表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
友情なんてクソくらえ!  作者: ありま氷炎
第2章 可愛い女たち
5/46

2-1

「武?」


 目の前の猫のような可愛い子、玲美れみが上目遣いで俺を見る。


 ああ、そうだった。

 

 あれから数日後、玲美から電話があり、一緒に飲むことになった。

 俺としたことが、こんな可愛い子のことを忘れており、電話で説明されるまで誰かわからなかった。


 ここずっと気になっているのは可愛げのない女、眞有まゆ

 

 夢にまで出てくるようになったもんなあ。

 重傷だ。


 キスの感触が忘れられない。

 キスよりもっと進んだ関係になりたいと思っている俺がいる。


 この感情は何なんだろう。


 好き?

 まさかな。


 ありえない。


「武?聞いているの?」


 玲実は少し怒った顔をして俺を見上げる。

 可愛い、とても可愛い。

 以前の俺であれば、甘い言葉をかけまくり、お持ち帰り。

 しかし、そんな気分になれなかった。


 誘いに乗らなければよかったなあ。


「玲美。悪い。ちょっと体調が悪いんだ。帰ろうぜ。また次回、飲み直そう」

「ええ?」


 腰を上げて財布を取り出した俺を玲美は不服そうに見つめる。

 

 俺もそう思う。

 こんな可愛くて、抱きしめたら柔らかそうな体なのに、なぜかそんな気分になれない。


「悪いな。誘ってもらったのに。今日はお詫びに俺がもつから」

「えー!? お礼のつもりで誘ったのに」

「いいからさ。じゃ、別の機会にお礼をしてよ」


 彼女の肩をぽんぽんと叩くと笑いかける。すると玲美は目を細くして俺に微笑を返した。


「いいわ。次は絶対に最後まで付き合ってよね」


 最後までって……

 可愛い顔してよく言うな。

 ああ、以前の俺なら次と言わず、今日そのままホテルでも俺の部屋にでも連れ込むのに。

 いかんせん、やる気がない。


「ああ、楽しみにしてるよ」


 そう答え、俺達は別れた。


 家まで送ればよかったかなあ。

 駅に向かいながら、そんなことを思ったが彼女は必要ないと断った。

 その頑固な様子をおかしいなと思いつつ、眞有のことを考えてしまい、そのことはすぐに忘れた。


 俺、やばいな。

 どうしたんだろう。


 自分の状態が解らず、戸惑いが募る。

 落ち着かせようと夜空を見上げ、星を探す。

 しかし、都会の空は明るすぎて星を見つめることができなかった。


 そういえば、実家の空はきれいだったなあ。

 空気もうまかったし。


 ふいに十年近く帰っていない実家を思い出す。


 まあ、弟がうまくやってるだろう。

 

 家業をつぐなんで嫌だ。

 こうやって自由気ままに過ごしたい。


 ポケットに手を突っ込むと駅への道のりを速足で歩いた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ