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スーパーモデル 人のこわれかた

作者:文園そら
 人事部に休職を言い渡され、社会復帰のためデイケアサービスに通う僕。僕に癒しをくれた「あの子」は、生活保護を受けながら最低限の収入で暮らし、人生の終わりを待つ。

「投げられた石にとって、上っていくことが良いことでもなければ、落ちていくことが悪い事でもない」ーマルクスアウレリウス
裕福とか成功とか、それって本当はどのくらい大事なんだろう。

↓ネタバレあり概要↓
 社会に出て銀行員になった僕は、多忙さと精神負担からか、出勤時にたびたび自殺を考えるようになる。入社一〇ヶ月後には通勤途中で知らぬ道を無意識に進んでいき遅刻をするなど、定時出勤が難しい状況が続き、人事部から休職を言い渡される。
 その期間に癒しをくれた「あの子」は、生活保護を受けるフリーター。自分の顔が不細工で嫌だったという理由で一升瓶を投げて鏡を割り、際限なく左手首をカットし、深酒で眠りこけ、常々僕へ浮気の疑いをかけてくる、精神不安定なあの子。あの子だけが、休職中の唯一の癒しとなる。二人関わり合いの中で、僕の真の目的は決定される。「ただ、できるだけ早く穏やかにこの世から消えること」
 あの子は多趣味で、哲学思考や芸術を好む性格であった。僕は趣味として詩や小説を書き、ときおりあの子に見せては、感想や批評を仰いだ。あの子は小説では三島由紀夫、美術ではゴッホを愛し、特にゴッホの美術展には僕を誘って行くこともあった。
 僕は一応、社会復帰のため努力をするが、その一環としてデイケアサービスが挙げられる。これは休職や退職した者が社会復帰のため、お互いに相談し合ったり、引きこもりにならぬよう定期的に外に出る習慣をつけたりするための支援プログラムである。僕はそこで「姉さん」なる人物と出会う。ヘビースモーカーでバツイチの姉さんは、僕にとって人生一周目を経験した先輩であり、優しい言葉かけはわずかばかり僕の寿命を延ばした。
 終盤、僕は職場復帰を果たすことが決定する。これを知ったあの子は、今まで一度も外さなかった左手首のリストバンドを外し、リスカ痕のカサブタを小型のカプセルに詰め僕にプレゼントする。僕は感激してカプセルに糸を通し、ネックレスにするが、間も無くあの子は自殺してしまう。
 僕はそれなりに働いていたものの、あの子のいない世界で存在意義を見出せず、誰に宛てるでもない遺書を書いて物語は終わる。
本文1
2025/11/01 18:55
本文2(完結)
2025/11/02 21:05
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