第1話
「この街かー。」
ある一人の女性が街の入り口にある市場を歩いていた。
「んー、あまり活気があるようには見えないけど、人がいないってわけでもないんだね。」
女性は鼻歌を歌いながら、市場の中を歩く。
その途中である果物屋を見つけた。女性はある果物に目が止まる。
「……これ、フララスじゃない?ねぇ、ラヴィ?」
女性は鞄の中のぬいぐるみを見た。
「値段は300ゼル?やっぱり違うのかな?」
女性は店の端の方にいた店主に声をかけた。
「ねぇ、これはフララス?」
「ん?あぁ、そうだよ。」
店主は新聞を読んでいた。耳にはピアス、頭には飾りが付いていた。
「安いよね?」
「値段か?まぁ、他のところに比べればな、ウチは特別だから。」
「ふーん、じゃあ、貰っておくね、はい。」
女性はお金を渡し、その店から離れた。
「いい買い物したね、"ラヴィ"。」
女性はぬいぐるみを見る。
「それにしても、次の宿はどこにあるんだろ?」
女性は街の端にある看板を見つけた。
ここから先2キロメートル、不夜の館。
「えー、街の端から端まで来たのにまだ遠くまで行くの?仕方ない。」
女性は宿までの道をのんびりと歩いた。急ぐことはない、それが彼女らの旅の導き。
ゼル≒円