空から降ってきた大魔王様 〜桐生くんの事情〜
〜桐生君の事情〜
ドオォォォンと言う音と共におれの魔力が四方に散っては雨のように下に見える森や街に降り注いでいく。
森や街?
何で森や街が下に見えるんだ?
「だぁぁぁぁっ!おれ、空から落ちてるぅぅ!!!」
なーーーぜーーー?
まっ、でも落下する先が海とか湖なら・・・と、希望的憶測で下をみたり。
「まじで?」
下、城だし。
屋根の先っぽ 、尖ってるし。
あれに刺さったら、おれ死ぬし。
「うわぁぁ~!!!死ぬ死ぬ死ぬ!!橘ぁぁっ!好きだぁぁっ!!」
そう言えば橘どこだよ?
って、いねぇし。
落下中じゃなくて良かった・・・じゃ、ねぇっ!
まだおれ告白の返事聞いてねぇし。
「橘と×××するまでおれは死ねねぇーーっ!!」
ありったけの魔力を手に!
下の城の屋根を壊しちまえっ!!
「うおぉぉぉっ!!!」
どぉん!どぉん!どどどぉぉん!!!
よしっ!屋根が壊れた!!
「・・・どうやって着地したら良いんだ?」
落下続行中な、おれ。
「だあぁぁっ!!たーちーばーなー!!!」
上目遣いで首を傾げた橘に『桐生君、好き』って、語尾にハートマーク付で言われてぇぇっ!!
ひゅるるるるる……
おれ、落下中。
「もはや万事休すだな。魔王。」
「くっ、罠に誘き寄せられるとは・・・迂闊だっ・・・。」
ドゴォォォン!!!
「だあぁぁぁぁぁあっ!!!!!」
何かシリアスな場面にごめんなさぁぁい!!
でも、床に激突してペチャンコも嫌だぁぁ!
飛ぶ魔法ってどうやったんだっけ?
くそっ!わからねぇ。
そうだ!
風の魔法で 落下速度を落とせば!!
Let's try☆
ごおおおおぉぉぉっ!!!!
「ぎゃぁああっ!!竜巻ぃぃぃ!!!」
城の中のやつらまで巻き込んじまったしぃ!!
「魔王っ!貴様、こんな奥の手をっ!!!」
頭に冠を乗せた偉そうなおっさんが竜巻に巻き込まれまいと踏ん張りながら目の前にいる黒服の角を生やした男を睨んでいる。
角を生やした男はうまい具合に竜巻の中心の無風地帯にいるからか、被害はない。
「いや、余は知ら・・・待てよ。」
角の生えた男はニヤリと笑っておれを指差した。
「このお方こそ真の魔王!魔王中の魔王!!大魔王様である!!大人しく余の宝を返還し、恐怖に震えるが良い!!!」
って、誰が大魔王だっ!!
と反論したかったけど、おれはこの竜巻にのって回っているうちに意識まで回りながら飛んでいってしまった。