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JAD-149「伸ばす手を増やす」



『お元気そうで何よりですよ、同胞』


「なんとかね。あれから、思ったより色んな謎に遭遇したんだけど……」


「どちらかというと、探してましたからね。当然といえば当然です」


 雰囲気たっぷりの、執事風の姿。

 半透明であることが、相手が投影された映像だと教えてくれる。


『解析のほうは、順次滞りなく。無事な状態の解析は久しぶりですね。この状態になってからは、初です』


 メテオブレイカーの言葉は、色々な意味を含んでいる。

 文明崩壊前には経験があること、そして、それ以降は回収できる範囲の物は迎撃をしたからみんな消失していること。


 確かに、地上で展開されないならその方が良い中身だと思う。


「前の時代に、各地を襲ったのはアレだと思うんだけど、あってる?」


『はい。最初はどこかの国が戦争を仕掛けたのだと思われていたようですが、そのうちに人類は知ったようですね』


「確かに……秘密兵器でしたっていうほうがあり得ますね」


 解析用の場所らしきところの映像がモニターに映る。

 そこに置かれた隕石コンテナに、さまざまなアームが群がり、解析中といったところ。


『同胞が聞きたいのは、別のことではないかと推測しますが』


「当たり。ミュータントはどうなのかなって。何か知ってる?」


『はい。そちらもこれが関係しています。今回のコンテナにはありませんでしたが、遺伝子爆弾とでもいうべきものが』


 言葉とともに、別に浮き出てくるウィンドウ。

 そこに記されたデータは、人類というか、知的生命体の闇とでもいうべきものだった。


「これは……石の、星の力を使えるように遺伝子改良をしていく?」


「この星の人類も、手はつけていたから、あっという間に広がったんじゃない?」


『施設の損壊による周辺汚染もあったのでしょうが、外部からの刺激が促進したのは間違いないでしょう。ここからは私にデータ入力をした科学者の推論ですが、この星の人類と、宇宙からの侵略者は、そう違いがないということです。だからこそ、あっさりとかみ合ってしまった』


 面白く、そして怖い話だ。

 もしかしたら、だけど……この星の人類のルーツと、宇宙からの侵略者のルーツは同じかもしれない。


(今考えても、仕方ないんだけどね)


『前回はここまでお話しませんでしたね。同胞がどこまで求めているかわからなかったもので』


「いいわ。その方がありがたかったし。それで、データ的には、本命は来そう?」


『五分五分、でしょうか。不明、ともいえます。何せ、結局これまで本命となる生命体は地上に降り立っていません。いや……もしかしたら』


 急に、執事の映像が止まり、思考を始めたのがわかる。

 カタリナと首を傾げつつ、動きを待つ。


『失礼しました。同胞、山脈の向こう、おそらくは戦争行動に介入するつもりはありますか?』


「噂は本当だったんですか? 衛星映像からは間違いないと?」


「介入、ね」


 執事が腕を動かすと、衛星からのものだろう画像が映し出される。

 そこにあったのは、小さいけれど戦いあう機械群。

 それだけなら、こっちでもなくはないと思うのだけど……。


 にしても、画質でしか撮影できないってことは、何かジャミングでも?


『人類が勝てば良し、ですがデータが乏しく。不思議と、詳細な撮影ができません。それに、どうも片方はこれと同系統の様なのです』


 これ、とは隕石のことだ。

 つまり、迎撃できていない隕石からの戦力が、向こうで暴れている可能性。


 それを聞いてしまえば、断る理由はない。


「いいわ。やりましょう。支援はしてくれるのでしょう?」


「レーテ!?」


『もちろん。コンテナ解析が終わり次第、次元収納装置を搭載したバックパック兼車両への改良を実施しましょう』


 さすが長生き(?)しているAI。

 こちらの一番の希望をずばりと提示してきた。


 こちらも笑顔でうなずき、何か手伝うことがあればと申し出る。


『であれば、データ採取に協力を。同胞のようなオリジナル機体は希少ですので』


「りょーかい。どうすればいい?」


 返ってきた答えは、これも問題ない物。

 願ったりかなったりの提案に、了承を返すのだった。




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