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JAD-167「おあつらえ向きの……」


「接続を確認。エネルギー伝達、テスト開始します」


「お願いね。手ごたえとしては、全く問題なさそうだけど……」


 巨大な無人機の中にいた人型。

 頭部付近をつぶされ、動けなくなったそれから片腕、両足を取り外してきた。


 JAMというか、石の力を使う機械は、結構つぎはぎに自由がある。

 もともと、コンテナに推進装置として脱着を繰り返せたような歴史があるのだ。


(この無人機が、流用できるのが問題ではあるのだけどね)


 カタリナも敢えて言ってこないけど、本来ならおかしい話だ。

 この星で作られたものと、星の外から来た技術で作られたもの。


 つぎはぎ自体はできるだろうけれど、こうもぴったり行くだろうか?


「何か引っかかる感じもない……逆に怖いわね」


「どうします。どこかで、戻りますか?」


「武装はともかく、機体そのものは悩むわね」


 頼る相手は、メテオブレイカーだろうか?

 でも、あれは兵器でしかない。

 作戦行動の兼ね合いで、色んな設備がくっついてるだけなのだから。


 あるいは、武装を作ってくれたところに戻る手もないわけじゃない。


「様子を見ながら、流用しましょうか」


「それしかないわね」


 幸いにも、メイン武装であるライフル2丁と、ASブレードは無事。

 背面武装は、あれば便利といったところだ。


 そうこうしてる間に、テストが終わる。

 結果は、何も問題なし。


「稼働テスト開始するわ」


「了解。データはとっていきますね」


 頷き、まずは立ち上がらせ……その場で足踏み。

 1歩ずつ前に、そして空地へと。


 何度驚けばいいのかと思うほど、スムーズに動くことができた。

 試しに、その場でジャンプをさせたり、空想相手に近接戦闘をさせたり。


「損傷前との動きの差はほぼありませんね。まるで交換パーツの様ですよ」


「深く考えないようにしましょうか」


 見た目も、かなり似ている。

 こちらのほうが、より戦いに向いているような気さえする。


 あとは石の力を使った戦闘だが、これは今試すわけにもいかない。


「接近車両を感知。ライアンですね」


「あら? しばらく忙しいといっていたのに……」


 機体から降り、ライアンを出迎える。

 最初に会ったころより、戦士の顔をするようになった気がする。


「どうしたの、問題でも?」


「いえ、もう片方も無事奪還が終わったそうです。姐さんの情報通り、氷系が使えるJAMを中心に動きを抑えたみたいで」


 間違いなく、朗報だ。

 こちらは予定より早く終わったというのもあるけど、あちらもほぼ予定通り。


 押し込まれるような状況からのカウンター。

 人間の勢力が取り戻せたというのは喜ばしい。


(でも、まだこの地方だけってことよね)


 いうなれば、いくつもある国の1つが、反撃に成功しただけに過ぎない。


「戦い方のコツを、口座を知ってる相手に送金を繰り返すことで、メッセージを添えるらしいです」


「なるほど、その手があったわね」


 私の懸念は、あっさりと軽減される。

 必ず伝わるとも限らないし、対処しきれる保証はないけど、間違いなく変化するだろう。


「はい、姐さんのおかげですよ」


「私は好きにしてるだけよ。この場所が、君と関係がなければ何もしなかったかもしれないわ」


 実際問題、これは事実だ。

 故郷だということを知らなければ、好きに動いていただろう未来が容易に想像できる。


 知ってしまった以上は、自分の納得のために動いたわけだけどね。


「それでも、ですよ。カタリナさんも、ありがとうございます」


「私はレーテと一緒にいるだけですからね。これからはどこに向かうかは決まってるんですか?」


「いえ、しばらくはこちらも態勢を整えないとって言ってました」


 確かに、領土を取り戻したといっても、それだけだ。

 ちゃんと防衛するには、十分な準備がいる。


 撃破するのではなく、戦闘不能に追い込むというやり方を覚えた以上は、前より戦える。

 そのことが、安心材料となって防衛を強固にするだろう。


(倒しても倒しても湧いてくる、というのはきついのよね)


 ゲームでも、条件を満たさない限りは終わらない戦闘なんてのもあったからね。

 そう考えると、資源として実際に限界がある現状は、楽な方だ。


「本当は姐さんがいてくれたほうがいいんですけど、あっちの設備を見に行きませんか?」


「地下にある動いてないってやつ?」


 作戦を実施する際、もう片方の町には謎の設備があるといっていた。

 おそらくは前文明のだが、動いていないと。


「そうです。もしかしたら、装備の補充に役立つかも……俺の勝手な想像ですけど」


「それはあるかもしれませんね。レーテ、ちょうどいいんじゃないですか?」


「手足のテストにはなるか……そうさせてもらうわ」


 ライアンからの、予想外の提案。

 そのメリットを考え、提案に乗ることを決めた。



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