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絶零のアポカリプス~君と手をとる異世界平定~  作者: 他仲 波瑠都
第1章 悲劇の始まり
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予兆


あれからもたわいのない話をしながら夕食を食べ進め時間は過ぎていった。


「ふぅー、ご馳走様でした!」


両親のイチャつきを視界に入れることなく先に食べ進めていた姉さんが一番最初に食べ終わったらしい。大きな欠伸をした後、食後の挨拶をして食器を片付ける為に立ち上がろうとしたその時、



ゴ、ゴゴ、ゴゴゴロゴゴゴロ、


かなり強めの地震が起きた。


「みんな!はやく机の下に入れ!」


お父さんがそう叫んだのでみんな素早く

机の下に潜り込み、地震が収まるのを待った。


ゴゴゴゴゴッゴゴ、ゴゴロッゴゴ・・・・・・



しばらく机の下で揺れが収まるのを待っていると

徐々に揺れが小さくなっていき、完全に収まった。


「もぉー!またなの?」


姉さんが少し怒気を含ませた声色で言う。


今姉さんが言った通り実はこの地震が起きたのは今日が初めてという訳では無いのだ。この現象は一ヶ月ほど前から続いており、日が経っていくにつれ揺れの大きさ・揺れる時間は大きくそして延びていく一方だった。


そして今日は今までで、一番揺れが大きく時間も長かった為、いつも災害などがあった時に冷静に指示を出してくれるお父さんが今日ばかりは驚いて言葉を失ってしまっていた。


「今日のはなんかいつもより大きくなかった?」

「そうだな、ここ最近酷くなっていく一方だったが今日は特に酷かった」

「あなた・・・王国ではもう原因はわかってるの?」

「あぁ、一応もう既に調べはついてあるよ 公に発表はしてないけどな」

「なんで?」

「民が知るにはあまりにも衝撃が大きすぎるからだ」

「で、原因は?」

「その前にお前達は魔人族の前王である

"アストラルデモス"は知ってるな?」

「うん!この前お父さんが教えてくれたやつだね」


アストラルデモスとは魔人族の前王でその力はとてつもなく強大で歴代の魔王の中でもトップクラスの魔力を誇ったらしい。


それに加え頭も良く戦術も自分で考えてしまうため上から下の兵士まで戦術が行き渡っており、連帯感が強いので隙がなく他の三種族は手を焼いていた。


「でもその魔人ってもう引退したんじゃなかったの?」

「確かに引退はしたんだが、まだ部隊は率いていて大事な時には出撃していたんだ」

「そうだったんだ・・・それでその魔人がどうしたの?」

「それがな、竜族と魔人族の間で争いがあったらしくアストラルデモスが部隊を率いて戦ってたらしいんだが・・・」

「?」

「・・・・・・一匹の竜に壊滅させられたんだよ」

「え・・・・・・?」

「魔人族は何も抵抗出来ずに撤退を余儀なくされた」

「それって竜族の王様だったんですか?」

「俺も最初はそう思ったんだがどうやら違うらしいんだ。その竜が現れる前にいきなり雲が異常なほど黒くなり、雷鳴が鳴り響ひいて強風も吹き荒れた」

「そして魔人軍に混乱の渦が広がっていき一度体勢を立て直そうとしたその時にあいつは姿を表した」

「漆黒の雲から降りてきたそいつは体はとても大きく今までの竜族の王の誰も太刀打ちできないほどの大きさで十本の大きな角と七つの頭を持ち、その大きな角には一本一本それぞれに神を冒涜するような言葉が深く刻み込まれた冠がありそれはあの魔人族でさえ恐怖で言葉が出てこない程だったらしい」

「そいつはなんて言うの?」

「それはわからないんだ、すまんな」

「・・・・・・」

「王国ではその竜がまた何かをしでかそうと動いているのではないか、という結論に至ったよ」

「全然対策とか思いつかずに皆が頭を抱えて悩んでる」

「・・・・・・」


そうして僕たちはあまりの衝撃の大きさに言葉が出てこずしばらく微妙な空気が流れた。


あの歴代トップクラスの力とも言われたアストラルデモスを一瞬で消し去ってしまうなんて・・・。

もしそんなのが襲ってきたら・・・。

しかもまだ対策の案すら思いついていない・・・。


みんなが恐らく最悪の事態を想像してどんどん空気が暗くなっていく一方でどうしようか悩んでいた時、


「あなたたち話はそれくらいにしてはやく割れた食器の片付け始めましょう」


お母さんはそう言って手を叩くと気合いを入れ直し暗い雰囲気を変えるようにみんなを促した。


お母さんはいつも家族が落ち込んでたらこうやって雰囲気を変えたり和らげたりしてくれる。

そうして僕は改めてお母さんの凄さを認識し、気合いを入れ直して片付けを始めようと頭をあげた。


うわぁー・・・食器も割れちゃってるし、家具も倒れてぐちゃぐちゃになってるな。はっきり言ってめんどくさい・・・


今入れたばかりの気合いはどこかへ吹き飛んでいき


僕がこれからの事を考え、憂鬱になってる時に

お父さんから声がかけられた。


「そういえばシオン、明日は山菜採りはいいからリンゲル高原にレナと行ってくれないか?」

「いいけどなんで?」


リンゲル高原とはこの村を出て山をひとつ越えたところにある大きな平野だ。そこには花畑もありたまに家族でピクニックに行くこともある。


例えるなら、アフリカのサバンナかな?


・・・・・・・あれ?・・・アフリカ?・・・サバンナってなんだ?


僕は一瞬頭をよぎった聴いたことない単語に首を傾げたが、またお父さんに話しかけられた事とその単語が頭の中からスゥーっと消えていった事もあって、気持ちを切り替えてお父さんとの会話に集中した。



「お父さんの知り合いが明日この家に来るんだけど案内してあげてほしいんだ」

「わかったよ」

「レナちゃんもいいかな?」

「はい、大丈夫です」

「じゃあ二人ともよろしくな」


そう言ってお父さんは片付けに戻って行った。


お父さんの知り合いかぁ・・・同じ騎士の人かな?


そんな事を考えながら僕も片付けをすることにした

説明のしょうがない不安を心に留めて置きながら・・・・・・・・・。

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