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藤田五郎警部の幕末回顧録〜誠に生きた男達〜  作者: 佐久間五十六


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6/11

上には上がいる

「あった!ここが試衛館…。」

「人?客人か?」

「あのぉ?近藤勇さんはどちらでしょうか?」

「あぁ。タイミングが悪かったな。近藤は今留守でな。いないんだ。」

「ではこちらで少し待たせていただけますか?」

「貴様、名は?」

「山口一と申します。」

「俺の名は土方歳三だ。よろしく!」

「はっ!?石田散薬の?」

「よく知ってるじゃねーか?」

「いくつか売ってもらえませんか?」

「いいよ。けどそんな事はあと回しだ。若いのに業物(鬼神丸国重)を帯刀しているとは、実力者とお見受けする。手合わせを願いたい。」

「構いません。怪我しても知りませんが。」

「防具はつけますか?」

「石田散薬の事を知っているなら、喧嘩戦法の土方歳三って名前くらい聞いているはず。防具は無しだ。木刀1本で勝負だ!」


(凄い強気のオーラ出してるけど、この人本当に強いのかな?まぁいいや。やってみるか。)

カーン、カーン、カーン

「近藤さん!道場で土方さんが誰かと稽古?しています。」

「トシの奴、静かに留守番も出来ないのか?」

(こ、この人強い。父上の言う通りだ。上には上がいる。)

「そこまで!!」

「近藤さん!?」

「すまぬな客人。無礼なもてなし誠に申し訳ない。トシ、お前もわびろ。」

「いえ、そんなつもりではありません。」

「で?どっちが勝ったの?」

「総司!失礼だぞ!」

「決着はついてはいませんが、自分の方が土方さんに押され気味でした。」

「もう少し時間があれば、俺が勝っていた。だけどこの人かなりの手練れだよ近藤さん?」

「山口殿、せっがくここまで来たんじゃ。二三日はゆっくりしていくと良い。」

「ありがとうございます。ですが目的の石田散薬は手に入りましたし…。」

「まぁまぁ山口殿。僕との手合わせもまだですよね?」

「沖田さん。あなたの名前は江戸でも有名ですよ。ぜひともお手合わせ願いたい。」


結局、3人の食客(沖田、土方、近藤)と対戦して1勝2敗だった。まだここで研鑽を積みたかったが、父右助の文が届き帰路に着くはめになった。

「近藤さん、土方さん、沖田さんまた来ますね。もっと強くなって。」

「おう!いつでも来い!」

「ではまた。」


「しかし、あの山口と言う青年中々の実力者でしたね。」

「勝ちはしたがあの総司と互角だったからな。」

「そう言う土方さんなんてコテンパンにやっつけられてたじゃないですが?」

「彼とはまた会いそうな気がする。」

「そうですね。また会いたいですね。」


「父上!ただいま戻りました。石田散薬です。」

「馬鹿者!先方のご厚意とは言え3日も泊まってくるとは何事か?」

「すみません父上。試衛館には手練が多く、手合わせについ夢中になってしまいました。」

「まぁ、良い。頼んだ石田散薬は手に入ったしな。」

「はい。まだまだ鍛錬を積まねばなりませんね。」

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