第2話
「ついた、立派な屋敷だね、ラヴィ。入ろう。」
女性は宿の前の柵を開け、それをそのままにしたまま宿に入った。
「お邪魔します。」
女性はゆっくりと扉を閉めた。
「わぁ!綺麗!」
外装は不夜の館に相応しいようないかにもな様子にもかかわらず、内装は少し暖かさを感じる色の電灯にふかふかしたソファ、それに合うように作られたと思われるその他の家具が置かれていた。
(あんまり期待してなかったけど、これはすごいなぁ…)
「ラヴィ、受付に行くよ。」
受付の前で女性の足が止まる。
受付にはうつ伏せで眠っている女性の姿があった。その姿はまるで映画に出てくるお化けのようである。
(何この人…外見も怖いし、オーラも怖い…)
「ラヴィ…」
女性はぬいぐるみをその受付の前に出した。
「やめる?」
ぬいぐるみから声がした。
「えー、それはないよ。せっかくの宿なのに。」
「だって、私嫌だよ?こんなの。」
「私だって嫌だよ。」
「じゃあ、野宿しようよ。」
その時、かなり大きなカバンを背負った一人の少女が宿の中に入ってきた。女性とラヴィは気がつかない。
「ぬいぐるみだからって身勝手なことを!」
「関係あるの?」
「ある、蚊に刺されない。というかなんで今まで話さなかったの?私街で変な目で見られたんだけど。」
「ぬいぐるみは喋らないよ。」
「そんなこと言ったって…それに…」
「あ、あの!」
少女が大きな声を出す。ラヴィたちはそれに驚きながら振り向いた。
「な、なにか、お困りですか?」
ラヴィを持つ女性は頭の上にハテナが見えるような顔をしていた。少女は焦る。
「あ、私、この宿の者でして。」
「ん?あー!なるほど。えっと、今日依頼で来ました。"キャンシー"です。」
「キャンシーさん!はい!伺ってます!少し待っててください!あ、座っててください!」
少女はソファを持ち上げ、受付の前に持ってきた。
「あ、うん、ありがとう。」
「はい!」
キャンシーが座ると少女は奥の部屋に向かった。その時に少し顔を歪ませながら、受付の女性を一瞥した。
不夜の館っていうのは宿主の趣味でつけた名前です。