番外【『シャドハン・ラジオ』時計塔より放送中】
番外編を投稿します。
本文には鉤括弧の前に名前を記入していませんが、後書きに名前ありを掲載します。誰がしゃべっているのか思い浮かべてご覧ください。
「えーっと。もう回ってる?」
「ああ。ランプが赤だから放送中だな」
「ムラマサはどんくせーな。オフレコ放送とか1番やっちゃいけねー」
「しょうがないだろ。ミキサーはアクションの少ないキョーコちゃんだし。指示がちゃんと伝わらない」
「それはしょうがない。しょうがないっちゃしょうがないけど、他人のせいにするのはよくないぜ?」
「と、こんなやり取りも放送中だ。三人揃って『やっちゃいけねー』事態に現在進行形で突き進んでいる」
「うわ……。しゃーねーな。始まるとしますか。ムラマサ、締めるところは締めろよ」
「分かってるって。こほん。えー、どうも始まりました――」
「どうもこんにちは。SHADOW HUNTER座談会、題して『シャドハン・ラジオ 時計塔より放送中』。いよいよ始まりました。お相手はレイ=フィッシャーと従僕、その他が務めさせていただく」
「おう。従僕のローカだ」
「ちょっと! オレの出番奪うな!」
「その他の紹介は飛ばそうか?」
「くそっ。……その他の将人です」
「ムラマサ、その調子でな」
「主人公を蔑ろにしていいのか、おまえら!?」
「お便りが届いている。ラジオネーム“おおかみ”さんからだ」
『始まりましたね、シャドハン・ラジオ。光栄に至りです。あ、主人公(笑)はぞんざいに扱って構いません。それで質問です。ちびっこ三人組、ローカ達の身長と体重を教えてください』
「“おおかみ”ってーと、あれだよな。ムラマサ、いいみたいだぞ」
「もういい。心が折れた」
「脆い心だ」
「で、俺達の身長と体重だっけ? 測ってないからわからん!」
「おい! そんな答えでいいのか!?」
「ツッコむね、マサト。君のポジションはそこだよ」
「なんかやる瀬ない。怒りすら込み上げてくる」
「まあまあ。進行、ボケ、ツッコミ、良い布陣じゃないか」
「……我慢する」
「偉いよ、マサト。それで、ローカ達の身長と体重だったか。ローカは身長129cm、体重29kg。フーカは132cm、30kg。キョーコは134cm、30kg。これで満足されたかな、“おおかみ”さん?」
「見た感じじゃ分からなかったけど、ローカが1番小さいんだな」
「別に小さくてもいいじゃん。どのみちムラマサもレイも見上げないと顔見て話せないしよ。でも、フーは台所に立つのが辛いとは言ってたな。踏み台が無いと届かないって」
「そこは我慢してもらうしかない」
「それでもフーカちゃんはしっかり家事してるよなぁ」
「仕事だしな。ところで、フーとキョーコには何故に“ちゃん”付けなんだ? 俺には無いのかよ」
「あー……、ほら、ローカって生意気だし?」
「だし?」
「生意気だし、君ってキャラじゃないから」
「おし。今度どさくさに紛れて焼いてやる。焼き加減はどうする? レア? ミディアム? ウェルダン? あ、ミディアムレアなんてのもあるな」
「えっと……レアで」
「大丈夫だよマサト、答えなくて。君は大事な戦力だ。囮にも使える。ローカの気まぐれで焼かせたりしないよ」
「レイもレイで、えぐい!」
「カンペ出してるフーも苦笑いしてるぜ。不憫な主人公ですこと」
「もういい。泣きそう」
「と、ここでゲストの登場だー! ほら、カンペに従え。スポンサーのミランダ様ですよー」
「ここで、スポンサーの紹介をします。ワルツ市長、ミランダ=セイクリアさんの登場です」
「どもどもー。にしても無愛想な紹介だね。恨みでもある?」
「大いにある上に、逆に恨まれていると錯覚するくらい仕事の質が濃い」
「そりゃまあ、レイは指折りのハンターだし、その分給料は良いよね?」
「危険と隣り合わせなんだ。あれでも少ない」
「あんた達の給料って一応街の税金なのよ? 私の首を飛ばしたいの?」
「はいはい。ここできったねーサラリーの話題は無し。聞く人間の身になれって。仮にもバラエティー番組だぜ?」
「そうそう。レイも悪気が無かったんですよ。売り言葉に買い言葉ってやつです」
「ずいぶん理解があるのね、マサト君」
「そりゃまあ、寝食を共にしている仲ですから」
「さて。話しも落ち着いたことだし、次の質問行ってみようか。ムラマサよろしくぅ!」
「おう。と言いたいところだがお便りが“おおかみ”さんから以外に一通も無い」
「おいおい嘘だろ? このお便りの山全部“おおかみ”さんからな訳が……あったよ、どちくしょう」
「人気が無いのも当然だ。圧倒的に本編の量が少ない上に定期で投稿していないから固定ファン層も薄い」
「冷静に分析すんなよ」
「しかたねー。おいムラマサ、何か質問しやがれ。“おおかみ”さんだけに付き合ってらんねーよ」
「え、無茶振り!? そうだな……。フーカちゃんは料理上手だけど、誰から習ったの?」
「……細かいところ訊くな。フーの料理は、ってーか家事全般はレイから習いました」
「へー、レイか。ちょっと意外」
「今では私より上手だ。意外に思うのも当然だろう」
「俺も一応習ったんだが、どうも無理。向き不向きってあるぜ」
「私のイメージだと、あんたはフラスコやビーカーで料理しそうだけどね」
「そういう市長は料理できなさそうだよ」
「実際できないから間違いじゃない。いいじゃん『美人市長、唯一の欠点』で」
「ローカ。本当に唯一なのか? オレ、ワルツが長くないからさ……」
「唯一らしいぞ。美人が欠点でないならな」
「でもさ。美人で、強くて、人望も有って、竜も従えるカリスマがあるけど、料理できない、って属性狙い過ぎじゃないか?」
「いやー、褒められるって悪い気はしないね」
「最後に全て否定するような言葉があったけど……この様子じゃ、構わないんだろうな」
「ああ、構わない。評価は甘んじて受けるのみ!」
「俺、あんまりこの人と話したことないけど、豪快なんだな」
「オレも最初にそう思った。マイハイペースって言うか、すごく押しが強いって言うか」
「ところで今日は付き人はいないのか?」
「いるよ。そこであんたの従者としゃべってるじゃん」
「ほんとだ。ワードラゴンのあの人、大きいからキョーコちゃんやフーカちゃんと並ぶと違和感あるなぁ……」
「身長っていうか全長を前に測ったんだけど角の先から尻尾の先まで3メートルは越えてたね。いやー、でかいのなんの。仲間内でも大きい部類らしいよ」
「あれが人間と定義されてる世界が怖いです」
「それって偏見。嫌いだなぁ、そういうの。クナはクナなりにダンディズム漂う魅惑の青年なのよ?」
「話が通じれば立派な人じゃないか」
「といっても、外国人とは話が通じないからな……。それはあいまいな定義だと思うぞ?」
「は?」
「『は?』って、オレは日本語しか喋れないっつーの」
「外国人って何さ。それにムラマサはちゃんとレヴァティン使えてるじゃん」
「はい?」
「あれ、言ってなかったっけ? クナにも感心されたから私は解るけど、この世界は統一国家に支配されてるのよ。レヴァテイナって国号なんだけど、それが普通。マサト君の世界はクナの世界同様、国が幾つもあるみたいね」
「……すごい初耳です」
「ついでに言うと統一から二千年。それ以前には複数の国が存在したらしいけど、遥か昔よね」
「ああ。だから最初に君はニホンとかいう国名を言ったんだな。やっと合点がいった」
「異世界に来ただけでも信じがたいのに、仕組みまでわかる訳ないだろ普通」
「“普通”って言葉が同じことを指すかどうかもわからないけどね。大丈夫? 頭から煙り出ない? 繰り返すようだけど、クナは言葉から入ったの。話せるだけありがたく思いなさい」
「待てよ? オレは日本語を話しているつもりでもレヴァティンとかいう言語を話してることになるんですか?」
「言われてみれば。訛りもないし聞きやすいかも」
「でもよーこいつ文字系、さっぱりだぜ?」
「やばい……。ホントに煙り出そう」
「ミランダが言うように話せるだけありがたいと思えばいい。帰る方法が見つかったら帰るのだろう?」
「……そうだな。ありがとう」
「さーて。尺は無限大のラジオもどきなんだけどよ、そろそろ終わろうぜ」
「ローカの言う通りだ。ではマサト、最後を頼む」
「オレが? いいの? 最初さんざっぱら蔑ろにしたのに?」
「文句があるなら、私がやるぞ?」
「わー、やります。やらせてください」
「じゃ、ビシッとよろしくぅ!」
「えー……、おほん。お楽しみいただけたでしょうか。名残惜しくも番外編は一度の終了となります。本編はまだ続きます。もうしばらくオレ達にお付き合いください。あなたの娯楽になりえたなら幸いです。ではまた」
「じゃーなー。風邪引くなよ!」
「喉潰したくせに偉そうだ」
「くそ。キレイに終わらせてくれよ!」
将「えーっと。もう回ってる?」
レ「ああ。ランプが赤だから放送中だな」
ロ「ムラマサはどんくせーな。オフレコ放送とか1番やっちゃいけねー」
将「しょうがないだろ。ミキサーはアクションの少ないキョーコちゃんだし。指示がちゃんと伝わらない」
ロ「それはしょうがない。しょうがないっちゃしょうがないけど、他人のせいにするのはよくないぜ?」
レ「と、こんなやり取りも放送中だ。三人揃って『やっちゃいけねー』事態に現在進行形で突き進んでいる」
ロ「うわ……。しゃーねーな。始まるとしますか。ムラマサ、締めるところは締めろよ」
将「分かってるって。こほん。えー、どうも始まりました――」
レ「どうもこんにちは。SHADOW HUNTER座談会、題して『シャドハン・ラジオ 時計塔より放送中』。いよいよ始まりました。お相手はレイ=フィッシャーと従僕、その他が務めさせていただく」
ロ「おう。従僕のローカだ」
将「ちょっと! オレの出番奪うな!」
レ「その他の紹介は飛ばそうか?」
将「くそっ。……その他の将人です」
ロ「ムラマサ、その調子でな」
将「主人公を蔑ろにしていいのか、おまえら!?」
レ「お便りが届いている。ラジオネーム“おおかみ”さんからだ」
『始まりましたね、シャドハン・ラジオ。光栄に至りです。あ、主人公(笑)はぞんざいに扱って構いません。それで質問です。ちびっこ三人組、ローカ達の身長と体重を教えてください』
ロ「“おおかみ”ってーと、あれだよな。ムラマサ、いいみたいだぞ」
将「もういい。心が折れた」
レ「脆い心だ」
ロ「で、俺達の身長と体重だっけ? 測ってないからわからん!」
将「おい! そんな答えでいいのか!?」
レ「ツッコむね、マサト。君のポジションはそこだよ」
将「なんかやる瀬ない。怒りすら込み上げてくる」
レ「まあまあ。進行、ボケ、ツッコミ、良い布陣じゃないか」
将「……我慢する」
レ「偉いよ、マサト。それで、ローカ達の身長と体重だったか。ローカは身長129cm、体重29kg。フーカは132cm、30kg。キョーコは134cm、30kg。これで満足されたかな、“おおかみ”さん?」
将「見た感じじゃ分からなかったけど、ローカが1番小さいんだな」
ロ「別に小さくてもいいじゃん。どのみちムラマサもレイも見上げないと顔見て話せないしよ。でも、フーは台所に立つのが辛いとは言ってたな。踏み台が無いと届かないって」
レ「そこは我慢してもらうしかない」
将「それでもフーカちゃんはしっかり家事してるよなぁ」
ロ「仕事だしな。ところで、フーとキョーコには何故に“ちゃん”付けなんだ? 俺には無いのかよ」
将「あー……、ほら、ローカって生意気だし?」
ロ「だし?」
将「生意気だし、君ってキャラじゃないから」
ロ「おし。今度どさくさに紛れて焼いてやる。焼き加減はどうする? レア? ミディアム? ウェルダン? あ、ミディアムレアなんてのもあるな」
将「えっと……レアで」
レ「大丈夫だよマサト、答えなくて。君は大事な戦力だ。囮にも使える。ローカの気まぐれで焼かせたりしないよ」
将「レイもレイで、えぐい!」
ロ「カンペ出してるフーも苦笑いしてるぜ。不憫な主人公ですこと」
将「もういい。泣きそう」
ミ「と、ここでゲストの登場だー! ほら、カンペに従え。スポンサーのミランダ様ですよー」
レ「ここで、スポンサーの紹介をします。ワルツ市長、ミランダ=セイクリアさんの登場です」
ミ「どもどもー。にしても無愛想な紹介だね。恨みでもある?」
レ「大いにある上に、逆に恨まれていると錯覚するくらい仕事の質が濃い」
ミ「そりゃまあ、レイは指折りのハンターだし、その分給料は良いよね?」
レ「危険と隣り合わせなんだ。あれでも少ない」
ミ「あんた達の給料って一応街の税金なのよ? 私の首を飛ばしたいの?」
ロ「はいはい。ここできったねーサラリーの話題は無し。聞く人間の身になれって。仮にもバラエティー番組だぜ?」
将「そうそう。レイも悪気が無かったんですよ。売り言葉に買い言葉ってやつです」
ミ「ずいぶん理解があるのね、マサト君」
将「そりゃまあ、寝食を共にしている仲ですから」
ロ「さて。話しも落ち着いたことだし、次の質問行ってみようか。ムラマサよろしくぅ!」
将「おう。と言いたいところだがお便りが“おおかみ”さんから以外に一通も無い」
ロ「おいおい嘘だろ? このお便りの山全部“おおかみ”さんからな訳が……あったよ、どちくしょう」
レ「人気が無いのも当然だ。圧倒的に本編の量が少ない上に定期で投稿していないから固定ファン層も薄い」
将「冷静に分析すんなよ」
ロ「しかたねー。おいムラマサ、何か質問しやがれ。“おおかみ”さんだけに付き合ってらんねーよ」
将「え、無茶振り!? そうだな……。フーカちゃんは料理上手だけど、誰から習ったの?」
ロ「……細かいところ訊くな。フーの料理は、ってーか家事全般はレイから習いました」
将「へー、レイか。ちょっと意外」
レ「今では私より上手だ。意外に思うのも当然だろう」
ロ「俺も一応習ったんだが、どうも無理。向き不向きってあるぜ」
ミ「私のイメージだと、あんたはフラスコやビーカーで料理しそうだけどね」
レ「そういう市長は料理できなさそうだよ」
ミ「実際できないから間違いじゃない。いいじゃん『美人市長、唯一の欠点』で」
将「ローカ。本当に唯一なのか? オレ、ワルツが長くないからさ……」
ロ「唯一らしいぞ。美人が欠点でないならな」
将「でもさ。美人で、強くて、人望も有って、竜も従えるカリスマがあるけど、料理できない、って属性狙い過ぎじゃないか?」
ミ「いやー、褒められるって悪い気はしないね」
レ「最後に全て否定するような言葉があったけど……この様子じゃ、構わないんだろうな」
ミ「ああ、構わない。評価は甘んじて受けるのみ!」
ロ「俺、あんまりこの人と話したことないけど、豪快なんだな」
将「オレも最初にそう思った。マイハイペースって言うか、すごく押しが強いって言うか」
レ「ところで今日は付き人はいないのか?」
ミ「いるよ。そこであんたの従者としゃべってるじゃん」
将「ほんとだ。ワードラゴンのあの人、大きいからキョーコちゃんやフーカちゃんと並ぶと違和感あるなぁ……」
ミ「身長っていうか全長を前に測ったんだけど角の先から尻尾の先まで3メートルは越えてたね。いやー、でかいのなんの。仲間内でも大きい部類らしいよ」
将「あれが人間と定義されてる世界が怖いです」
ミ「それって偏見。嫌いだなぁ、そういうの。クナはクナなりにダンディズム漂う魅惑の青年なのよ?」
レ「話が通じれば立派な人じゃないか」
将「といっても、外国人とは話が通じないからな……。それはあいまいな定義だと思うぞ?」
ロ「は?」
将「『は?』って、オレは日本語しか喋れないっつーの」
ロ「外国人って何さ。それにムラマサはちゃんとレヴァティン使えてるじゃん」
将「はい?」
ミ「あれ、言ってなかったっけ? クナにも感心されたから私は解るけど、この世界は統一国家に支配されてるのよ。レヴァテイナって国号なんだけど、それが普通。マサト君の世界はクナの世界同様、国が幾つもあるみたいね」
将「……すごい初耳です」
ミ「ついでに言うと統一から二千年。それ以前には複数の国が存在したらしいけど、遥か昔よね」
レ「ああ。だから最初に君はニホンとかいう国名を言ったんだな。やっと合点がいった」
将「異世界に来ただけでも信じがたいのに、仕組みまでわかる訳ないだろ普通」
ミ「“普通”って言葉が同じことを指すかどうかもわからないけどね。大丈夫? 頭から煙り出ない? 繰り返すようだけど、クナは言葉から入ったの。話せるだけありがたく思いなさい」
将「待てよ? オレは日本語を話しているつもりでもレヴァティンとかいう言語を話してることになるんですか?」
ミ「言われてみれば。訛りもないし聞きやすいかも」
ロ「でもよーこいつ文字系、さっぱりだぜ?」
将「やばい……。ホントに煙り出そう」
レ「ミランダが言うように話せるだけありがたいと思えばいい。帰る方法が見つかったら帰るのだろう?」
将「……そうだな。ありがとう」
ロ「さーて。尺は無限大のラジオもどきなんだけどよ、そろそろ終わろうぜ」
レ「ローカの言う通りだ。ではマサト、最後を頼む」
将「オレが? いいの? 最初さんざっぱら蔑ろにしたのに?」
レ「文句があるなら、私がやるぞ?」
将「わー、やります。やらせてください」
ミ「じゃ、ビシッとよろしくぅ!」
将「えー……、おほん。お楽しみいただけたでしょうか。名残惜しくも番外編は一度の終了となります。本編はまだ続きます。もうしばらくオレ達にお付き合いください。あなたの娯楽になりえたなら幸いです。ではまた」
ロ「じゃーなー。風邪引くなよ!」
レ「喉潰したくせに偉そうだ」
将「くそ。キレイに終わらせてくれよ!」