表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/50

聖女の契約:5-8

 どうしたのだろう。


「入っちゃいけない場所なんですか?」

「入っちゃいけないというか、入れないというか……」


 マリーゴールドさんが地図を広げる。

 グリーンヴェイル周辺の地図だ。

 精霊の泉がある位置には森が広がっている。


「たしかに森は危険ですね。野生動物や魔物が出ますし」

「それもあるんだけどね」


 メガネの位置をくいっと治すマリーゴールドさん。


「その『竜の森』にはヌシがいるのよ」

「ヌシですか」

「ええ。『竜の森』を支配している存在。そいつが人間が立ち入るのを禁じているの」


 人間の立ち入りを禁じる存在。

 それってつまり、人間と意思疎通ができる生物になる。

 人間に等しい知能を持つ生物……。


「竜よ」


 森のヌシは竜だった。


「その竜は自分をシルヴァリオンと名乗って森に居座っているの」


 森に住まう竜、シルヴァリオンは大昔から森に住んでいるのだという。


 太古、竜と人間は地上の覇権をめぐって争い続けてきた。

 結果、地上を支配したのは繁殖力に優れ、群れて力を合わせられる人間。

 個としての力は強くても、繁殖能力に圧倒的に劣り、尊大で他者との協力を拒絶する竜はじょじょに地上から追いやられて僻地へ隠れ住むことになったのだ。


「竜が住んでいるのはやっかいだな」


 キール王子が言う。

 そう。やっかいなのだ。


 竜は人間を敵視している。

 森にはきっと入れてくれないだろう。

 そしてもうひとつ問題が。そもそも法律で竜と関わるのが禁じられているのである。


 竜と人類の不可侵条約。

 その約束が締結されているから人と竜は争わずにいられるのだ。


「シルヴァリオンを怒らせて町を焼かれたらたまったもんじゃないからね」


 肩をすくめるマリーゴールドさん。

 残念だけど、『竜の森』に入るのはあきらめたほうがよさそう。

 かなり遠くなるけど、別の精霊の泉に行こう。


 そんなとき、リトリスがこう言った。


「それならボクが会ってくるよ! シルヴァリオンに」

「お前が会うのか」

「人間と違って精霊と竜の関係は悪くないからね。説得に応じてくれるはずだよ」


 確かに、屁理屈っぽいけれど、精霊が竜に会うかぎりは法に触れない。

 それに竜との関係が良好なら精霊の泉に入れてくれる可能性も高い。


「だから『竜の森』にはボク一人で行ってくるよ」

「だいじょうぶ? リトリス」

「もとはといえば自業自得だったからね」


 ウィンクするリトリス。


「あなた、シルヴァリオンに食べられないよう気をつけなさいね。いい感じにぺろりと丸のみできる大きさなんだから」

「ひえっ」


 リトリスをおどかさないでください、マリーゴールドさん……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ