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僕、生まれる

「(…暗い、あれ僕何してたっけ)」

失明してしまいそうなほど明るい光の後からの記憶が全くない理衣(りい)

先程までは確かに授業を受けていたはず、これは

「(もしかしなくても転生?!)」

すると突然動物(キツネ)の鳴き声のような話し声がする

「お母様、死んで無い?」

「ラキ、その言い方だとお母様が死んでいるように聞こえる」

「大丈夫よ、どっちも生きているわ」

声の主が気になった理衣は、そこで初めて自分が目を瞑っている事に気がついた。

瞼が重しが乗ったように重く、やっとの思いで目を開け見えた世界は…

「キツ…ネ?」

尻尾と足の先が赤い黒狐がそこに3匹いたのだった。

「あら?起きたのね」

「ッ!」

混乱の中母親らしき人物?(キツネ)に声をかけられ、思わず体を跳ねてしまった理衣、

そんな理衣を見て、キツネ達が周りに集まる。

「大丈夫よ、私は貴方の母親なのだからね」

不思議とその声に落ち着きを取り戻した。

ゆっくりと考え始める、自分が今どんな状況なのか、きっと目の前にいるキツネたちが家族なんだろう。

母親と、恐らく兄が二人父親は狩りにでも出かけたのかもしれない、それでも一つわからないことがあった

どうして、お母さんの後ろに鎧を着た男の人が沢山転がっているのか。

「お母様、お腹空きました」

「そうそう、せっかくルジァーニアの国王がお祝いくれたのに」

「そうね、この子も目覚めた事だしご飯にしましょうか」

その会話から、察するに後ろの人達がお祝いとして送られてきたのだろう。

「(美味しいのかな)」

ただ、それだけしか思わなかった、元は人間な筈なのに、味の心配以外何も出てこなかった。

「こゆぅ、早く来なさい、全部食べちゃうわよ」

「はーい!」

理衣はこゆぅと言う魔物に転生したのだった。


「A5ランクのお肉みたいだったな〜」

ご飯を食べ終わり、こゆぅは母親から教えてもらったステータスを確認していた

「本当にゲームみたい…もうほんと最高!」

ステータスには、名前・種族・レベル・HP・MPその他諸々

元いた世界の情報まで個人情報の塊だった。

魔法の使い方については既に兄弟や母親から聞いていたので、こゆぅは早速とばかりに魔法を使う事にした。

「流石に初めてだから《ファイヤーボール》」

そう囁いた瞬間、目の前に火の玉が現れた。

初めて魔法を見たこゆぅはこの喜びをどうすればいいかわからず走り回った、とにかく走った。

しばらくしてだいぶ落ち着いたこゆぅは、他の魔法を使い始めた。

水、土、風、雷、毒全て難なくこなせてしまい飽きてきたこゆぅは、周りの木々を操らないかを試しだした。

全てのものは魔力を流せば粘土のように形を変える事を土魔法を使っている時にわかったので、それで何とかならいかと、試行錯誤していた時だった、母親に呼ばれた仕方なく断念したのだった


「今日の訓練をするわよ」

「「はーい」」

「(僕、先ほど生まれたばかりなんですけど?スパルタ!)」

家の洞窟からしばらく歩いた、森の中魔蟲(まちゅう)がそこには大量にいた。

2.3mぐらいの虫が空を飛び木を登り地面を這っている姿は気分が悪かった。

「お母さん、無理、僕無理!」

「大丈夫よ、貴方がさっき魔法を使っているのは見ているから」

見られてた、思わず母親の方を見る、いつから見ていたのか物凄く気になり聞こうとした瞬間。

小蝿(こばえ)の魔蟲が塊でこちらに向かってくる、ブーンと羽音を立てながら。

「いやーーー‼︎」

耐えきれなくなったこゆぅは理性を失い水魔法と毒魔法を使い殺虫剤を振り撒けた。

その姿に家族は驚いた自分たちは何とも無いのに魔蟲だけが次々と動かなくなっていく光景に、母親は感動すらした。生まれたばかりの我が子がいきなり()()()を創り出し詠唱も無しに大量に使うその姿に。

「フゥー、フゥー…」

「こゆぅ、凄いわ!貴方は私の自慢の娘よ!」

興奮したように話しかけて来た母親に、こゆぅは理性を取り戻した。

そして虫の死骸だらけの周りを見て、気絶したのだった。


日が登り始めた頃、こゆぅは家族の目を盗んで森の中を探索していた。

魔蟲も、殺虫剤で殺して土の魔法で埋めれば死体を見なくて済むので、安心して散歩をしていた、

そんな時ふと、父親とまだ一回も出会ったことがない事を思い出した、兄のラキは尻尾と足先は青くてもう一人の兄のルキは青紫だったから父親の色はきっと青なのだろうと思いながら歩き慣れた道を歩くのだった。

しばらく歩いた頃、自分と同じ種族の魔孤(まこ)に出会った、尻尾と足先はエメラルドグリーンで、何となく自分と歳が近いのがわかった、ちなみに僕は今0歳三ヶ月だ。

「えぇと、こんにちは?」

なぜか疑問系になってしまった、当たり前だろう、0歳数ヶ月の子同士そもそも言葉が伝わるかすら怪しい

お母さんが『こゆぅは魔王にもなれちゃうかもね、生まれてすぐ言葉を話して魔法が使えるんだもの!』て言ってたし、平均どれくらいかかるのかを知らないのでただの親バカの可能性もあるけれど。

「こ、こんにち…は」

返ってきた、こゆぅは心底安心した無視されたらどうしようかと内心ヒヤヒヤしていた。

「ぼ、僕ねパパに言われてご飯取りにきたんだけど…み、みんな死んでて君が後から回収するのかと思ったけどそのまま通り過ぎちゃって」

こゆぅは驚いた、(まさかこの虫を食べるのか魔物だから?でも僕も魔物だし)こゆぅの母親や兄弟は魔魚(まぎょ)や他の魔物を持ってきてくれるからだ、魔蟲はただの訓練するための的だと思っていた。

「必要なら自由に持って行っていいよ、僕こいつら嫌いだし視界にすら入れたく無いから殺してただけだから」

目の前の子は驚いた目をしていた代わりのものを用意させたり配下に入れと言わなかったからだ、今、この世界に魔王はいないそのため自身が魔王になる為に戦力を集める弱い者は魔王を目指す奴らの下につくことがほとんどだった、魔孤が弱いわけでは決して無い、なんなら強い方だ、だが生まれたばかりでは流石に最弱の魔蟲ですら倒すのが大変なのだ。

「い、いいの?僕、何も持ってないよ?」

「別にいいよ…あ!倒した後に土に埋めてたの忘れてた〜!ちょっと待ってね」

こゆぅはそう言い残しどこかへ行ってしまった、残されたエメラルドグリーンの色を持つ魔孤は余りの速さに固まってしまっている。

「お待たせ!沢山持ってきたよ♪これ全部君にあげる」

魔蟲は少し場所を移動すればそこらじゅうにいる為、こゆぅはわざわざ取りに行き目の前の名前も知らない魔孤に渡したのだった。

「君、名前は?」

「コ、コイキ…です」

「僕はこゆぅよろしく、じゃ、また会ったらその時はよろしく」

こゆぅはそのまま歩きだしてしまった。


いつもの散歩コースも折り返し地点に来た頃、こゆぅはバカでかい犬?に出会っていた。

「お主、我を見ておじけずかぬとは世間知らずよのう」

「なんだこのわんこ態度でかーな」

この、無駄に図体も態度もでかい犬は無駄に綺麗な見た目をしていた、白い毛に9本の尻尾の先は濃い青で境目は少し黒い、フワッフワで多分イケワン。

「我は水属性のフェンリルだ」

フェンリル…ん?フェンリル?

「フェンリルってあの?ファンタジー定番の聖獣?」

「ファンタジーというのがわからんが、お主我をしっておるでは無いか」

「フェンリルって風魔法が得意なんじゃ無いの?」

「風属性の奴らが多いだけだぞ」

とんでも無いことが発覚した、僕の前世の記憶が役に立たないことがあるそうです…まじか

「フェンリル…いいね僕の配下になってよ」

「ハッ、お主のような小狐が何をほざく」

「じゃぁ勝負しようか、負けたほうが勝った方の配下になる」

「ふむ、よかろう」


「ククッ、まさかこの我が負けるとはな」

「あ、その喋り方やめてうざい」

「…ひどく無いか?」

結果はこゆぅの圧勝だった、闇魔法でフェンリルの動きを封じひたすら火を近づけたり遠ざけたりしてフェンリルが降参するのを待った、物凄く滑稽だった。

「従魔契約的な何かある?」

「俺を従魔にしようってことか?」

「そう」

フェンリルは少々、いやかなり引いた、仮にも聖獣だそれを軽々しく従魔にしたいという今から主人になるこゆぅに引いたし恐ろしくなった。

「よし!これで従魔契約も終わったね、フェンリル名前何?」

「俺に名前は無い、好きにつけると良い」

正直めんどくさい、ゲームのペットですらペット1ペット2とつける始末、そんなこゆぅに名付けなど到底できるはずがない…

「じゃぁ、銀青ね」

こゆぅは驚いた、今回も手下1とでも名付けようとしたのに口が勝手に言葉を発したのだった。

「銀青…良い名だな!」

「(んー、喜んでるしいっか)」

こゆぅは考えるのをやめた

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