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藤田五郎警部の幕末回顧録〜誠に生きた男達〜  作者: 佐久間五十六


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プロローグ 少年時代

1844年2月18日江戸(播磨国)にて俺は生まれた。色んな事を語らなければならないが、まずはテメェの事を話さなければならない。


父山口右助、母ますの次男として生まれた俺は、可愛がられた。餓鬼の頃は特筆すべき程の事はしていない。姉のカツ、兄のヒロアキにはよく遊んでもらった。俺の名は山口一やまぐちはじめ。後の新選組3番隊組長斎藤一の幼少期の名である。


父右助は、明石浪人であり、俺は餓鬼の頃から山口一刀流剣術を仕込まれた。ねぇさんや兄さんにも馬鹿にされるくらい、初めのうちは弱かったが、メキメキと頭角を表していく事になる。俺の時代は、読み書きそろばんは出来なくても、剣の腕さえあればそれで良かった。


山口一刀流剣術はメジャーな流派ではなかったが、後の新選組局長近藤勇との出会いで天然理心流を学ぶと、もっと強くなって行くが、10年先の事である。

「兄さんは、山口一刀流に未来はあると思う?」

「さぁな?世は黒船におびえとるが、日本もいつまでも鎖国している訳にはいかないからな。」

「何の話?」

「山口一刀流に未来はないかもな。かと言ってメジャーな剣術流派も同じ事が言える。」

「どう言う事?」

「武士と刀の時代は終わるっちゅう事だ。」

「時代が動くの?」

「そう遠くない未来に、日本で内戦が始まる。そんな気がしてならんのだ。」

博識な兄さんの言っていることは合っていた。兄さんには先見の明があった。剣に夢中な俺とは違い、よく書物を読み、よく食べよく稽古し15歳で元服すると、そのまま名家の婿となり山口家を出ていった。

山口家の家督はねぇさんが継ぐことに決まっていた。婿をもらい俺が物心ついた頃には、甥や姪も生まれていた。だから、父も母も俺には何の期待もしていなかった。山口一刀流の生末などどうでも良かった。生きてさえ居てくれれば…。

「一?そんなに頑張っても無駄だぞ?そのうち剣の時代は終わる。」

「父さんだったんだね。兄さんに剣の時代が終わる事を教えていたのは?剣の時代は本当に終わるの?」

「本来なら山口一刀流の道場は、一に任せるつもりだったんだかな。日本を取り巻く情勢がこうも不安定じゃ、道場に通う人もいなくなる。」

「そんなぁ!?」

「一の取り柄が剣術だけって事は分かっている。だから好きに生きろ!父さんはお前の生き方にあぁだこうだ言うつもりはない。」


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