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黒に憧れて  作者: さぁち
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わたし

自分が見たことのない世界って存在しないって思いがち。

ニュースで出てくるヤクザも、外国の犯罪組織も、どこか別の世界だと思ってる。

でも、確かに存在する。



私の家は普通だった。家庭環境が悪いわけでもない、厳しく育てられたわけでもない。

どちらかというと家族仲は良い方だったと思う。

それでも私は物や人に対して強い感情を持つことがなかった。

小学生の時に学校で飼っていたウサギが死んだときも私だけが感情を表さなかった。

クラスのみんなが私を非難してその時に初めて気づいた。私は少しおかしいって。



人は自分がおかしいことに気付くと一生懸命周りに馴染もうとするらしい。

周りを観察して、感情を研究した。

容姿を褒められたら照れたように笑う。誰かが転校したら涙を流しながら見送る。

痛みを表現するには顔をゆがめるといい。人が死んだらその人を想ったふりをしながら泣く。

一つ一つ物事と感情を繋げ、日常生活を問題なく送れるように努力した。



中学を卒業して高校生になって、やっと周りから浮かなくなった。

むしろ、私からほしい反応を貰えることの満足感からか周りには人が増えていった。

高校生になって初めて告白をされた。

人を好きになるってどういう気持ちなんだろう。人を好きになれる彼を少し羨ましいと思ってしまった。でも別にその感情を表現するほどではない。適当に困ったように笑い告白は断った。

後から聞くと、学校でそれなりにモテる人だったとか。興味ない。



私にももっと強い感情があれば…。今はもう叶わないことを考えながら家の玄関をあける。



私は恋をしたんだ。

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