「ない…」

「眠いな」


 抱きかかえて、恋人を膝に乗せる。


 けれどあそび足りない彼女はいやいやと首を振った。その背をゆるく叩いて、眠りを促してやりながら。


「もう限界だろう」

「…」

「何事にも納得いっていない」


 そう指さしてやった。

 さっきまで彼女の目の前にあったものは、様々なあそび道具。色鉛筆と画用紙、積み木、パズル、ほかにもいろいろ。単純に考えればよくあそんだものだと出るけれど。

 よく見れば、それらはすべて中途半端で投げ出されていた。


 それは、彼女の脳や体が限界のサイン。


「また明日にしよう」

「んぅ…」

「そしたらまたいろいろできるから」


 いやだと主張しても、体は正直で。ぎゅうっと抱き着いてくるクリスティアに笑って、抱き上げてベッドへと歩き出す。

 それであきらめたのか、体の力を抜いたクリスティアは一度俺にすりよって。


「あした」

「うん?」


 小さく、眠そうな声でつぶやく。


「あした、いっぱいいっしょに、あそんでくれる?」


 そうかわいいことを言うから。

 ベッドに寝かせた恋人を強く抱きしめて。


「当たり前だろ」


 そう返せば、満足げな笑いをこぼした恋人は。


「うれし」


 そう言って数秒、寝息が聞こえ始める。少し体を離し、嬉しそうに眠る恋人を見ながら。


「また明日」


 呟いて。

 よい夢が見れるようにと、その髪を梳いてやった。


『明日。楽しかったと言えるようにたくさんあそぼう』/リアス





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