昼食タイム
「「それじゃあ、行ってきます!」」
僕とレナは昨夜お父さんに頼まれたお父さんの知り合いらしい人を案内するために待ち合わせの場所であるリンゲル高原というポカロ村からは山をひとつ越えたところにある高原に向かうため家を出発した。
「お父さんの知り合いかぁ・・・レナはどんな人だと思う?」
リンゲル高原はかなり距離があるためとりあえず会話しながら歩き、気を紛らわそうと思いなんとなしにレナに質問してみた。
「うーん・・・やっぱりおじさんと同じ騎士団の方だと思います」
「あっ、レナもやっぱりそう思う?」
「シオンくんもですか?」
「うん、お父さんの交友関係っていったらそれくらいしか思いつかないからね」
などと少しお父さんに失礼な話をしながら僕たちはリンゲル高原への道をのんびりと歩いていた。
今日は晴天で気温も高すぎず丁度良い暖かさだ。
うーん、こうやってレナと一緒にどこかに出かけるのも久しぶりに感じるなぁ・・・
ここ最近はあの地震の影響もあってお母さんに危ないからあまり遠くには行かないようにと言われていたのだ。
そんな事を考えながら歩いていると隣が静かになっていたのが気になったのでレナをみてみた。
なんか楽しそうだな・・・
「レナ?なんか楽しそうだね」
「はい!シオンくんと久しぶりのお出かけですから!」
「最近は地震のおかげでお母さんが心配しちゃって遠出とか出来なかったからね」
「そうですね・・・だからこうしてシオンくんと一緒にどこかに行けることが楽しいし、嬉しいんです!」
と言い、レナは僕の方をみてニッコリと微笑んだ。
うっ!それは可愛すぎる
レナに満面の笑みで言われ照れた僕はれなから顔を背けてしまった。
「どうしたんですかシオンくん?」
「いや、なんでもないよ・・・それよりもそろそろお昼にしない?」
僕は話題を逸らしにかかった。
「そうですね!どこか座れそうなところは・・・
あっ!あの木の下のところだと余裕をもって食べることができそうですよ!」
僕が話題を変えることができたことに安心しているとレナがそう言って指をさしていたのでその方向をみてみると確かに丁度良さそうなスペースがあった。
「じゃあ、ここで食べようか」
「はい!」
こうしてレナと一緒に布を下に敷き、持ってきていたお弁当を広げた。
「うわぁ!おいしそうだね!」
「そ、そうですね」
何やらレナがそわそわしているが気にせずに僕はお弁当の方に目をやった。
卵焼き、サンドイッチ、おにぎりに山菜を煮たものがある。どれも美味しそうだがとりあえず僕は一番最初に目に入った卵焼きを食べる事にした。
僕は卵焼きをひとつ箸でつまんで口に放り込んだ。
パクッ、モグモグ・・・ゴクン、
卵がふわふわしていて舌触りも良く、甘さも甘すぎずに程が良い・・・。
こ、これは!
「う、うまい!」
そう、めちゃくちゃ美味しかった。
「ほんとですか!?」
「うん!すごくおいしいよ」
僕がそう言うとレナは頬を真っ赤に染めてとても嬉しそうにしていた。
一体どうしたと言うのだろう?
なんてことが頭の中に浮かんだが気にせずに僕はもう一つ卵焼きを頬張った。
そして口の中で数回咀嚼したところである違和感を覚えた。
「あれっ?なんかいつもと味が違うような・・・」
僕が頭に浮かんできた疑問を発してみると、
「じ、実はその卵焼き・・・私が作ったんです」
と、レナがモジモジしながら照れ臭そうに言ってきた。
「え、これレナが作ったの?」
「はい、おばさんに一番最初に教わったのがこの卵焼きなんですけど」
「今朝おばさんからどうせなら今日のお弁当の卵焼きはあなたが作ってみなさいって言われたので私が作ってみました」
「へぇー、そうだったんだ」
「はい」
「でもなんかいつもの卵焼きよりおいしく感じたよ」
「ほんとですかっ!?」
「うん、僕はこっちの方が好きかな」
「頑張ったんだねレナ」
「は、はい!ありがとうございます!
凄く嬉しいです!」
レナは目に涙をためてそう言った。
「じゃあ、さっさと残りのも食べちゃおっか」
「はい!」
こうして僕たちはお弁当を食べ進めた。
横をみてみるとレナがニコニコしながら楽しそうに食べている。
理由はわからないけどまぁ、レナが楽しそうならなんでもいいか!
こうして楽しい昼食の時間は過ぎていった。