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友情なんてクソくらえ!  作者: ありま氷炎
第6章 迫られる選択
21/46

6-1

 そっと自分を撫でる手で目が覚める。


「母さん?」

「武、ごめんね。私を許して」

「母さん?」 


 ぼんやりと目を開けて母さんを見つめる。暗闇の中、母さんが泣いてるのわかった。


「どうしたの?」

「なんでもない。ごめんね。武」


 母さんはぎゅっと俺を抱きしめる。

 不思議に思ったが、母さんに抱かれ安心してそのまま眠りについた。


 それが母さんに抱かれた最後の記憶だった。


 ジリリリリリ!

 けたたましい目覚まし時計の音で目を覚ます。そしてベッドから這い出すと時計を止める。


「うるさい、まったく!」


 十数年ぶりに見た夢の後味の悪さも加わり、俺の目覚めは最悪だった。

 

 ああ、昨日、眞有と一緒に飲めたらよかったのに。

 そしたらこんな夢見なかったかもしれない。


 そう思いながら、ベッドから降り立ち、仕度を始める。

 

 俺の彼女、眞有とは昨日結局会えなかった。

 せっかく彼氏彼女になったんだから、一緒に過ごしたいと思ったのに、俺は接待で、彼女に会えなかった。


 くそっつ。

 

 ああ、胸糞悪い。


 自分たちを捨てた母なんて大嫌いだった。男と出て行くなんて最低な女だ。


 歯磨きをしながら、大嫌いな母のことを思う。

 ツルルル、ふりに着信音がなり、俺は慌てて口を濯ぐ。


 誰だ?

 

 洗面所から慌てて外に出て携帯電話を取る。ディスプレイを見ると『玲美』と表示されていた。俺は迷ったが、取らずに顔を洗うために、洗面所に戻る。すると着信音は数回鳴った後、止んだ。


 玲美、不思議な子だよな。

 しかも藤川が一緒にいるなんて、ますますおかしい。


 ま、俺はもう女遊びはしないから。

 関係ないか。


 タオルで顔を拭くと、鏡を睨む。

 鏡の中の俺は、ふふんと楽しげに笑っていた。


『おはよう。今日は元気にがんばろうぜ。今夜は会える?』


 電車の中でそうメッセを送る。数分後、『おはよう。そうだね。今日もがんばろう。今夜、会えるといいけど』と眞有から返信がある。


 それだけでなんだか嬉しくなる。


『会いたい。また連絡する』


 そうまた返事を返すと、駅を降りた。


 重症だよな。

 キャラが違う。


 いままでこんな風にマメに連絡することなどなかった。メールなんて面倒だった。でも眞有にメールするのは違った。


 さあ、今日もがんばるぜ。


 気合を入れると会社の入ってるビルに入った。



「玲美?」


 昼休み、面倒だから、コンビニで飯を買おうと思って会社を出ると、玲美に遭遇する。

 

 彼女がなぜか怒っており、大きな瞳をますます大きくさせ、口をとがらせていた。


「なんで、お前が……」

「武! なんで電話に出ないの!」


 俺の言葉を遮って玲美がそう言った。


 いや、そんな風に言われても。

 俺は眞有と付き合ってるし。


 戸惑う俺を玲美はじっと見つめている。その瞳がうるうるとし始め、慌てて彼女の手を掴む。


「ちょっと場所変えよ」


 会社近く、しかもコンビニ側だと目立つ。

 彼女を手を引き、近くの公園に連れて行った。


「玲美。電話出なかったのは悪かった。でも、俺は彼女ができたらか、もう遊ぶつもりないから」

「彼女って、あのデカイ女?」


 玲美は俺を見上げてそう聞く。

 確かに玲美に比べれば眞有は大きい。

 でも俺からすれば可愛い女の子だ。


「デカイは余計だ。隠してもしょうがないと思うけど、俺の彼女は安田眞有。だからもう俺に電話かけてくるなよな」


 用はないと彼女に背を向ける。


「絶対に諦めないから!」

 

 背後で彼女が叫ぶ。

 だけど、彼女の叫びを無視して、公園を抜け出た。冷たいようだが下手に同情するのはよくない。

 だめなものはだめだから。


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