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JAD-218「不穏の種」


「前方に生産設備を確認。破壊でよかったですか?」


「ええ、今回は。この辺りまで人が来るのはまだ難しいと思うわ」


 森にぽっかりと穴をあけたような箇所に、この場所はあった。

 メテオブレイカーの言っていた隕石の数を考えると、果たしてこれはいつのだろうか?


 規模は小規模で、脅威としても小さい。

 集落の人たちなら、到達の可能性はあるけどそれだけだ。

 ここの設備は、これまでにも見たように……どうも無人機の作成だけのようだった。


 武器が作れそうならまた別なのだけど、ね。

 建物の入り口は、無人機が入れないように岩を生み出してふさいでおいた。


 内部の護衛を倒し、生産施設とご対面だ。

 あるはずのない意思を感じたような気がしつつ、ライフルを構え……。


「っと、まだ出力が安定しないわね。ジェネレータの調子はまだ微妙か」


「はい。余裕を見て撃ち込んでください」


 本来なら、メテオブレイカーのような大きさでようやく行うような迎撃。

 それを無理やり連続で行ったのだ。

 自壊してダメにならなかっただけ、儲けたと言えるぐらいだ。


 幸い、ジェネレータの殻というかその部分にある傷みは直る範囲だった。

 時間をかけることで、自動的に修復してきてはいるけど、全力戦闘は無理だ。


(今度、JAMの核をよく見てみたいなー。だけど、下手するとJAMが壊れるからなあ……)


 正確には、ブリリヤントハートのようなオリジナル、発掘品のジェネレータを解析したい。

 今の世の中で、作り上げた形のJAMは出力や使える石に制限があるのはそのせいだと思う。


 そう、宇宙から飛来した形だろう、石の力を使う手法、その機材。

 もともとジェネレータごと星にたどり着いたのか、技術ありの人間が再生され、作り上げたのか。

 そのあたりはまだわからないけれど、明らかに違うのだ。


 間隔をあけ、ゆっくり目に撃ち込んだ炎の槍めいた力。

 炎の揺らめきが、そんな私の思考を照らすように燃え盛る。


「こんなものを作れるだけの技術を、この星で再現できたのかしら……なんだか気になる」


「そのことなんですが、これまでの情報を解析しての仮説なんですけど、先輩、メテオブレイカーは……あくまでも砕いた数だけを言ってましたよ」


「あっ、そういうことか!」


 確かにそうだった。

 私の聞き方も悪かったんだけど、砕いた経験は?と聞いたのが始まりだった。


 つまり、私が思ってる以上に、この星には隕石の皮をかぶった宇宙人類(?)の飛来物がある。

 もしくは、小さすぎてメテオブレイカーサイズでは迎撃できなかった可能性。

 不穏の種は、その数が不明ということか。


「これは厄介ね。まだ目覚めてない隕石ユニットとか、あちこちにあるのかも」


「そうなったら、星中を探さないとだめですね。しかも、私たちの把握できない場所に追加で落ちてくる可能性もあるわけで」


 まだ外に動いている無人機を倒すべく、外に向かう。

 戦わない無人機のもとへ行き、調査することで何か見つかるかもしれない。

 そんなことを思いながら、バリケード代わりの岩を砕いた。


 無造作に近づいてくる無人機を倒しながら、ため息1つ。


「お疲れですか?」


「ううん。まだ終わりは先なのかなってね」


 私が旅を一度終えるのは、おそらくこうした無人機の大きな拠点がなくなった時だ。

 自分の手でか、今の人類が対処できるようになって、かはどちらでもいいのだが。


「いいじゃないですか、旅は楽しいですよ」


「そうね、ええ。それはそうだわ」


 彼女の言うとおりだった。

 良いか悪いかは別にして、私がどこかで他の人のように家庭をとは考えられない。

 今更、誰か男性と一緒にとか、自分の子供が残せるか試すのも微妙。


 こうして、肉体が果てるまで彼女と旅をするのもあり、だろうか。


「? どうしました?」


「ううん。なんでも。残骸はどうしましょうね。少し持っていきましょうか」


 あっちで倒した時、無人機が回収していたのを思い出し、お土産を持っていくことにした。

 何が良いかと考え、生産設備のそれっぽい部分にした。


 収納できるだけ収納し、運び出す。


「再会のあいさつが銃弾とかないわよね……」


「武器自体見かけませんでしたし、大丈夫じゃないですか?」


 船のような場所にいた無人機たち。

 こちらを味方と誤認したのか、攻撃もしてこず、救援要請のようなものを送ってきた。


 そんな無人機たちは……今回も仲間が来た、と言わんばかりだ。

 次元収納から残骸を取り出し、少し離れた場所に置くと、アリが群がるかのように回収し始めた。


「この船?の護衛だけ命令されてる感じね」


「何か作業をしてる間、守っていろとかそういう感じで、何か起きたんですかね」


 それはそれでさみしい話と思いながら、船の周りから調査を始める。



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