表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/278

JAD-068「使えるものは使う」


「人造で、石の力を引き出す人形の研究。それがこの施設の目的だったようです」


「なるほどね……これは実際に力が引き出せるかどうかのテストベースだったってことか」


 こちらの攻撃により、沈黙したJAMもどきたち。

 パイロット相当の相手も、オイルのような何かで少々グロい姿だ。


 使えるものがないか、確認していくのも少し気が引ける姿。

 これらと、上階にあったものを考えると、カタリナぐらいのが完成形だったのかな?


「レーテ、使えるものは使ってください。それが彼らの……いいえ、私たちのためです」


「そう……じゃあそうするわ」


 うなずきなおし、探索を再開。

 ここはぎりぎりまで何かと戦っていたのか、物資にばらつきがあった。


 不似合いな銃器たちは、保存の対象外だったのか錆びたり朽ち果てている。

 もともとの施設にあったものは、そうでもないのだけど。


(その割には、きれいなのよね……壊れた破片も落ちてないのはなぜなのかしら?)


 生じた疑問は、すぐに氷解する。

 壁際にあったコンテナみたいな箱から、何かが複数出てきた。


 思わず機体にライフルをかまえさせ……。


「敵!?……なんだ、掃除屋か……」


「これが施設内を掃除、維持していたんですね」


 大きさは片手の長さぐらい。

 平たい、円柱状の機械だ。

 アームを複数備えており、それでごみを拾ったり、修理をしたりする。


 今も、JAMもどきの足元で破片なんかを集め始めた。

 踏みつぶさないように注意しないとだ。


「このコンテナの中身はっと……あっ!?」


「珍しいですね、操作ミスですか?」


「違うのよ、このコンテナが最初は妙に軽かったのに、重量が急に……んん?」


 壁際の棚に置かれていたコンテナたち。

 その1つをブリリヤントハートに持たせたところ、その重量の変化に対応できず落としたのだ。

 幸い、コンテナの中身はどうにもならなそうな部品群だったのだけど……。


「この棚、重量軽減の床材があるのでは?」


「確かに、隅に石を入れる箱もあるわね」


 大きさ的には15メートルほどの棚、その上に敷かれたマットのようなもの。

 色々確認した結果、石を動力源として上に乗ったものを浮かせるものだとわかる。

 正確には、ある程度以上の重量だと浮くことはできず、軽減だけになりそうだけど。


「そうね、トラックの荷台に敷いて、移動を楽にしましょう」


「賛成です!」


 そうと決まれば話は早い。

 ほかにも探したいけど、まずはということで棚からマットをはがす。


 素早く地上に戻り、トラックから荷物を下ろしてマットを敷く。

 そして荷台の物を戻した時には、いい時間になっていた。

 獣やミュータントの襲撃に備え、コックピット内で仮眠をとることに。


「何か貴女の仲間に関するものを持っていけるといいのだけど」


「どうなんでしょう。私と同型はいないほうが安全だと思いますよ……」


 言われ、記憶にあるゲーム世界でも似たような話が合ったのを思い出す。

 いわゆる、ライバルというやつだ。


 こんな世界で、そんな相手と出会ったら……まさに死闘だ。

 幸い、今のところはそういう相手の話は聞かない。


 この世界で目覚めて、もう何年もたっているけど……1人もだ。

 逆に、私だけが生き残ったのかもしれない。


「それもそうかしらね……。私の生まれ故郷に、変なのがあったりして」


「行ってみないとわかりませんけど、何かありそうですよね」


 2人で狭いコックピットで笑いあう。

 モニターからは、星空。

 地上に光が少なくなったせいか、何かの記憶より無数のといえるような星たち。


 瞬きを見ていると、自然と眠くなるのを感じる。


「明日は夜明け前に動き出すわ」


「了解です。夜の見張りは任せてください」


 それこそ、JAMや大型ミュータントに襲われなければなんとかなる。

 そんな安心感の中、人間らしく眠るのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ