11.授業
昼食を終えた天は、外の広場で一緒に遊びたがる子供達に囲まれていた
「駄目だよ。ちゃんと授業しないと、あのこわーい姉ちゃんにまた叱られちゃう。遊ぶのは後からにしよう!面白くなりそうな剣の訓練も準備してるから、最初だけは真面目に…」
天は少し離れた場所にいる花梅に聞こえないよう、段々と声を小さくしながら言った
「さあ、始めるよ。1人1本模造剣を持ってきて。俺より準備が遅かった子は遊んであげないぞ~」
そういって天は、模造剣がしまってある黎明倉に向かって走り出す
「ずるい!」、「大人げない!」と笑いながら、子供達もその後を追って走り出した
昼食の後のこの時間は、お昼寝の必要が無い年長の子供達だけが参加している
剣の取り扱いの基本をお復習して、素振りを1人1人天が見てまわる
一通り終えると少し休憩をしてから模擬戦を行う
今日もいつもの流れ通りにお昼のお勉強が終了した
お昼寝をしていた子供達も起きて、夕方頃になると、夕方のお勉強が始まる
今日は天がいるので、この時間も全員で剣術を習う日だ
参加できる年齢の子供達全員が模造剣を持って集まったことを確認すると、これから始める練習のルールを説明し始めた
「ここに引いてある線の外に出ないように、全員で試合をする。剣が体に当たったら脱落。時間になるか、最後に残った1人が優勝。剣を当てられないように避けながら、防ぎながら、相手を攻撃するんだ。勿論、これは練習だから怪我させないように気を付けるんだぞ。」
少し距離を置いた場所で、まだ幼すぎる子供達の面倒を見ている花梅を時折目で確認しつつ、試合が始まった
決着が付くと、夕方のお勉強も無事に終えた
片付けを終えた天は、1人厨房で慌ただしくしている花梅の元へ向かった
少し手伝いながら、花梅が一段落した時にそろそろ帰ると告げた
「今日もお疲れ様。貴方が来ると子供達が喜んで楽しそうにしてくれるから、私も嬉しいわ。
そうだ、1つだけ頼まれてくれないかしら?これを母に届けて欲しいの」
そう言って、花梅は風呂敷に包まれた物を渡してきた
「貴方達に仕えてるなら大丈夫だとは思うけど、ちゃんと食べて休んで元気にしてるか心配なの。」
「忙しくさせてしまっているのは事実だ。家に帰れる程まとまった暇を出せないが故に、不安にさせてすまない。」
早いところ何か手立てを考える
そう言って包みを受け取った
「一応聞くが、中身は?」
「食べ物よ」
花梅相手に聞く必要な無いと思うが、宮廷に持ち込むには、規則で確認する必要があった
「姉さんにはもう少し心配かけるが、これはちゃんと届ける」
と言って天は黎明苑を後にした




