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僕はなにかになれただろうか。
僕はなにかになろうとしたことはあっただろうか。
人間はなにかにならなければならないのだろうか。
なぜ人間はなにかになろうとするのだろうか。
なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、目を瞑って考える。
ああ、めんどくさい。めんどくさい。
なにかを考えるのも、なろうとすることも、全部含めてめんどくさい。
死んでしまえば楽になれるのだろうか?そんなこと何回考えただろう。
そしてその度、死んでみようとするも、怖くて死ねない。
死にたいと思っているものの、心の奥底では死に対する恐怖が根を張っている。
その度、「本当は死にたくないんだな」と言う自分に対する絶望、羞恥心に悶え苦しみ、さらに死にたくなる。
「もういいや」
そんなことを言った瞬間である。
声が聞こえてきたのは。
なんだ?何か言っている。
はっきりとは聞こえないが女性のうめき声が聞こえてくる。
頭が痛い。脳みそに直接釘を鎚で打たれているみたいだ。
痛みがピークに達した時だった、意識がぷっつりと途絶えたのは。