14.生命の泉
翌朝、天と空は崖を目指して森の中を歩いていた
「こんな砂漠の中にこれだけの森と水源があるって凄いよな」
「あの神話が本当なのか、後付けなのか、真相は分からないけど、どちらにしても神様の恵みあってこそだよね。じゃなきゃ、あちこちで干ばつ起きてるのにここだけは枯れないのは不思議でならない」
そう話しながら森を向けると目的地が見えて来た
「あそこか?」
「そうだよ」
「ここって、もしかして、あの生命の泉って所か?」
「昨日は、神様と通じれる場所があるって記憶を頼りに来たんだけど、帰ってから調べてみたら、ここが生命の泉なんだって。昔小さい時に連れて来られたよね」
「たったその記憶だけを頼りにここまで来たのか?そりゃ帰されるわ。」
前まで来ると、二人は話すのをやめ、水に手を潜らせて祈りを唱え始めた
「おお、来たか、来たか。待っておったぞ。早速昨日の話の続きをしようか。空や、天にも話は通じておるな?」
「はい。」
「では本題に入ろう。君たちは蛇を探しておる。それで情報を求めてここに来た。そうじゃな?」
「はい。その通りです。」
「天、昨日は何処にいた?」
「はい、私は昨日黎明苑にいました。」
「最近国境付近には行ったか?」
「はい。」
「その時に、儂はお前の近くから気配を感じた。その時一緒にいたのも黎明苑の住人か?」
「はい。しかし当時は二人いたうちの一人は未入居でした。」
「ふむ、そうか。ひとまずお前たちの父親に本当に知らないのか確認してみなさい。それと、もう一度黎明苑に行ってみよ。それとこの事はまだ口外するではない。良いな?」
「はい。必ずお守りします。」
「他に何か話はあるかい?」
「今の話の流れだと、花梅か龍雅が持っていると言うことですか?」
「ふむ。その可能性は低いじゃろうな。神殿に入るのは容易では無いし、そもそもそれだけを外せる訳が無い。操れる者が現れたかも知れぬ。ともあればかなり厄介じゃがな。言うつもりも無かったが、儂は聖剣、それと君たちが持つ指輪の蛇の中に寄生することができる。しかし今、聖剣には寄生もできなければ在り処の気配すら辿れない。つまり乗っ取られたと考えるのが妥当かもしれんのじゃ。」
「しかし、そんな普通では考えられないような力を持つ者がいると言うのですか?」
「それをお前さんが言うかい?神と話せるのもおかしいだろう。」
言い返された空はごもっともと言わんばかりに黙り込んでしまう
「もしそうだとすれば、一番簡単なのは聖剣を一番近くに構える人物、君たちの父親じゃ。」
「お父様の可能性があるなら何故再び黎明苑に向かう必要があるのですか?」
「お前達のお父様に話を聞くのは、今回の件を起こした可能性があるから。黎明苑に行くのは、気配を感じた二回ともがその関係者だからじゃ。誰が何を以てこうしておるのかは分からんが、今の奴を動かす主が誰なのかで奴の持つ力が変わる。嗅ぎまわればお前達に危険が無いとも言えぬ。」
「私たちに危険が、ですか?」
「まあ、あくまで可能性じゃがな。目的が分からん以上無いとも言えぬじゃろう。」
「お祭りまではもう一か月を切っています。それまでに間に合うのでしょうか?」
「それはお前達のお父様次第だな。奴が知らなきゃまた振り出しに戻る。代替案を用意しておくのも策じゃろうな。とにかく一度話してみて、必要ならまた来なさい。」
「承知しました。お力添えに感謝いたします。」
二人で挨拶を済ませて、再び森へと足を向けた
「今からお父様の所に行ける時間あるかい?」
「ああ、あるよ。早く取り戻さないと、お祭りで困るからな。」
そして天と空はこのまま父親の住む屋敷へと向かうことにした




