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友情なんてクソくらえ!  作者: ありま氷炎
第10章 幸せな結末
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10-9

 入ったからにはとりあえず何か食べないと、そう思いメニューから一番安いものを選び、簡単に昼食を済ませる。本当は、すぐに眞有に電話をかけたかったが、この店内でかけるのは無理だとわかっていた。


 痛い金額を払い、店を出るとすぐに眞有に電話した。

 彼女は俺が伝えた内容に飛び上がるくらい喜んでくれて、夜会うことにした。木村さんの店で二人でお祝いするつもりだった。


「撫山?」


 午後四時、携帯電話が鳴った。


「池垣さん、よい知らせです」


 珍しく奴はすこし嬉しそうに俺にそう言う。

 

 知ってる。

 でも俺が先に知ってると言わない方がいいよな。 

 この撫山と永香のおかげだし。


「あれ?喜びが少ないですねぇ」


 ホテル建設中止のことを知らされ、俺の反応がいまいちだったのか奴は訝しげだ。


「さては先に聞きましたね? 永香さん?」

「あ、まあ」


 適当に頷く。

 玲美と会っていたといえば、こいつが眞有に好からぬことを言いそうで黙っていたかった。


「眞有には伝えました?」

「ああ、もちろん」

「そうですか。それなら私が電話する必要もないですね。とりあえずおめでとうごさいます」


 奴は淡々とそう言うとぷちっと電話を切った。


 それだけ?

 まあ、用はそれだけだけど。


 奴の電話の切り方に、もやもやとした思いを抱えたが気のせいだろうと、仕事に戻った。



 午後六時、眞有に会うため仕事を切上げ、会社を出ると携帯電話が鳴る。


「兄ちゃん!」


 それは実家からで興奮した様子の弟だった。


「兄ちゃん。兄ちゃんが何かしてくれたんだろう?ホテル建設が取りやめになったんだ!」

「そうか、それはよかった……」


 やっぱり本当だったんだ。

 玲美と撫山から聞かされたが、こうやって学からも電話をもらい俺は心底安心する。


「兄ちゃん、どうやって阻止したんだ?この間はだめだって言ってたけど……」


 驚かない俺を訝しがったのか、学がそう聞いてきた。


「助けてくれた人がいるんだ」


 正直にそう答える。


「誰?」

「俺の彼女と、その友達。ほら、この間連れて行った金髪の」

「ああ、あの綺麗な人か!それなら、なんかお礼しないと。そうだ、今週末、商店街みんなでお祝いをしようと思ってるんだ。その恩人さんも連れてきてくれよ!」

「あ、そうなんだ。わかった」

「きっとだからな、兄ちゃんも久々にゆっくりするつもりで来てくれよな」

「学!」


 ふいに電話口から父さんの声が聞こえ、心臓がつかまれるような思いに駆られる。


「父さん!父さんからも兄ちゃんに何かいいなよ」


 しかしそんな俺に構わず、学は父さんにそんなことを言う。


「言うことなど何もない」


 だろうな。

 父さんはいつもそうだ。


 すると、学の溜息が聞こえた。そして次に言われた言葉に胸が熱くなる。


「まったく。兄ちゃん、本当は父さんすごく兄ちゃんに感謝してるだ。この話を知ったときもきっと兄ちゃんが何かしてくれたに違いない、頭のいい奴だからと言っていたよ」


 父さん。

 父さんがそんな風に。


「学、何無駄口叩いてるんだ。仕事に戻れ」


 俺の気のせいか、思い込みか、そう言った父さんの声には照れているような気がした。


「はいはい。まったく素直じゃないんだから。じゃ、兄ちゃん、今週末、絶対に恩人さんを連れてきてくれよ。時間とかはまた後で連絡する」


 学は笑いながらそう言うと電話を切った。



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