第一章 一年目特務実習編①
俺は部屋へレイナと共に向かう。部屋は三階建て校舎の三階、中央階段の校舎正面から左側すぐの01号室だ。
中に入ると高級ホテル程でないにしてもそこそこの値段のホテル並の内装だった。靴は室内土足厳禁なので掃除が楽だ。
間取りは、玄関、少し行くとトイレ、その反対に洗面脱衣所と風呂、
廊下の先にリビング、その先にベランダがあり、リビングの右手にシステムキッチン、左手側にもう一部屋あり、寝室になっていた。部屋は結構広く4人でもまだ余裕があるだろう。そんな部屋に俺はレイナと同居する事になる。申請し、規則を守れば男女共同で寮に住んでも怒られることは無いのである。
なぜらな戦場で野営する時テントの部屋割りで困らぬように今から慣れるという目的である。しかし中にはそれはもう破廉恥な事を相手に同意を得ず行う(やったら厳罰)バカがいるので申請式なのである。
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「さて、荷物の整理は終わったか?」
「終わったよ、ゼロ♪」
「じゃあ、食堂に行こうか」
「うん!」
そうして俺達は食堂に向かった。
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食堂は校舎の二階にある。二階は主にブリーフィング室、研究室、訓練室、情報管理室、武装整備室、食堂、工房がある。
食堂は中央階段から、左へ向かい、またすぐに左側にある、部屋である。
食堂に着くと、程のクラスメイトが集まっていた。
「お、ゼロとレイナは同室か?」
入ると早速ルイドは聞いてきた。
「そうだよ」
「孤児院時代からな。ルイドは誰とだ?」
「俺はゼクトアとだ。おーい、ゼクトア」
「なんだ、ルイド?む?ゼロとレイナもいたのか」
こちらに来て俺たちにも気づいた様だ。
「あぁ、部屋の話をしてた所だ」
「そうか、俺はルイドと同室で14号室になった」
「おう、俺達は01号室になった、よろしくな。ゼクトア」
俺がそう言うと。
「男女同室はゼロとレイナだったのか…まぁ、よろしくたのむ」
「男女同室なら他にもユウとマリー、レクスとシルもだぜ?」
「そうなのか!だが孤児院からなら慣れているのか?」
驚いていた。
「まぁ、あいつらはそれ以外もあるがな…」
「あの4人はボクたちと違って、付き合ってるからね」
それに俺は同意する様に頷く。
「そうなのか!?へ~、あの二人付き合ってるのか。あれならゼロは?」
「俺達は婚約してるんだよ」
「ほ~、まぁ、よろしく」
「おう、よろしく」
丁度話が終わる頃マルス教官がやってきた。
「さて、全員揃ってるか?
大丈夫みたいだな。此処は朝、昼、晩と開いているから、お願いして作ってもらっても、自分で作ってもいいぞ。」
どうやら食堂で料理してもいいらしい。
「さて、早速明日から実戦だ、内容は最初に近接格闘、休憩を挟んで近接武器の訓練、また休憩した後、遠距離武器の訓練だ。午後は各自自習だ、動きの確認を行うと良いだろう。
9:00に初めて15:00まで、休憩は各訓練後15分、昼は90分だ、何か質問は?」
明日から実戦するらしい、他よりかなり早いだろう。
そう思っていたら、メリーが質問していた。
「教官、明日から実戦するのは了解しました。しかし他はまず座学入るのでは?」
すると。
「確に他の学校、普通科は座学からだが、此処は特務科、即戦力を育成する為に創設されたクラスだ、だからまずは実力を見て、その上で特務実習の難易度を決める指標とする為に最初に実戦を行い、実力を測らせてもらうんだ。
その後は、特務実習の内容によって座学を行い、実習の地域情報、種族情報、敵情報を知って貰う」
此処はどうやら実戦重視らしい、基礎はそれぞれ自主的、あるいは基本的なことしか教えないらしい。
「そして、座学をして2日から3日後に現地へ行き4日間程実習を行い、帰還するということを三週間毎に行う。つまり、初め実戦で実力を測り翌日訓練、2日から3日で実習内容に応じて座学と準備、現地に着き次第4日程実習、その後1日観光、計最短で10日の実習期間を間に二週間挟んで行う。間の二週間は各基礎学や、訓練に当てる。コレのローテーションだ。説明はこれでいいか」
「はい、ありがとうございます」
以外と実際の職場と同じ位の頻度で実習をするらしい。ただ、
「マルス教官、最短と言うことは長引くこともあるんですか?」
「ああ、ある。大きく分けると、敵勢力が逃走し周辺への被害が大きくなりそうな場合、期間内に調査地域から出られなくなった場合、不測の事態に陥り長期化した場合だ。
一つ目は、可能なら我々だけで、無理なら地域の協力を得て対応し、できるだけ早く解決に務める。
二つ目は、本部、つまり学院へ連絡し、探査を続行、不可能な場合は応援を呼ぶ事になる。
三つ目は、本部に連絡後、情報を収集、定期的に連絡し、応援が来るまで、解決可能なら解決し、不可能な場合は時間を稼ぐ事になる。
長期化の理由はこんな所だろう、
他は班員やクラス全員の体調、移動手段や地域の環境、その日の天候次第で多少前後するだろうな。」
「ありがとうございます」
かなりきつい内容のものもありそうだ、しかし俺達13人は、こんな事はほぼ常にあったので問題無さそうだ。
「質問はもう無さそうだな。なら今日はここまで、後は自由に過ごしていいぞ。ただし、19:30までにはこの校舎に居るように」
「「ヤヴォール!」」
そして解散となった。
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間章 文明技術力②
今回は学院支給のデバイスについて紹介しよう。
このデバイスは見た目はスマホである。ただし、液晶画面だけでなく,ホロディスプレイも出てくる。
更に学院や公共の商業施設で買い物をする時、公共交通機関を利用する時などに、電子マネーが利用でき、更にはコンビニのATMでチャージ、及び、電子マネーを現金に出来るのである。
そして一番の使用方は、任務中の連絡、周辺情報の収集、急な魔力、霊力、次元振動を感知した場合、それを知らせる機能がある、連携させた軍用コードレスイヤホンデバイスがあれば、デバイスホルダーに入れていてもイヤホンデバイスの軍用バイザー越しに操作できる機能もある。
このデバイスは軍用でもあるので軍に入っても同じものを支給される。しかし学院支給のものはデザイン及び一部機能が違う。
機能としては学生証か、所属証明かの違いである。できることに関しては軍支給の方はより実戦向きになっている。
学院のものは軍に入る時にバージョンアップする事でそのまま使え、強度も同じなのでそのままカバーデザインを少し変えて使う人も居る。
今回はここまでとしよう。
間章 文明技術力③へ
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翌日…
「さて、早速模擬戦を行う、相手は決まっているな?
残りは俺が相手をする。
じゃあそれぞれ間をとって向き合え」
俺とレイナは向き合い準備をする。
「それじゃあ、構え、初め!!」
初めの合図と共に拳を握り瞬きの間にお互いの間合いに入る、そして俺が腕を振るうとレイナは姿勢を低くし足払いを掛けてくる。
それを側転で回避し回し蹴りを放つ。すると腕で弾き逆の腕で攻撃してきた、その腕を掴み引っ張るとそのまま襟を掴み背負い投げで反撃をしようとしてきた。
なので空中で体を捻り腕でを解きある程度の距離で着地した。仕切り直しである。
しかしそこで…「どうなってんだそれ!?」と言う驚きの声が聞こえて来た、お互い構えを解いてそちらを見ると教官と俺達以外の14人がこちらを見ていた。
「ん?どうした?」
そう聞くと…
「いやいや、その動き、どうやったんだ?」
「そうだ、あの一瞬で近ずき殴り掛かって、回避し足払い、それを回避して回し蹴り、カウンターの背負い投げからの脱出、それをたったの"3秒"でやったんだぞ!?」
どうやら手加減した上で組手をしたがそれでも、早すぎたらしい。しかしこれ以上遅くしたら訓練にならない。
しょうがないので、
「俺達は今までこれぐらいで練習してたからな、慣れれば出来るぞ?」
「うーん、まぁ実際やってるしそれならいいか。
じゃあ、再開するぞ!」
そして近接格闘は終了した。
休憩の後、近接武器の訓練が開始された。
「今度は近接武器の訓練に移る。自分の武器を使って構わない、ただし怪我をするなよ?武器は寸止めだ。
それじゃ、構え…初め!」
こちらでも驚かれることとなった。
そして午後、遠距離武器の練習になった。
「さて、早速射撃ポイントに並んでくれ。」
俺達はそれぞれの指定場所に並ぶ。
「目標は300メートル先のあれだ、まずは当たればいいから気楽にやれ、今回は30発撃ったら終了するものとする。」
話を聞きながら前を向くとそこには人型の的が存在した。
「以上で説明は終わりだ、質問は?…無いようだな、それでは構え…撃て!」
その言葉と共に俺は両手の銃を的に向ける、そして…
ダァァァァァン…
たった1度しか引鉄を引いたようにしか見えない速度で俺は発砲した。
弾は外れることなく的の関節を吹き飛ばし、急所を破壊した。
するとやはり俺のこの射撃に驚く奴が多くいた、教えるのは苦手なので教えるのは勘弁願った。
そして、訓練終了後…
「うん、まぁ、人外と言って良い奴がいるが、概ね把握した。明日から座学に入るが、2、3日後には実習内容が決まる筈だ。
それじゃHRを終了する。起立、礼」
「「ありがとうございました」」
俺とレイナは寮に戻るとお互いにリビングでホットミルクを飲みながら今後について語り合った。
「さて、今日は結構加減したんだが驚かれることになったなぁ~」
「そうだね~、でもしょうがないよ実際ボク達は殆ど人じゃ無いし、皆より戦いの中で生きてきたからね」
「そうだな、特に二つ前と六つ前が最近だときつかったかな?」
「うん、あれは大変だったね~」
そう、俺達には幾つもの前世の記憶と経験がある、中には人では無い存在だった時もあったし、人を辞めた事もある。
ここで俺とレイナの前世7つを紹介しよう。基準は総合的な強さだ。
まず俺から、
一つ目は魔導騎士
名はグレイス・アルディアス。性別、男。
多くの魔法、魔術を剣術と共に使いこなし多くの敵を葬った前世だ。
二つ目は魔弾の魔女
名はリーレ・クラウディア。性別、女。
煉獄と凍獄の禁呪を使い5つの国を消し去った。
三つ目は星刻の銃士
名はジーク・フリーデン。性別、男。
銃剣を使い一人で何でもこなして見せた。
四つ目、吸血姫
ミュリア・ナイトウォーカー。性別、女。
様々な禁術を使い、力と魔術で世界と戦った。
五つ目、魔王
名はゼルグ。性別、男。
闇の魔導を極め、世界から敵対された。
六つ目、研究者
名はフェルミア・クルード。性別、女。
医学、薬学、物理学、天文学、考古学など、多くの学問を学び、知識を求めた。
七つ目、叛逆の英雄
名は夜刀神 彰馬。性別、男。
英雄となったが、国に裏切られたため叛逆者となって、周辺含め3つの国を滅ぼした。
次はレイナ
一つ目は剣巫
名はセシリア・アルディアス。性別,女。
剣と神楽で俺達を支援し、多くの敵を封印した。
二つ目、妖狐
名は樟葉 雪性別、女。
妖術を使い多くの敵をなぎ払い、恐れられた。
三つ目、星刻の槍士
名はフェル・フリーデン。性別、女。
巧みな槍さばきで敵を仕留め、俺達と共に駆けた。
四つ目、錬金術師
名はアルディア・クリード。性別、男。
世界の発展を支えた一人、当時の世界一の術者。
五つ目、剣将
名はカイル・マグナス。性別、男。
次期剣聖とまで言われたが、旅をする為に成ることを拒んだ。
六つ目、魔剣士
名はイルミ・ユーリエ。性別、女。
魔剣を背負い、多くの敵を葬った女剣士。
七つ目、騎士
名はリリーナ・メルティノース
。性別、女。
国を守るため、剣技を極め、多くの戦争で戦果を挙げた。
これらの前世の経験を持っているので技術面では学ぶ事があまりない。
しかし、その世界だけの経験もあるので、それを学ぶために学院へ入学するなどのことをする。
そして、二つ前は邪神と戦い。
六つ前はいくつかの世界を旅し魔王を7体討伐した。
どちらも、開戦30年以上かかったために大変だったのだ。
「さて、もうすぐ食堂に行こうか?今日は和食らしいし」
「うん、早めに行って明日からについて皆と相談しよう」
そして食堂に着くと3人と合流し中に入った。
中には皆揃っていて、食事をしながら明日からについて相談し合った。
ちなみに食事は魚と味噌汁の和食だった。
……To be continued
今回は話しが長くなるのでいくつかに分けました。
次は一年目特務実習編②です。
読んでいただけたら嬉しいです。