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土日や長期休暇に部活があるとき、昼食や間食でカップ麺を食べることはよくあった。
校舎のすぐ目の前にある地元コンビニに買い出しに行き、カップ麺を買う。
買ってすぐ包装フィルムをはがし、その場でお湯を入れてもらう。
そこからが勝負だ。
部室まで三分弱というのはあくまで生徒玄関からの時間。コンビニからというとまた話が違う。
もちろん、走ればその分だけ早くたどり着くのだが、スープがこぼれる恐れもあるし、最悪の場合は転倒して大やけどなんてこともあり得る。というか、実際にあったらしい。
大やけどとまではいかなかったが、職員室前で転んで盛大にラーメンをぶちまけた生徒がいたため、『カップ麺を持って廊下を走らない』という文言が校則に追加されたという噂があった。
だから昼食にカップ麺を選んだ生徒――特に校舎最奥地の演劇部に所属するものは、いかにして三分の壁に打ち勝つかという難題に
三年かけて向き合うのだ。