考察
投稿は不定期です。
三歳になった。
否、わたしがではない。私の宿主が、だ。
とりあえず、私がこの三年間で分かったことを順を追って話そう。
まず、私がいるここは何処かというものだ。
それは、宿主....レイフォース=ライロックの中ではないかと思っている。
私の周りには、三年前から変わらず、大きなスクリーンと、深い闇が広がっている。
私には体などなく、周りが見えるだけだ。
スクリーンがなければ、今ごろ私の心は病んでいたことだろう。
見ているうちに、どうやらこれには、彼の見た世界が写っているようだ。
スクリーンがでてすぐの頃は、ずっと天井が写っており、なんだこれは、と思っていたものだが、しばらくすると、色々な人が、かわるがわる写った。
彼が自力で動けるほど月日がたつと、彼は鏡に興味を持った。
そして、しばらく彼の流行りの遊びは、自分とのにらめっこだったのだ。
もう嫌でも、何が写っているかなんて、わかってしまうものだ。
スクリーンが写る少し前に産まれたらしいこの赤子は、なかなかきれいな顔立ちをしている。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
ここが彼の中だと言う根拠は、もうひとつある。
音だ。
この暗闇のなかでは、何処からともなく音が聞こえてくるのだ。
物音のようなノイズも多くあるが、そのなかでも、人の声だと思われるものは、よく聞こえた。
彼がそちらに意識を向けているからだろう。
だがここで、大きな問題が発生した。
言語がわからなかったのだ。
雰囲気と、写るもので、この人がおかあさんかなぁ、なんてことはわかるのだが、何をいっているのか、全くわからない。
だが私は、諦めるわけにはいかなかった。