表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

149/278

JAD-148「手掛かりは残骸の中に」



 あっさりと沈黙した敵機たち。

 長引く戦いというのは、案外ない物だと思う。


 あるとしたら、例えば大きな施設を制圧するだとか、広く展開した敵を撃破するとき、だろうか。

 もしくは……ひたすらに硬い相手、となる。


「ルーチンも弱いのよね……火力はあるのに」


「やはり、自動的な制圧目的でしょうか」


 ここまで来ると、もうはっきりとしてくる。

 人類、この星は脅威にさらされてきていた、と。


 武装やそのほかの部位を失ってなお、核が動いてるのを感じる。

 なぜかわかる手順で、私はその1つ1つを停止させて回った。


「メテオブレイカーより端末の到着を確認」


「中で見たことあるやつね」


 普段は清掃や整備をしているタイプだったはず。

 無骨な胴体に、各種アタッチメントを交換できそうな手足。


 そんな機体が、次々と隕石の形をした何かに入っていく。


『助かりましたよ、同胞』


「なあに、ちょうど良かったわ。やっぱり、崩壊前もこんな感じだったの?」


『記録によれば、ですね。最初のころは、開発途上地域に展開され、発見や把握が遅れたそうです』


 なるほど、そうなるかと思った。

 火力はあるが、防御は甘い。

 おそらく、かつての文明、例えば火薬を使った武装でも十分撃破できただろう。


 あくまでも、対応がちゃんとできれば、だが。


 おそらくは、対処に成功した地域と失敗した地域がある。

 その繰り返しで、一度人類はピンチに陥ったのだ。


(機械による攻撃はそれで説明がつくとして……ミュータントは?)


『そちらに輸送車両を移動させます。収納を手伝ってもらっても?』


「もちろん。あ、終わったらトラックの回収に向かうわ」


 自立式の迎撃兵器であるメテオブレイカー。

 自分で整備・改良を可能にするある意味では完成した箱庭のようなものだ。


 資源の回収、装備修復の技術があって当然だった。

 回収しやすいように、残骸たちを集めて回る。


 そして、隕石の中から端末たちが出てきたころには、隕石の中身も、沈黙。

 力も今は発動していない状態だと感じることができた。


「大漁ですね。解析がはかどりそうです」


「問題は、これがほかの大陸にきっと落ちてるだろうってことよね」


 メテオブレイカーは複数存在するはず。

 しかし、現在も稼働しているかどうかはわからない。

 そばのメテオブレイカーが迎撃できない角度も当然存在するのだ。


「そこは、向こう側に行ってみるとわかるのでは?」


「それもそうね」


 やってきた無人トラックに、残骸を詰め込んでいく。

 隕石そのものは、なんとブリリヤントハートで運ぶことができた。


 思ったより軽く、そして当然のように中身はメカニカルだ。


「完全にガワをかぶった宇宙船じゃない……」


「こうしてみると、あんなに中身があるようには見えないんですけどね」


 カタリナの言うように、パワーオフ状態では変な形ではあるが、単なるコンテナだ。

 おそらくは、隅に見える機材が次元をゆがめてると思うのだが……。


「これも解析次第、かしらね」


 ひとまず、隕石コンテナを先にメテオブレイカーのところへ。

 もうすぐ夕方だけど、あまり私たちには関係ない。


「うちのトラックを回収しながらだから、また明日ね」


『わかりました、同胞。解析をして待っていますよ』


 気が利いたセリフを聞きながら、機体を飛翔させる。

 すぐにトラックへとたどり着き、森を切り開きながらメテオブレイカーのもとへと。


 結局、メテオブレイカーのもとにたどり着いたのは、早朝であった。


「解析作業が進んでるみたいですね」


「砦モードになってるし、そうみたいね」


 迎撃の姿である巨大兵器から、普段の姿である砦の状態へと移行していたメテオブレイカー。

 周囲はその変形によって、荒れているが仕方ない。


 巨大な動力源、そしてコストパフォーマンスを最優先したジルコニア5色による力。

 それらが、メテオブレイカーを歴史の生き証人とたらしめている。


 ひとまず、変形時にもちゃんと格納、固定されるらしい駐車場にトラックを駐車。

 懐かしさすら感じる再会に向けて、歩き出すのだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ