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第9話
ラルドはガッツリとキャンシーの腕にしがみつき歩いている。
(そんなに怖いのかな?…それでもついてくるとは、志は立派だな。)
「あ、あの、キャン、シー、さん?」
「ん?何?」
「あの、真っ暗で何も見えないんですが、キャンシーさんは見えてるんですか?」
「あぁ、そうか、見えないのか。」
(しまった…つい癖で…)
キャンシーが指の先から炎を出す。その形は狐の形をしていた。
「わあ!」
ラルドはその狐を手で囲った時それが消えた。
「あ…すみません。」
「あはは!」
再び狐を出す。
「これ、<火狐>って魔法なんだけど、脅しに使う技だからあんまり殺傷能力高くなくて、生物に触れちゃうとすぐに消えるんだ。」
「そうなんですね。」
「ランプとかない?」
「カバンの中にあります。えっと……あ、これです。」
「うん、この火をランプにつけて…これでよし。完成。」
キャンシーはランプをラルドに渡し指を吹いた。
「本物の火があればよかったけど、ないから気をつけてね。」
「はい!」
技は使いようです。