精霊の森
精霊樹は精霊の森に生えているので、準備をして精霊の森を目指す。
精霊の森は王都の遥か西の国エルメス、主にエルフが住む地域。
温暖な気候、標高の高い山が少なく、比例して空の魔物が少ないのでカナンなら1日で往復出来る距離だ。
ちなみに世界樹は魔の森の奥の奥にある。前世で秋が貴族による転移の罠で魔の森に飛ばされた先に存在していた。
(流石にその貴族と共犯者はもう居ないか…俺の手で引導を渡したかったな…お陰で世界樹を見つけれたから、まあいいか…)
「まあまずは精霊樹だっと着いたな」
精霊の森の入り口に降り立つ。変わらないなーと呟きながら鬱蒼とした森を眺める。精霊の森というからにはちゃんと精霊は存在しているので暫し待つ。
(たしか気に入らないヤツは迷わせるだったか?アキの時は迷わずに行けたから大丈夫だと思うけど)
「エルメスか…護衛のエルフの姉ちゃんどうなったかな?200年だからまだ生きてるのか?」
聖女の護衛はエルフの戦士と魔法使いの姉妹だった。
(妹の魔法使いはどうでもいいや、嫌味と悪意の塊だ…あいつのせいでサティちゃんに迂闊に近付けなくなった。でも姉の戦士のサティちゃんは美人さんで優しかったなあ、一時期好きだったし。実家がエルメスだし生きてたら街で会えるかな?)
エルフは森に住んでいない、一般的な街の家に住んでいる。
(森に住んでいないと知った時はびっくりしたな…ん?)
「妖精…か?」
淡いピンクに光る珠に、蝶々の羽が付いた様なモノが飛んでいる。カナンの前に留まり、森の奥へと誘うように飛び立った。
「前もこんなんだったか?まあいいか、ついていこう」
道なき道を歩く、妖精は進む先で待っているように、飛んでは止まりを繰り返している。
(珍しいよな、妖精なんて初めて見たよ)
前世では蒼白い光を放つ丸い精霊の案内だった。元気にしているかなーと思いながら森の奥へと進む。やがて精霊樹にたどり着いた。
「おっここだここだ。ありがとうな妖精ちゃん。これ飲むか?」
妖精に精霊水のビンを渡す。
(精霊水は作れるから沢山あるしな)
精霊水は天然物は精霊の森の奥地に、人工的には、赤、青、黄、緑、白、黒、灰色属性の魔力を同時に水に浸透させれば作れる。7属性以上の持ち主じゃないと作れないのでどっちみち貴重品なのは変わらない。
「おお、飲んでる、美味しいか?」
(天然物より濃度が濃いから精霊にも人気だったな)
『あり…がと…』
「ん?喋れるのか?どういたしまして。こっちこそ案内してくれてありがとな」
『まりょく…ふえたから』
「魔力が増えると喋れるだけのモノになるんだなー」
『おねがい…ある』
「ん?なんだ?ちょっと素材取ってからでいいか?」
『うん』
「じゃあちょっと待ってな」
精霊樹といっても大きな木ではなく、蒼白く光る木の事だ。
精霊とか妖精が居るところによく群生しているらしい。
なのでとりあえず10本くらい頂く。
(いっぱいあるからな、前世は100本くらいでもいいよって言われたから大丈夫)
「お待たせ、精霊水足しとくな。おねがいってなんだい?」
『うん…おくにまもの…すみついた…たおして』
「おう魔物か、いいぞ…あ…もしかしてそれって精霊を食べるやつか?」
『うん…みんなこわがってる』
「お、おう頑張ってみるわ」
(想像通りならキツいか?全盛期なら余裕のよっちゃんだが、今は子供の身体だからな…)
『こっち』
「案内してくれるのね…わかった。あ、俺はカナン。君は名前あるのか?」
『ない』
「そいじゃフェアリーだから…リーリアな」
『りーりあ』
「そう名前、嫌だったか?」
『ありがと』
リーリアの案内で更に奥へと進む。
(この魔物の気配、これは当たりか?)
『ついた…おねがい』
「お、おうまかせとけ…」
(あちゃー)
着いた先。少し開けた場所に存在していた魔物。
赤、青、黄、緑の光に包まれたゴーレムの様な人型。
それは太古より存在する原生生物の集合体。
精霊を食べれば食べるほど強くなり、過去の記録では魔王を凌駕したという。
(たしか、ファイアイーター、アクアイーター、アースイーター、ウィンドイーターが融合した突然変異)
「……エレメンタルイーター」