シルヴァリオン:6-1
こうしてわたしたちは精霊のリトリスを『竜の森』に向かわせた。
森にある精霊の泉に立ち入る許可を、ヌシであるシルヴァリオンから得るため。
心配だな……。
わたしとキール王子は家でリトリスの帰りを待っていた。
リトリスにはかなり無謀なお願いをしてしまった。
とても心配でいてもたってもいられず、無意味に掃除をしたり本棚の整理をしたりして気を紛らわせていた。
「やさしいな、ミーシェは」
ぽん、とキール王子がわたしの頭に手をやる。
「そのやさしさこそ、聖女に必要なものなのだろう」
胸がくすぐったくなる。
大切な人に触れてもらえるのがこんなに心地いいなんて。
やがて夜になる。
リトリスは依然として家に帰ってこない。
心配で食事の味があんまりしない。
「明日、あいつが帰ってこなかったらさがしにいこう」
「へ?」
わたしはうつむいていた顔を上げてキール王子を見る。
「でも、竜と接触するのは法律で禁じられているんじゃ……」
「家族を見捨てるほうがよほど間違っている」
家族……。
キール王子、リトリスを認めてくれたんだね。
すごくうれしい。
「食事が終わったらまたカードで遊ばないか? 気もまぎれるだろう」
「わかりました。勝負しましょう。でも――」
「『でも』……?」
「次はちゃんと本気で相手をしてくださいね」
まんまるに見開いた目をパチパチさせるキール王子。
しばらくそうしたあと、王子はふっと笑みを浮かべた。
翌日になった。
早起きしてリトリスを待ったけど、やっぱり帰ってこない。
「リトリスをさがしいこう。マリーゴールドだって許可してくれるはずだ」
二人で『竜の森』に行こう。
そう決断した直後だった――リトリスが帰ってきたのは。
「ただいまっ」
「リトリスッ」
わたしはリトリスを力いっぱい抱きしめた。
勢い余って力強く絞めつけてしまったせいで、リトリスは苦しそうに腕の中でもがいていた。
「窒息するよ、ミーシェ!」
「ご、ごめんごめん……」
でも、よかった。無事に帰ってきてくれて。
「心配したんだからね」
「心配? ボクとミーシェが出会ってまだ少ししか経ってないのに?」
「日にちは関係ないよ。わたしたちはあなたを家族として迎え入れたんだから」
「ミーシェ……」
リトリスのつぶらな瞳がうるむ。
「人間って、こんなにやさしかったんだね」
「いや、ミーシェは特別だ」
キール王子!?
「ミーシュの愛は誰よりも深い」
またこの人、臆面もなくそんなセリフを……。
王子はクールな性格なのに、平然とそういうことを言ったりするのだ。
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