06. 再訪
後日、空が1人で父の屋敷へやってきた
先日兄弟2人で訪ねた日に、もう遅いから後日出直すように言われたのである
しかし、武官長である天と文官長である空にはそれぞれの仕事で普段から忙しくしている
天にはそれに加え龍雅の監視という仕事も加わり当面2人で予定を合わせる事ができず、それぞれの空き時間を使い王からの遣いを進めていく事にしていた
屋敷に着くと、門で王の側仕えが待っていた
神殿までを送ってくれる道中で、父の様子を尋ねてみた
「本日は寝所にてお休みになられております。今朝からお体が優れないようで。しかし、日によっては以前程ではありませんが、お体を動かし散歩に出たり色々と作業もしておられます。お会いになられますか?」
「休息中の邪魔をする訳にはいきません。時間も限られてますので、用だけ済ませて戻ります。」
そう話しながら神殿の前へと通された
「ここから先は、我らが立ち入る事は出来ません。侍女が巡回しておりますので、何かありましたらお申し付け下さい。」
失礼致します、と側仕えが頭を下げ去っていくのを見送ると神殿への扉を開けた
いつから掃除がされていないのだろうか
扉を開けると、部屋は塵が舞い白く曇り、空気も重く、神殿にあるまじき惨状となっている
空は持ってきた布巾を額に巻き、鼻と口を覆うと、急いで窓を開け換気を始めた
同じ頃、天は黎明苑を訪れ龍雅の様子を見張っていると、勉強の時間が終わり、部屋の後ろで見ていた天は扉や窓を開け、子供達が外の遊び場へ走って出ていくのを見送っていた
そんな中1人、日の光を浴びて大きく深呼吸する少年の姿があった