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友情なんてクソくらえ!  作者: ありま氷炎
第3章 純粋な関係
10/46

3-4

「で、なんで俺に電話?」

「だって、いいじゃない。どうせ今彼女いないんでしょ」


翌日、仕事から家に帰って服を着替えたら、不意に眞有まゆから電話があった。そして俺は彼女と木村さんの店で飲むことにした。木村さんは支店のほうに行ってるとかで店には別のバーテンダーがいた。


 ま、いいか。

 

 しばらく待ってると眞有が来て、隣に座り真面目な顔をして俺を見る。


たける、どうしよう。好きになるかもしれない」


 彼女は俺から視線を外してそう言った。

 誰を指しているのかは、わかってる。


「……そのハーフの美形か?」


 撫山だ。


「うん」


 彼女は、こくんと頷く。


 なんで彼女はいつもそうなんだ。


「やめとけ。そいつは永香えいかが好きなんだろう?」


 俺は眞有をあきらめさせたくて、思わずそう口にする。


「……うん。多分。まだ」


 彼女は俯いたまま、そう答える。


 傷つけた。

 でも眞有を側につなぎとめておきたい。


「じゃ、無理だろう。やめとけ」


 俺の声は多分冷たいものだっただろう。


 撫山というハーフの美形が眞有に興味をもっているかなんて、わからない。でもどんな可能性があるかわからない。だから、彼女をあきらめさせたかった。


「そうだよね」


 しばらく黙っていた眞有は大きな溜息をつくと、グラスを持つ。


「今日は普通よね?」

「うん。いつのもやつだ」


 嘘をついた。今日こそは飲ませたかった。

 彼女を俺のものにしたい。


「げ、たけるの馬鹿。違うじゃないの!」


 彼女は顔を真っ赤にさせて、怒る。


 それが可愛くて、俺は彼女を抱きしめたくなる。


「たまには酔えよな。面白くない。大丈夫、家まではちゃんと送ってやるから」


 しかし俺の理性が必死にその衝動をこらえ、そう言葉にした。


「あんたの大丈夫は信用ならない」


 彼女は顔を赤くしたまま、頼んだ水を飲む。

 その仕草がやはり可愛く見えて、俺の心臓が跳ねる。


「つまんないな。眞有。一度くらい俺と試してみない?」


 気がつくと俺はそう口にしていた。


「誰が!」


 彼女は、ばんっとテーブルを叩くと立ち上がる。


「帰る」


 怒った彼女を止めようと俺も慌てて腰をあげる。


 すると目の前で眞有がバランスを崩した。


「眞有!」


 俺は必死に手を伸ばし、その腕を掴み、抱きしめる。


「あ、ありがとう」


 眞有が羞恥に染まった顔で俺に礼を言う。その顔に何とも言えない色気を感じて、俺の動悸が速まる。俺たちの距離はとても近く、彼女の息遣い聞こえるようだった。彼女が俺を見ているのがわかる。そしてその瞳に、ふいに驚きの色が浮ぶ、それは徐々に大きくなり悲しみに変わった。


「眞有?」


 俺は心配になり、彼女の名を呼ぶ。


「ごめん。やっぱり帰る。ありがとう」


 彼女は泣き出すのではないかというような、悲しげな表情で小さく答えた。


「眞有」


 しかし俺の心配をよそに、眞有は俺の腕をするりと抜ける。


 どうしたんだ?

 急に?

 俺のせい?

 わけがわからなかった。


「またね。武。おやすみ」


 しかし彼女は俺を再び見つめることなく、手だけを振ると店を出た。


 からんと扉が開いて閉まる。


 俺は眞有を追えなかった。

 その背中はすべてを拒絶していた。

 

 どうしてだ?


 俺はそう何度もそう問いかけながら、一人で飲み続けた。


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