表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
溺愛、要りません!~きゅるるん令嬢がヤンデレ戦隊を撃退していく10日間~  作者: ゆいレギナ
緑のグイグイ♡第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/40

第21話 緑のヤンデレの事情

本作で一番病んでるかと思います。

 ♦ ♦ ♦


「明日は、本当にラムネリア嬢と逢引きされるのですか?」

「ラグリ、この時間はいつも邪魔するなと言っているだろう」


 ぼく、グリムヴァルド=フォン=ネルネージュの専属従者ラグリが、今日もぼくの憩いの時間を邪魔してくる。


 だけど、今日のぼくは機嫌がいいから。そんなラグリの不敬も笑って許してあげよう。


「それより、きみは何か勘違いをしているな。ぼくはただ不在の兄上の代役を務めるだけだよ」


 そう話しかけながらも、僕は水槽から視線を動かさない。


 だって、僕の『リュミエール』の子供が生まれたばかりなんだ。

 彼女と同じ菫色に輝く熱帯魚の『リュミエール』は、今日も無垢な顔で優雅に水槽の中を泳いでいる。何も知らないというのは、本当に美しい。


 ちなみに、『リュミエール』と繁殖した男はすでに水槽から取り出してある。

 別に、ぼくはそれ以上のことは何もしない。それどころか、彼のために高価な小皿まで用意してあげたくらいだ。今、水槽の隣の小さな皿の上には、干からびた小魚が乗っている。


 卵を産んでから『リュミエール』はますます美しくなった。膨らんだお腹も愛らしかったけどね。やはりスマートでいる方が泳ぎやすいようだ。


『リュミエール』にはこれからもずっと元気でいてもらいたいから。

 水槽の管理も、高価な餌も、きちんと適切に保ってあげなければ。


「ですが、ラムネリア嬢はレッドモンド兄殿下の婚約者……兄殿下の許可なくして過度な接触を避けた方が――」

「うるさいなぁ。別に二人の間に『真実の愛』があるなんて、リュミエール()思ってもいないんだから……別に公爵令嬢がどっちの王子に嫁ごうが大局から見れば変わらないじゃない。リュミエール自身の妃教育が本格化するのも卒業したあとから。たとえ今ぼくが寝取ろうと、まだ母上から小言いわれる程度だよ」


 そう、ぼくはずっと、ずーっとあらゆる方面を気遣ってきた。

 僕の気遣いを、たとえ生涯『リュミエール』はわからないのだとしても……それでも、ぼくは構わない。彼女がずっとぼくの水槽の中で、無邪気に泳いでいてさえくれれば、それがぼくの幸せだ。


 ……そう、だから他の男なんて『リュミエール』には要らないんだ。本当にただの気まぐれに入れてみただけだったんだけど……その醜い男は、ぼくの無垢な『リュミエール』をあっさり自分のものだと錯覚(・・)した。


 ――だから、兄上なんて眼中にすらない。

 ――むしろ、目障りなのは……。


「し、しかし、私も貴方様の付き人として定期的に陛下に報告書をあげなければならない身でして――」

「うるさいってば! まだ兄上に未練があるの⁉」


 ぼくは手近にあった小皿をラグリに投げ飛ばした。

 しょせん小皿だ。彼の胴部分に当たったところで殺傷能力なんかないし、絨毯の敷かれた床に落ちても割れやしない。ただ、上に乗っていた『何か』は、どこかに落ちただろうけど。


 ラグリもただ、兄上のものだったから奪ってみただけ。兄上がどれだけ執着するか図るためにおねだりしてみたら、意外とあっさり手放した。だからリュミエールも、タイミングさえ見計らったらあっさりくれそうな気もしてるんだけどね。最近の兄上の様子を見ると……どうなんだろう?


 ともあれ、兄上から譲り受けた従者はどこか煮え切らない顔をする。


「そういうわけではありません。ただ、自分は与えられた役目をこなすまでですので」

「ふ~ん……」


 僕は名残惜しくも、水槽から離れる。

 だけど何も心配はないんだ。どうせ、『リュミエール』はぼくの水槽からは出れない。


 ぼくはラグリのネクタイを引っ張った。


「別に見た通りのことを報告にあげていいよ。ありがとね。ぼくを守ろうとしてくれているんでしょ? でも大丈夫だから。別に、どこかの使用人の暇に関与したって咎められることもないでしょう?」


 そして、ぼくはラグリに笑みのひとつを残し、水槽へと戻る。

 この往復の間に、ぼくはあれ(・・)を踏んだのだろうか。まぁ、わざわざぼくが確認するまでもないよね。どうせ人生を長い目でみたら、子供時代のそばにいた相手なんて思い出のひとつにすぎない。いつかは顔すら思い出せなくなる。きっと、その程度なものなのだから。


 ――そうなるように、ひと時の戯れ相手は早めに始末しておかなくちゃ。


 ぼくが再び水槽を観察すれば、『リュミエール』の口の中に小さな小さな稚魚が飛び込んでいった。


「あぁ、今日も可愛いね。ぼくだけの『リュミエール』」


 僕は優しく、優しく水槽を撫でる。


緑のあとにちょっと入れたいエピソードができたので、完成原稿に手を加えてます。そのため当分1日1話更新にする予定です。最後まで宜しくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【去年のイロモノ小説】 捨てられた未亡令嬢ですが最強家政婦でもあるので、隣国の聖王子と幸せになりました。
ヒロインの名前はコジマさん
そろそろコミカライズが始まります。 『100日後に死ぬ悪役令嬢は毎日がとても楽しい。』
fv7kfse5cq3z980bkxt72bsl284h_5m4_rs_13w_9uuy.jpg
特設サイト
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[一言] 熱帯魚の名前… 緑から逃げ切れるのか!? 最も強敵かも知れん…(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ