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予選トーナメント

『控え室1の選手の皆様、会場まで係員についてきて下さい!』


 時間になり、係員がやってきた。同じ控え室の面々が付いていく。全部で16人、予選から上がったのは10人。前回大会の優秀者はトーナメントから参戦するのでこの人数だ。


『対戦する時に下3桁の番号を呼びますので、こちらの選手席にお座り下さい。選手席には支給の武器が置いてありますので好きな物を使って下さい』


(やった、武器がある。まあ、包丁無いからナイフで良いかな)


『216番、113番前へ……始め!』『強打!』『ファイアーボール!』


 試合が開始された。流石は勝ち抜いた者達。荒削りだが光るものがある。


(ん?隣の闘技台は兄さん達か。退屈は凌げそうだなー。)


 オードのブロックも開始された。少し離れた場所にオードが座って居たので通信をしようとしたが、他の選手に話し掛けられている様だ。


『そこまで!勝者113番!』『『ありがとうございました』』


(何処かの門下生かな?礼儀正しいねー)

『アキは礼儀知らずよね』

『貴族にタメ口だしな』

(俺はアイと紅羽寄りの考え方だよ。人間は等しく人間ってね)


『259番、444番前へ』

(さて、行くかなー。相手は1つ上くらいの男子かー)


 闘技台に上がる。カナンと向かい合うは槍を持った少年。相手がナイフだと分かると余裕の表情を浮かべた。


『始め!』

『二段突き!』

 胸と腹に向かう槍の武技

 鍛練を積んだであろうブレの無い動きでカナンを攻撃

 ギンッキンッ

「上手いねー。斬り落とし」

 スパッと槍が真っ二つに斬れた

『は?』

 相手が呆けている隙に後ろからナイフを当てる。


『ま、まいった』

『勝者444番!』『「ありがとうございました」』

『ナイフで槍なんて斬れるの?』『何あれ!』『すげえ』


 カナンはトコトコ席に戻る。エルフが冷たい目線を向けるがカナンにとってはご褒美なのでチラ見してふっと嗤うと、エルフの目が釣り上がる。


(あと3回勝てば良いのか。兄さんは、順調そうだな)


 オードの闘いは安定して相手の攻撃を崩し首に剣を当てていた。


 2回戦が始まった。

『444番、5番前へ』

(相手は剣士か)

『始め!』

『十字斬り!』「ほいっパリイ」

 ギンッ

 十字に交差した斬撃を受け流す

 相手の腕が伸び、がら空きの脇腹に

「掌打」『ぐあっ』

 軽く掌底


『それまで!勝者444番!』


 続いて準決勝。


『444番、113番前へ』

(さっき魔法使ってたな)

『始め!』

『ファイアーボール!』「ざく斬り」

 魔法を斬り付け、ファイアーボールが四散

『えっ?』

 呆けている間に眼前にナイフを突き付ける

『参りました』


『勝者、444番!』『あいつすげえな、槍斬ったり魔法斬ったり』『見た目陰気だからヤバい奴ね』『強いな』


(誰だヤバい奴って言ったの?)

『エルフね』

『嫌われたな』

(いや、まあ、別に良いんだけどな)

『ご褒美?』

『殺気当てようか?』

(会場中気絶するから止めてね)


 そして決勝。


 相手はやっぱり転移者の取り巻きエルフだ。

『フフ、叩き潰してあげるわ』

「出来るもんならやってみなよ。ツーハンデットソードか、聖女の護衛のサティちゃんみたいだなー」


 150センチ、身長程の長剣を肩に担ぎ、見下す視線で睨み付けている。


『聖女の…ふっ、褒める口はあるのね。剣聖サティエル様の様だと言ってくれるとは』

「えっ?剣聖?」


『始め!』


『強撃!』「パリイ」

 振り下ろされた斬撃を受け流し

 下がった剣先に

「ぶつ斬り」

 ギンッギンッと弾かれた

「おー、剣に魔力通してるのか。やるねえ。このナイフじゃそんなに魔力通せないから武器は互角かー」

『槍を斬ったのを見たからね。圧倒的にあんたが不利よ』


 不敵に笑い長剣を振ってくる。カナンはパリイで受け流していく


『しぶといわね』


 こうなったら、そう呟き構える。剣先を下に、力を抜き自然体になった。


「ん?脱力して、剣技か…あれ?」

『流し斬り!』

 脱力してから流れるように斬り付ける

 タイミングのとりにくい斬撃


「へえー、パリイ」

 しかし難なく受け流す


『嘘!合わせた!?』

「なあ、その剣技どこで知ったんだ?」

『…ふっ、サティエル様のオータム流剣術を知らないの?田舎者ね』


「いや…なんだろう、聞き覚えが…剣聖様って生きてる?」

『何を当たり前の事をいってるの?私は一度だけ話した事かあるのよ?あの知性ある凛々しい姿』


 良いでしょ?と恍惚な表情を浮かべながら斬撃を繰り出す


「…そうか。生きてるか…ん?知性ある凛々しい?ポンコツサティちゃんが?」

『何が可笑しいのよ。気持ち悪い。三段斬り!』「パリイ」

 キンッキンッキンッ


「1つ教えてやるよ」

『何がよ__がっ!』

「流し斬りはこうやるんだ」

 流れるようにフェイントを入れて斬り付ける。刃引きのナイフなので肩に打撲を与えた。

『な、なんで…』


 そろそろ終わらすかーと言ってカナンは構える

「あ、そうだ。剣聖様は何処に居るんだ?」

『本当に田舎者ね。闘技大会の特別枠で本戦に出るのよ』


 剣を交えるのが夢なのよ。そう言うエルフの目が逝っちゃってるのをスルーして、口元が弧を描いているカナンは一言。聞きたい事は終わったかな…


『__っ!消え…』

「…まだやるかい?」

 消えたと思った瞬間。気付いたら後ろからナイフを首に突き立てられていた。

『ぐっ…まいった』


『勝者、444番!』『凄い闘いだったな!』『あのメガネ消えたぞ!』


 カナンはトコトコ席に戻る。すると隣にエルフが座る。

『ねえ、なんで流し斬りを使えるの?』

「ん?あー、剣聖の師匠と友達なんだよ」

『何言ってるのよ?意味が分からないわね。まあ、せいぜい頑張りなさい。本戦でユウトにホコボコにされるがいいわ』


 こんな奴に負けるなんて悔しいわね…そう言って用は無いとばかりに去って行った。



『アキ、オータム流ってアキの事よね?』

「あー多分な。サティちゃんには教えて無いぞ。おっさんに暇潰しがてら教えたんだよ」

『じゃあサティさんの師匠は龍王なのね。』

「そうなるな。邪神の後、馬鹿正直なサティちゃんは強くなろうと頑張ったんだろうな」


 あんな不器用だったのに今は剣聖か…懐かしさと誇らしさを持って呟く。


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― 新着の感想 ―
[一言] 相手が呆けている好きに後ろからナイフを当てる。の好きは隙ではないかと思いまして。m(._.)m
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