婚約破棄令嬢は婚約破棄を言い渡して嘲笑ったものをざまぁして、素敵な殿方に片思いする
「エルレイン令嬢、できれば今日を持って君との婚約を破棄したい! 了承してくれないか!」
屋敷のある一室で婚約破棄をしたいとラリオス伯爵からお願いをされました。
言われた私は困惑した表情を浮かべておりました。ですが内心ではついにこの時が来たわねと思っておりました。
実は、幼い頃に婚約をしたラリオス伯爵は私の天真爛漫な様子を見ていて不満を持っていたのです。
私は14歳となり結婚も近いということで、ラリオス伯爵のお屋敷で生活しておりました。
しきたりや礼儀作法などいろいろなことを厳しく教わりましたが、覚えるまで時間がかかってしまい、ラリオス伯爵の母上からは、疎まれていました。
また、ラリオス伯爵も覚えるのが遅く、礼儀作法がぎこちない私を見て嫌気がさしたのか私と会話することが少なくなったように感じました。
私はこういうしきたりや礼儀作法を覚えるのが得意じゃないの。外で走り回ったり、色々なところに出かけたりしたいのと思うところが日に日に強くなって私もラリオス伯爵とは合わないと感じるようになっておりました。
そんなぎくしゃくした状況の中、メイドの方が噂話をしていたので、つい話を聞いてしまいました。
その内容は、ラリオス伯爵がある貴族の女性の方と愛し合っているという内容でした。
知った時、婚約している私がいるというのに、女性と愛し合っていたなんてとはらわたが煮えくりかえる思いを一瞬しました。
しかし、よく考えればラリオス伯爵とはうまくいかず関係も冷めていると思った私は、別にどうでもいいと考えるようになりました。
ですが、ラリオス伯爵の方は、貴族の女性と愛し合い結婚願望まで持っていると聞かされていたので、いずれ婚約破棄の話をなされると思っていました。
そして今日、この部屋で婚約破棄を言い渡されました。
婚約破棄を言い渡された私は困惑の表情をしているというのに、ラリオス伯爵は真剣なあきれたような表情で私を見ておりました。
「さっきから黙っているがどうなのだ。了承してくれるのか!?」
再度婚約破棄を了承するよう迫ってこられました。
ラリオス伯爵との関係も冷めていたため、婚約破棄に了承したいところですが、私が婚約破棄されたと知られれば私の家に傷がつくと思い、了承するのをためらっていました。
「もしかして、婚約破棄されると家に傷がつくと思い了承をしぶっているのか。だったら安心してくれ。君との婚約は最初からなかったと他の家の者達に説明する。だから、君の家や君自身に傷がつくことはない。だから頼むこの婚約破棄に了承してくれ!!」
私はそこまで賢くはなかったので、家に傷がつかないのならと婚約破棄に了承してしまいました。
すると、婚約破棄を言い渡したラリオス伯爵は大喜びしていたのです。
「これで、私とお前の婚約は破棄できるな。婚約破棄に了承してくれてありがとう」
その笑顔を見ると憎々しい思いが募ってきましたが、なんとか抑えて、その場を後にしたのです。
その後私は部屋に戻り、実家に帰還するため荷物を整理しました。
その荷物の整理中にメイドが噂話をしていたので気になり聞いてしまいました。
話の内容は婚約破棄の内容だったのです。しかも、ラリオス伯爵がわたしをだまして婚約破棄に了承させたと言っておりました。
なんでも、ラリオス伯爵は私の家に傷がつかないように婚約はしていないと他の家に説明するつもりはなく、私の家に傷がついても知ったことではないらしいとメイドは話していたのです。
私はその噂話を聞いて、怒り心頭になりました。はらわたが煮えくりかえって仕方ない!! それほど私は怒りで我を見失いそうになったのです。
ですが、何とか落ち着き今は我慢しておくことにしました。
その日は荷物の整理に集中して、翌日に真意をラリオス伯爵から問おうと思いいたったのです。
そして、翌日目を覚ますと私は怒りでものすごい頭痛に悩まされたのです。
私はその怒りの感情を持ったまま、整理した荷物を持って、屋敷の玄関に向かいました。
玄関につくと、ラリオス伯爵と従者が何人もいたのです。
ラリオス伯爵に見送られながら玄関に待機している我が家がだした馬車に乗って帰る手はずになっておりました。
しかし、私はどうしても先日の噂話を確認したくラリオス伯爵を問いただしました。
「ラリオス様、先日こういう話を耳にしたのですが最後に聞いてもよろしいですか!?」
「何だい。質問なら何でもこたえるよ」
「では、昨日婚約破棄に了承する際に婚約など最初からしていないと他の家に説明するとおっしゃいましたが、それは真でしょうか。よくよく考えれば説明したとしてその内容に納得するものもいないはず。でしたら家に傷がついてしまうのではないでしょうか!?」
「うむ。よくそのことに気づいたなエルレイン令嬢。確かに君の言う通り私が婚約など最初からしていないと説明したところで納得するものは少ない。それどころかその発言をした私は恥をかく。だから、そんな説明するつもりはないさ」
そのようにふざけたことを言ったラリオス伯爵はあざけり笑いながら私を見ていたのです。
その光景に心底むかついた私は我慢することができず、ラリオス伯爵のそのムカつく顔を殴ったのです。
殴られたラリオス伯爵はふっとび間抜けな表情をしながら気絶していました。
まさか‥‥‥私がこれほどの強さを秘めていただなんて‥‥‥自分の力強さに驚きました。
しかし、従者たちは驚きと共にラリオス伯爵に駆け寄り、「大丈夫ですか!?」と聞いておりました。
もちろん私に対する非難も効かれましたが、怒りで我を忘れていた私はそのまま屋敷を後にすると、馬車に乗ったのでした。
そして、屋敷から出て行き、ある程度の時間馬車に揺られておりました。
その最中、道端で私の馬車より豪華な馬車が道の溝にはまっていたのです。
私は気になり、馬車を操る者に呼びかけて馬車を止めました。そして、道の溝にはまった馬車の方に駆け寄りました。
「いかがなされましたか!?」
すると、馬車に乗っていた華麗な男性が馬車の窓を開けました。私はその華麗な姿に心惹かれてしまいました。
そしたら、その方がこのように言ってきました。
「実は、馬車が道の溝にはまり動けなくなったのです。どうすればよいのか困っているところなのですが‥‥‥」
華麗な男性はなにやら困っている表情をしておりました。もしかしたら、私なら馬車を動かせるかもしれないと思い、馬車を持ちました。
力を入れて踏ん張ると馬車は道の溝から引っ張りあげられ、舗装された道に降りたのです。
その光景を見てその華麗な男性は驚いておりました。
私はその驚いている方を見ながらこう言いました。
「これで馬車を動かすことができるはずです。では私はこれにて!!」
こうして私はその方からすぐに離れました。あまりにも華麗だったのでこのままでは好きになってしまうと思い離れたのです。
一方助けられた男性は、「ありがとうございます」といいながら礼をしていた。その心中ではなんて素晴らしい方なんだと心惹かれていたのだ。
私はそう思われていることにきずかず馬車に乗り、馬車は実家に向けて進んでいったのです。
馬車に乗りながら、素敵な殿方に出会えてよかったと思っているエルレインだった。




