12.花梅
玄関と扉を開けると、そこには侍女の花蘭が控えていた
「お帰りなさいませ」
出迎えの挨拶と共に、昼間に空が探していたこと、仕事を終えて帰ってくるのを待っていることを聞いた
天が帰ってきたら、すぐ私の所へ来るように伝えて欲しいと言われていたそうだ
「分かった。すぐ行く。それと、これ姉さんから渡して欲しいと預かった。まとまった暇を出せて無くて申し訳ないが、心配していたからたまには帰ってあげてくれ。家は無理でも黎明苑なら日帰りできるだろう。」
「ありがとうございます。」
そう言って受け取ったが、自分の娘の行動に心配と申し訳なさを感じたのか、
「いくら親しいとは言え、王族様に使いを頼むなんて、娘の無礼をお許しください」
と言った
「気にしていない。姉さんは姉さんだから。早く空の所に行かないと、何か急ぎの用があるのだろう。」
そう言って、空が居そうな部屋へと向かった
姉さんこと花梅には父がいない
花梅の母は俺達の侍女花蘭である
だから、昔は花梅もここに住んでいたり、頻繁に出入りしていた時期があった
空とは違うが、他の同世代の女性とも違う、そんな感覚な特別な存在である
本来なら侍女の娘が、王子にお使いを頼むなど無礼に当たる行為ではあるが、本当に気にしていないし、姉さんもきっと同じ感覚なのだろうと思って、この荷物を預かってきた
普段の接し方だってそうだ
立場を弁えて話すこともあるが、きっと年上の兄弟がいたらこうなんだろうな、と思うような話し方をしてくる事もある
そもそも俺も空も自分より下の身分である花梅を姉さんと呼ぶ
特殊で不思議な間柄なのだ




