表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

180/278

JAD-179「機械軍団VS一人軍団」

10話分飛ばしていたので、差し替えました。



「好き勝手に飛んでくれちゃって!」


 叫びながら、モニターをにらむ。

 集中し、力の流れを読むべき意識を切り替えた。


 見える範囲には、たくさんの羽根アリ。

 そして、見えないところにもきっといる。


「敵機増援多数!」


「わかってるっ! サーチは任せるっ!」


 両手にライフルを構え、当たるを幸いに連射。

 散弾気味にした光の弾丸は羽根アリたちを穴だらけにしていく……でも足りない!


 羽根アリたちは、脅威を排除するための物らしい。

 自分たち以外で唯一空にいる相手、こちらを認識しているようだ。


 無秩序に飛んでいるように見える相手を、笑っちゃうぐらいにどんどん叩き落とす。


「狙う方が大変ねっと!」


 殺気なんてないはずなのに、何かが突き刺さってくるような感覚があった。

 相手の動きが変わり、多少正面が落とされてもいいようにか厚みを帯びた陣形に。


(戦いの途中で切り替え!? どこかに指揮官機がいる!)


「出力低め、薙ぎ払うっ」


「了解っ!」


 散弾モードから、通常の照射モードへ。

 空に光の帯が伸び、そのまま機体を回転。


 水の出るホースをそのままに回転するかのように、光が円を描く。

 見える範囲の羽根アリを薙ぎ払った手ごたえ。


 それでもまだ、増援は尽きない。


「地上は混戦です。幸い、無人機とこちらは反対側なせいもあって、ぶつかってないようです」


「それは朗報ねっっと」


 私が飛んでいるのは、どちらかというと無人機側の空だ。

 当然、戦えなくなった羽根アリが落ちていく先は、兵士アリか無人機たち。


 少なくない被害が出ているのに、どちらも上を気にした様子はない。


(やっぱり、生き物ではないのね……)


「こいつら、石の力を感じてるのかしら?」


「かもしれません。最低でも、指揮官機はそれを可能としていると思いますよ」


 同意の声に頷く。

 そうでなければ、こうも私たちに集中してこないだろう。

 地上でも、多くの戦いが続いているのだから。


 まるで誘蛾灯に群がる虫のように、私たち、ブリリヤントハートへの攻撃は止まない。

 ありがたくもあり、その裏にある何かが怖くもある。


 少し高度を上げただけで、羽根アリは動きを変えてきた。


「横がだめなら真下って? 甘いっ! ブレード!」


 この羽根アリ相手なら、ASブレードでなくても十分。

 予備のブレードも構えつつ、両手の刃を急降下しながら振るう。


 紙を切り裂くように羽根アリを両断し続け、息を吐く。

 戦いに、興奮しているのがわかってしまう。


「バラバラじゃなく、何か連携めいた動き……謎が残ります」


「逆に、この方がありがたいんだけどね、ほんっと」


 実際問題、これだけの相手が全部バラバラに突撃、あるいは四方に飛んで行ってた方が厄介だ。

 まとまってこっちに来てくれるからこそ、戦いやすい。


 小さくても車ほどはある相手が、100や200と突撃してくる。

 その光景自体は、うっかりが怖いけどねっ!


 しばらく、まだ空を舞うことになりそうだ。

 続く戦いは、長いような、短いような。


「こっちの威力はまだ上げられるのよっ」


 まるで生きた槍のように、集団で突撃してくる羽根アリ。

 多少先頭がやられようと、食いつこうという狙いか。


「グリーンダイヤ! 開け、光の口! ジェーマ・レイ!」


 再び周囲を薙ぎ払った後、一度上昇して距離を取る。


「そういうこと……ははっ、私たちはまだまだ強くなれる!」


 戦いの最中、機体の変化を明確に感じ取る。

 動力炉となるクリスタルジェネレータに、宝石を入れて力を引き出すのがJAM。

 いつも必要に応じて入れ替えていたけれど、そこに変化があった。


 無数のポケットのようなものができ、そこに石が入るようだ。

 迷わず、ほとんどの石を放り込んだ。


「カタリナ、貴石変換準備!」


「わかりました! これは、内部で切り替えが!?」


「そういうことみたいね!」


 どうしても、これまでは石の交換に時間が少しかかった。

 通常なら気にもならないけど、戦闘中だと隙になる物。


 それが、ほぼなくなったといっていい。


「敵機、増援! まとめてきましたよ!」


「だったらこっちも……アパタイト!」


 ネオンブルーの輝きで、すぐにコックピットが満たされる。

 放たれるのは同じくネオンブルーの幻想的な色の弾丸。

 ただし、実体もある。


 眼下に、無数の花火が出現するのを見ながら、地上を観察する。

 どうにかこうにか、戦いは有利に進んでいるようだ。


 機械アリは、あまり多方面での戦いに向いていないのかもしれない。


「仮称将軍アリが減っています。どうします」


「どうするもなにも、女王個体がいると話が早いんだけど……あっ」


 唯一、戦いがない方向である川のほう。

 そちらに、動く影を見た。


「逃げて、再起を図ろうって? 今回は、それはできないわっ!」


 ひときわ大きく、お腹になる部分を兵士アリに抱えられながらの機械アリ。

 詳しくはわからないけど、動ける生産設備、自立した工場ということか。

 この距離でも女王個体とわかるそれを逃がすわけにはいかない。


 羽根アリを引き連れたまま、急降下。

 それに気が付いたのか、羽根アリも無数に後ろについてくる。

 しかし、こちらのほうが圧倒的に早い。


 羽根アリを置き去りに、地上へと迫る。

 推定女王個体も慌てた様子だ。

 

「遅い」


 地面に勢いよく着地しながら、ASブレードの刃を長くし、両断。

 振り返りつつ、空から迫る羽根アリに向けて、もう片方の腕でライフルを構えた。


 同時に、ボックスから予備のライフルたちを出現、機体にくっつける。

 そう、JAMに明確な設計図等いらない。


 どんな形でもいいということは、どんな武装の仕方でもいいということだ。

 ブレードもライフルも、あくまで石の力を形にするための道具でしかない。


 フィルター、変換機、増幅器……そのどれでもある、という感じ。

 逆に言えば、何か回路でくっついてなくたって、力は注げるのだ。


「ファランクスショット! なんてね」


 空に、無数の光の帯が放たれる。

 連射された光の弾丸が、羽根アリたちをまとめて撃ち貫いた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] JAD-178「乱戦の始まり」2021/12/24 07:00 JAD-189「変化する何か」2021/12/27 07:00 羽アリのあと10話ほど飛んでます
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ