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JAD-067「かつての同胞」


 カタリナが眠っていた過去文明の施設。

 動くものが私たち以外にいない空間を、警戒しつつ探索していく。


「電源はどこにあるのかしらね」


「私が眠っていたポット類には、もう電源が来てませんね」


 言われて歩み寄ると、確かにその通りだった。

 以前、私が押したボタン類も一切反応がない。


 ぎりぎりだったのか?

 それとも、供給の必要がなくなったと判断した?


「マップ情報からすると、地下があるはず……そっちかしらね。機体で行きましょうか」


「何か警備設備があればとっくに動いてると思うんですけど。でも、確かに地下は詳細不明ですね」


 カタリナがコピーしたデータ群には、この場所の構造情報も当然含まれていた。

 予想通り、今いる場所は展示、引き渡しも行う一時保管場所だった模様。


 本命は、地下だ。

 といっても、地下の詳細が出てきていない。

 広い空間であるということだけは、わかっている。


「警戒しすぎぐらいのほうがいいのよ。命は1つなんだから」


「了解です。石はダイヤと何にしますか?」


 基本的に、私はJAMの動力をダイヤにしていることが多い。

 1つだけだったときは色々使い分けていたけど、2つ使えるようになった今は違う。

 メインとしてダイヤ、サブに状況に合わせた属性の石をという運用だ。


「今回は……トパーズにしましょ。茶色に近いやつね」


 火や水、電気系は微妙そうだ。

 予想外の被害が出る可能性があるのだ。


「最悪の場合、岩とかを出して止めるんですね」


「そういうことね」


 トパーズで出せる岩といっても、もう結晶のようなものだけど。

 足止めには、最適なものの1つだ。


「さあて、この扉の向こうに……」


 地下への道がある扉は、ほかの扉のようには開かなかった。

 となれば、もともと予定していた手段の出番。


「ぶち抜く!」


 向こう側に何か待ち構えていても巻き込めるよう、扉をけり破った。

 もちろん、足先には石の力を込めた特別な一撃だ。


 大きな音を立てて、へこんだ扉が向こう側に吹き飛んでいく。

 結局、待ち構えてる敵対者はいないようだ。


「何もいないけど、何かあるわね」


「なんでしょう……今まで感じなかった力を感じます」


 カタリナが、私に同調することが可能になったからだろう。

 私が感じている何者かの力を、彼女も感じている。


 嫌な空気といった感じ。


「地下で何をしていたのか、なんとなく見えてくるわね」


 上が展示、引き渡しならそれ以外の場所で……生産や調整をしていたに違いない。

 ライフルを構えつつ、機体を歩かせる。


 ちょっとした建物より大きなJAMが進める通路も相当な広さだ。

 カーブしており、徐々に下がっているように感じる。

 何もないカーブの連続は、らせんのようになっているようだ。


 滑らせるように、機体を進ませる。


「地上から40メートルほど下がってきてます」


「もうそんなに? わからないものね……」


 しばらく進んでいると、そんなことを言われて驚く。

 人間だろう私の感覚が、少しおかしくなっているのだ。


「でも、ゴールは見つかったわ」


「レーテ、あの奥……」


 それ以上は言われずとも、だ。

 気持ちを戦闘モードに切り替え、見つけた扉をやはり蹴り飛ばす。


 とたん、光る何かが飛んできた。


「っとぉ!?」


「エネルギー弾! 反応増大! 4か所です!」


 回避した姿勢のまま、一気に室内へ。

 ちらりと見えただけでも、かなり広い場所だ。


 扉からさらに下に向かって坂のようになっており、巨大な地下空間が広がっている。

 幸い、近くにはものがないのでぶつかるようなことはなさそうだった。


「これはJAM!? でも、あれは……」


 続けて放たれる光を、左右に回避しつつ観察。

 相手は……壁に固定された状態のJAMらしき何か、だ。


 むき出しのフレーム、簡易だとすぐにわかる諸々。

 何より、コックピットには無数のコードが出ている人形のようなものがいる。


「たぶん、私の関係者ですね」


「交渉は無理そうねっ!」


 どう見ても機体に固定されており、外せそうにない。

 何より、問答無用で攻撃してきてるのだ。

 ここの施設としての中身を考えると、元の機能は生きていないに違いない。


 いろんなセーフティが壊れ、反射的に迎撃しているように見える。


「できれば色々聞き出したかったけど、そうもいかなそう……しとめる!」


「……わかりましたっ!」


 思うところがないわけじゃないんだろう。

 若干の間の後、肯定が返ってくる。


 地下空間を壊さないよう、慎重に狙いを定め射撃。

 槍のような結晶が放たれ、コックピットにいる何かを貫いていく。

 すぐに沈黙したJAMもどきたち。


「電源の維持は、あれらがしていたのかしら……」


「おそらく。研究施設の維持も仕事だったんでしょうね」


 まだ何かあるといけないので、機体からおりないようにしながら探索をするのだった。




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― 新着の感想 ―
[一言] 「交渉は無理そうねっ!」 ドアを蹴り破って、入ってくるって、敵しかいないと思われるよ。
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