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町と村の交易:4-4

 もしかして、ちょうどいいからやっかいなものを押しつけられちゃったのかな……。

 なんて考えていると、キール王子が壺をじっと見つめているのに気付いた。

 真剣な面持ち。


 どうしたんだろう。

 見つめていたかと思いきや、重さを確かめるかのように壺を持ち上げる。

 それからいろんな角度からそれを観察しはじめた。


「村長。この壺には本当に悪魔が封じられているのだな?」

「さようでございます。村の古い言い伝えです」

「……よし」


 キール王子がそう小声で言うと、わたしとガジさんのほうを向いた。


「この壺、僕たちが引きとろう」

「ええーっ!?」

「なんでだよっ」


 わたしとガジさんが同時に声を上げた。

 どうしたのだろう、キール王子。

 王子の意図がまったくわからない。


「正確には、僕とミーシェの二人がだな」

「わ、わたしも含まれているんですか?」


 てっきり、危険な代物を王国で保管するのかと思っていたけれど。


「そうですか、そうですか!」


 村長はろこつによろこんでるし……。



 こうしてわたしたちは野菜の対価として織物を、堆肥の対価として悪魔の壺をもらって、キッコロ村を発ってグリーンヴェイルの町に帰ったのだった。


「キール王子。変なものをもらってこないでちょうだい」


 村長邸にて。

 マリーゴールドさんもさすがに呆れ果てて顔をしかめていた。

 キール王子といえば、まったく悪びれもせず平然としている。


 悪魔が封じられているという不気味な壺は今、テーブルの上に置かれている。

 禍々しい雰囲気がそこから漂ってきている。

 どこからどう見ても不吉な代物だ。


「もー、どうするのよ、これ。王国の魔術師が悪魔を祓ってくれるの?」

「いや、悪魔は祓わない」

「へ?」


 ぽかんとするわたしとマリーゴールドさん。

 そんなわたしたちに向かってキール王子はとんでもないこと言った。


「この悪魔の封印を解く」


 それからこう続ける。


「そしてその悪魔を使役する」


 おまけにこう付け加えた。


「ミーシェ。お前がだ」


 わたしはまたすっとんきょうな声を上げてしまった。

 悪魔を使役!?

 わたしが!?


「む、むりですよ!」

「聖女ならできるはずだ。僕はキミの力を信じている」


 うぐ……。

 そ、そのセリフはずるいよ、キール王子。


「ミーシェ。キミは聖女として人々の困りごとを解決している。ときには聖女であるキミ自身の手に余る頼みをされるかもしれない。そういうときに心強い手助けが必要だと僕は思った」


 でも、よりにもよって悪魔の手を借りるだなんて……。


「今は医者の代わりをしているが、盗賊や魔物の退治を頼まれるかもしれない」

「なるほど。悪魔の力を借りてやっつけられるわけね」


 なっとくしたようすのマリーゴールドさん。

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