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藤田五郎警部の幕末回顧録〜誠に生きた男達〜  作者: 佐久間五十六


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井の中の蛙大海を知らず

「こんな化け物みたいな人達と寝食を共に過ごす事になろうとは…。」

「山口さん、手紙きてましたよ?」

「手紙??」

その手紙には父右助から改名する様にと新たな名にしたことを示す謄本が入っていた。


「って訳なんで、今日から斎藤一と名乗りますので皆さんよろしくお願いします。」

「名字が変わったんですね?では僕は一さん、と呼ぶのでよろしくお願いします。」

「総司?なんでてめぇが仕切ってんだ?」

「まぁ良い。斎藤よろしくな。」

「はい。よろしくお願いします。」

「さ、稽古稽古。」

「あれ?新しい食客の人ですか?」

「あぁ。藤堂平助と言う北辰一刀流の使い手中々、てごわいぞ?」

「貴方ですか?山口一刀流の使い手と言うのは?御手柔らかにお願いしますよ。」


カーン、カラカラ。

「あれれ?大した事はないですね?」

「藤堂もう1本頼む。」

「むぅ!そこだ!」

カラカラカラカラ

「平助?ちょっとは手加減してやれよ?まだ19歳の若造なんだからさ。」

「土方さん?そんな事言ってるから未だに喧嘩戦法とか馬鹿にされるんですよ?」

「はいはい!そこまで!」

「近藤さんも平助に何か言ってやって下さいよ?」

「いや、斎藤君が井の中の蛙大海を知らずと言う事だったのだ。」

「その通りですね。勉強になります。でも真剣なら負けません。」

「へぇ~。木刀じゃ力でないってか?大したもんだ。生憎今、俺の刀は修理中だからな。残念だぜ。」

「若いのは血の気が多いな。大したもんだよ。」

「永倉さんも何とか言ってやって下さいよ。」

「つーか俺達味方じゃねーのか?」

「寝食を共に過ごし、稽古に明け暮れる。流派を超えてな。」

「そう言えば永倉さんは神道無念流でしたね?」

「あぁ。語るほどのものじゃねーよ。今じゃすっかり試衛館になついてるよ。」

「強くなりたかったら、竹刀や木刀を振込め。細かい技術はあとから付いてくる。」

「そうそう。自分より強い相手と乱取りすると、強くなるって言うしね。」

「槍の事なら俺が教えてやるぜ?」

「原田さん?」

「左之助で良いよ。」

「左之助さんは何故試衛館に?」

「永倉の兄貴に誘われたんだ。どえらい強い人達が八王子にいる。ってね。」

「そうそう。源さんの事も忘れちゃ駄目だよ?」

「八王子千人同人の井上源三郎だ。よろしくな一さん。」

「どうだい一君?試衛館には猛者が沢山いるし、勉強になるだろう?」

「井の中からは脱出する事は出来るでしょうね。」

「訳ありって言うから、もっと極悪人の溜まり場かと想定したが、どうやら根は真面目で努力家の様だな。」

「近藤さんたら、僕は普通ですよ。」


と、斎藤一は轟くので精一杯であった。

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