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シルヴァリオン:6-4

 そしてリトリスに案内されて森の更に奥へと進んでいく。

 ときおり聞こえてくる竜の咆哮。

 苦しげな叫び声が森を震わせる。


「助けてあげないと」


 わたしがつぶやく。

 キール王子がわたしのほうを向く。


「ミーシェ」

「あ、すみません、キール王子。目的が違ってましたね」

「……いや、キミのその思いは正しい」


 キール王子が笑みを浮かべる。


「たとえ竜とて、ドラクセル王国に住まう者。困っている者を助けるのは当然だ」


 キール王子もやさしい。

 普段は表情に出さないけれど、あたたかいものを内側に秘めている。

 その思いをわたしに与えてくれるのもうれしいし、他の人に分けてくれるのもうれしい。


「そろそろシルヴァリオンの住処だよ」


 深い木々のトンネルを抜ける。

 その先は、空にフタをしていた木々がなくなった、開けた場所になっていた。

 その中心には森のヌシが鎮座していた。


 竜だ。

 白いウロコの竜が寝そべっていた。

 大きい。


 初めて竜を見たけれど、とても大きい。

 世界の覇者を自称するだけはある。

 この大きさなら、ちっぽけな人間を見下すのも当然だ。


「来たか、人間」


 男性の声だ。

 シルヴァリオンは男だったんだね。

 長い首がゆっくりと持ち上がる。


「我が名はシルヴァリオン。誇り高き竜である。貴様らの名を名乗れ」

「ドラクセル王国第二王子、キール」


 キール王子が臆さず堂々と名乗る。


「ほう、よもや王族がわざわざ来るとはな。殊勝な心掛けだ」

「お前のためではない。たまたま近くの町に住んでいただけにすぎない」

「……まあ、よかろう。そっちの小娘は」

「ミーシェです」


 自分から聖女だと名乗るのはなんとなく恥ずかしかったので、名前だけ名乗った。

 シルヴァリオンの爬虫類の目がきょろきょろと動く。


「……して、医者の姿が見当たらぬようだが」

「あ、医者はわたしです」


 わたしが挙手する。


「お前のような小娘が医者だと。我を愚弄しているのか」


 そこにすかさずキール王子がフォローに入る。


「彼女は神に選ばれた聖女だ。秘められし魔力と機知によってさまざまな困難を解決してきた。お前の苦しみも取り除いてくれるだろう」

「……聖女」


 黙り込むシルヴァリオン。

 それからこう言った。


「いいだろう。その知恵を見せてみるがいい」


 わたしはほっと安堵した。

 小娘だからって気に障らなくて安心した。

 問題はここからだ。


「じゃあ、診察しますね」


 わたしはシルヴァリオンに症状を尋ねた。

 ここ数年前からひどい頭痛がするという。

 理由は思い当たらないらしい。


 頭痛は頭をズキズキすうような痛み。

 睡眠はしっかりとっている。

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