FILE6:エピローグ
それからの私は頭に浮かんだ話を全て原稿に書き込んだ。
どんなに出版社から批判されようとも、私が小説家を諦めることはなかった。
そして三年の月日が経った――
私は町の外れへと足を進めていた。小脇に一冊の本を持って。
向かう場所は勿論flat。
店の前に立つ。
たとえ町自体の雰囲気や商店街に並ぶ店が変わっていても、flatは全く変わっていなかった。
カランカラン――
懐かしいドアのベルの音。
自然と笑みが溢れてしまう私。
「…いらっしゃいませ、お客様。flatへようこそ。」
いつもの笑顔を携えたオーナーがそこにはいた。
いらっしゃいませ、flatのオーナーでございます。
三年経った今、この場で木曜日に癒してきたお客様方の現在をお伝えしましょうか。
まずは女子高生さん。
新しい恋人を見つけたようで、たまにここに来てくださいます。
「あのときの恋は、今も大切な思い出です。」
そう言った彼女はとても幸せそうでした。
次にカップルさん達。
結婚して三年、子供が産まれました。先日赤ちゃんを抱いてご夫婦で店に来ましたよ。
あと、あの小学生の男の子はやりたいことを見つけて、両親と話し合っているそうです。
…何がやりたいかは聞いていません。
そして、小説家を目指していた彼。
先日彼の名前を知りましたよ。勿論本屋さんでね。
カランカラン――
おや…新しいお客様が来たようですね。
では皆さん、お元気で。flatをご利用いただき、ありがとうございました。
flat完結です。
長々と未熟な文を読んでくださり、ありがとうございました(>_<)