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JAD-061「沸き立つ森」


「獣たちが、追いやられてくるかもしれないから気を付けて」


「真昼みたいに明るくなったからな……わかった」


 しばらくは町の防衛に注力した方が良い、そう助言をした私は機体に乗り込む。

 トラックはここに預ける形で、様子を見に行くのだ。


 宇宙からの来訪者、といっても生き物じゃなく隕石そのものに用がある。

 昔から、隕石の類は特別なものだ。

 地上にはない金属や成分が含まれていたりする。


「昔は、隕石を素材に武器を作ったことがあるそうですよ」


「いい素材にはなりそうね。宝石、ではなさそうだけど」


 町を出てしばらくすると、夜明けがやってくる。

 幸いにも、その間には騒動は起きなかった。


(ざわざわした感じで、あまり眠れなかったけど……)


 明るくなってきたところで地上を滑るようにして、わずかに浮きながら飛ぶ。

 途中、何か暴走していても対処できるように、だ。


「防衛ぐらいはできるんじゃないですか?」


「かもしれないわね。でも、できないかもしれない」


 ゲームでやった時のような、防衛戦のやりとりを思い出してしまったのだ。

 ボスを優先し、結果として自分は生き残ったが集落は……なんてこともあった。


「石の力を感じるなら、地上のほうがいいもの……ついでよついで」


「そういうことにしておきますよ。前方っ、何かいます!」


 カタリナの警告にわずかに遅れて、私にも相手が見えた。

 毛皮に包まれた巨体……人間からすると、だけど。


「熊、ね」


「逃げていきましたね……」


 何かから逃げてきた獣は、こちらに驚いたのかさらに別の方向へと走り去った。

 あの方向なら、町に行くことはないだろう……。


「センサーに反応が増えてきましたよ」


「全部が獣やミュータントか……果たして……」


 警戒度を上げ、道なき道を進む。

 そうして、太陽が真上にきたころ……。


 焼け野原になった空間が目の前に広がった。


「このぐらいの被害は許容範囲ということかしらね。町に当たればタダではすまないけど」


「実際、衝突の衝撃波みたいなのはあまりなかったみたいですね」


 確かに、森はハゲてしまっているが、それも隕石の破片が当たったからだ。

 周りが吹き飛ぶ、ということはなかった様子。

 メテオブレイカーが砕かなければ、これとは比べ物にならない被害だったに違いない。


 そして、ハゲた場所の終わり……そこに、塊がある。


「まだ表面もかなり高温ですよ」


「? まだ……? おかしいわね。丸1日とは言わないでも、結構時間はたってるわ」


 昨晩、すぐに出てきたのならともかく、夜明けから出てきたのだ。

 仮に大気圏との摩擦で熱くなっていても、冷えているはず。


「動力をダイヤとアクアマリンに変更」


「了解。変換完了です」


 視線をモニターに写る隕石からそらさず、宝石を入れ替える。

 心のざわめきが、収まらない。


「レーテ、隕石……ですよね?」


「それは間違いないわ。でもね、隕石にもいろいろあるの」


 そう、色々だ。

 自然に落ちてきた隕石かどうかは、わからない。


「最初に地上で宝石の力、星の力が認められたのは隕石だったのよ。その中に含まれた石が、今のジェネレータの原型だったとされるわ」


 複雑な文様のような配線、それが刻まれた核の中に宝石が収まり、力を発揮する。

 今、作られるJAMのジェネレータも、まるで儀式めいた配線が施されている。


 果たして、自然にそんなものが隕石の中に作られるだろうか?


「メテオブレイカーからもらったデータに、あったでしょ。最初の隕石と人類の出会いはどんなだったか」


「どんなって……え、これは……!」


 すぐにカタリナもそのデータに気が付いたようだ。

 そう、湖の底にあったあれと似たようなもの。

 多くの破片に砕かれ、この場所にあるのはあれ1つみたいだけど。


「地上に落ちた隕石は、都市を破壊した上に、現地の軍隊を壊滅に追い込んだそうよ。謎のエネルギーによる光線を放ってね」


 アクアマリンの力を引き出し、ライフルから力を放つ。

 同時に横に移動すると、隕石から……力ある光が返ってくる。


「今度は地上、しかも使い捨ての代わりに威力は確か! 来るわよ!」


 先日のやり直しのような攻防が、始まる。


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