かんばれカタリナ
カナンがオードを鍛えている頃、アイはカタリナを連れて彼等が居る森の反対側に居た。
「リナちゃん、紹介したい人が居るのよ」
「あ、はい。もしかして…」
「そう、紅羽っていうのよ。紅羽ー」
アイが呼び掛けるとボッと火が出る様に、紅羽が出てきた。格好はアイに合わせて赤いワンピースにサンダル。
「よ、よろしく。紅羽だ」
今まで見ているだけで、やっと会えた紅羽は、少し恥ずかしそうにしながらもキラキラとした眼でカタリナを見る。
カタリナは…
「…あ…う…うぉ」
「うぉ?」
カタリナは戦慄している。覚悟はしていた。アイとは違う太陽の様な少し年上の女の子。真っ赤な髪に目尻の上がった勝ち気な雰囲気の美人。そこまでは良い。
カタリナの視線は一点に集中していた。
「_うぉっぱいがデカイ!!(初めまして、カタリナです)」
「「え?」」
「何故だ!何故こうも差がある!喋るだけで揺れんなよ!トップとアンダーの差が21センチだと!Eカップやないか!その歳でEカップか!__なっ!嘘だろ!潜在値…J…(紅羽さんって言うんですね。兄がいつもお世話になっております)」
「リ、リナちゃん?心の声が表に出てるわよ…」
カタリナは自分のぺったんこな胸を見た後、膝から崩れ落ちる。
「なんだろう、流石アキの妹だな」
「この分析能力と超感覚は凄いわね。リナちゃん鍛えたらダンジョンの罠とか余裕よ」
「凄いけど、潜在値って分かるモノなのか?」
「何かセンサーがあるのかしらね」
両膝を付き天を仰ぐカタリナを眺めるアイと紅羽。紅羽は少し気まずそうに。アイはいつもの事かと微笑ましく眺める。
………
「すみません、お見苦しいモノを見せてしまいました」
「あ、ああ。目が血走ってるけど大丈夫か?」
「リナちゃん、将来に期待よ」
なんとか立ち直ったカタリナ。紅羽の胸をチラチラ睨み付けながら二人に向き合う。
「アイさん、紅羽さん。お願いがあります。私を強くしてもらえませんか?自分の力じゃ限界を感じていまして…」
ぷにぷにの手を眺めながら無理を承知でお願いする。
「もちろん良いわよ」
「その為に我も来たのだ」
「ありがとうございます。本当に、嬉しいです」
出逢えて良かったです。眉を下げて笑う姿に、紅羽の心が打たれる。我慢出来ない…そう言ってカタリナを抱き締めた。
「リナたん!」
「ふ…ふれふぁふぁん……んー!……んー!」
「紅羽、リナちゃん死ぬわよ」
「あ、すまぬ。つい、リナたん大丈夫?ごめんな」
「はぁ、はぁ、はぁ。いえ、気持ちは伝わりましたから。…柔らけえ」
「まあ、自己紹介も終わった事だしリナちゃんを鍛えなきゃね」
「はい。宜しくお願いします」
グッと拳を握るカタリナをアイも抱き締めたくなるが、紅羽みたいにハァハァしたくないので我慢。精霊石のブレスレットを取り出しカタリナに渡す。
「これは?」
「適性を上げるおまじないかな。出来るだけ着けててね」
「分かりました。ありがとうございます」
「リナちゃんは黒色と白色魔力が強いから、まずはそれに沿った鍛練ね。んー…」
アイはカタリナのぽよぽよした身体を見詰める。指輪を取り出しカタリナに渡す。
「鍛練用の指輪よ。身体と魔力に負荷をかけるの。これ着けて。とりあえず…」
アイは遠くを見る。リナちゃん…弱すぎるわ…そう呟きながら。
「走りましょ」




