悪い子にはお仕置きを
次の日になり、何事も無かったかの様に学校へ行く、途中、ため息を吐きつつ学校が終わった。
今日はアイと紅羽の脳内会話はあまり聞こえて来なかった。
おそらく怒られると思って大人しくしているのだろう。
カナンは朝から考えて居た計画を実行する為、寄り道をしつつアイを誘き寄せる。
「…アイ、公園行こう」
いつもの藍色のワンピースにサンダルのアイが出てくる。
「うん!」
公園デートね!と昨日の事が無かったかの様にウキウキしているアイ。
ニコニコしながら直ぐにカナンはガシッとアイの手を握った。
「ア、アキ。今日は積極的ね」
「ああ、今日はな、アイの事ずっと考えて居たんだよ」
「私の?嬉しいわね」
「どんなお仕置きしようかなって」
「ふ、ふん。アキのお仕置きなんて私にとってはご褒美よ!」
私はどんな事にも屈しないと言う様に、ドーン!と胸を張り宣言。
カナンはそんなアイを見て反省してんのか?というように魔法を発動させる。
「そうか、じゃあこれもご褒美だな…カラーチェンジ・レインボー」
カナンの魔法を受け、アイのサンダルが七色に乱反射した。以前アイがダサいと言っていた七色の乱反射。
「ひぃ!」
『うわ…』
アイは自分のサンダルを見て怯えだした。カナンの魔装の、あのダサい下駄と自分を重ねて。
「これもプレゼントだよ、アイ」
カナンはダメ押しと、七色に乱反射するサングラスをアイに掛けた。するとさっきまで居た青の女神様の様な少女は、パーティーピーポーな少女へと早変りした。
「い、いや…と、取れない!ねえ!アキ!取れない!」
「魔力にくっ付く性質を持ったメガネだ。嬉しいだろ?」
「あ…あ…だ…ダサい」
『ダセェ…』
アイと紅羽が恐怖に包まれる。不思議と視界は眩しくない。無駄に高性能の様だ。
「王女をいじめた罰だ。さあ歩こう。」
アイの手を引っ張り歩く。
道行く人がパーティーピーポーをチラチラ見ている。
「あぁ…嫌…いやぁ…見ないで…見ないで」
「ったく、王女はその何倍も辛かったんだ。自分の顔が嫌で…」
「…うぅ…ごめんなさい」
自分の浅はかさに懺悔する様に、七色に光りながらアイは謝る。
「王女にもちゃんと謝れよ。何がお詫びだよ」
「…はい」
泣きそうな顔の七色が口を尖らせている。
カナンはこれで反省したかな?とアイの頭を撫で。
「俺の事を想って言ってくれたのは嬉しいけど、ちゃんと相談してくれ。これからも一緒なんだから」
「ふふ、相談する」
だから取ってとせがむアイ。
ダサいアイを見かねた紅羽は。
『アキ、そろそろ許してあげたら?アイが可哀想だ』
「紅羽の分もあるぞ」
『アイ、ちゃんと反省するんだぞ』
あれは無理だと手の平を返す。アイは紅羽に裏切られ復讐を誓う。
七色が照らす中反省したアイは宣言する。
「ティナがもし力及ばず国を出れなかったら、私が魔王としてちゃんとティナを拐うわ!」
「うん早まるなよ」
「大丈夫、みんなで愛の逃避行すれば良いのよ」
「まずは王女に任せよう。アイはまだ何もしなくて良いから」
「ってことは、ティナを受け入れるのね!」
「いや、焚き付けておいて何言ってんだよ…もう一択にさせやがって」
「ウフフ(後は妹ちゃんね)」
「仕方ないな、ほら」
七色メガネを外す。半泣きになったアイが現れた。
「靴もー!」
靴も戻す。解放されたと笑顔になるアイ。
「どうだ?恐かったろ?」
「うん、恐かった」
ダサい自分を思い出して震えるアイ。相当に堪えた様だ。
(感情豊かになったよな)
アイを観察しながら目的は達したカナンは。
「よし、帰るぞ」
「えー!」
「いや、帰るって」
「いーや」
「はあ、仕方ない」
私の心の傷を癒してと我が儘を言うアイの相手をし、少し公園でゆっくりしてから帰宅。
丁度リビングでティータイム中のブライトを発見した。
「ブライト兄さん、ただいまー」
「カナン、おかえり」
爽やかに笑うイケメンは優雅に紅茶を飲んでいる。
タイミングを見張りブライトが紅茶を口に含む瞬間を見極め。
「そういえばウルカさんといつ結婚するの?」
「ごふっ!…がはっ!…げほっ!…げほっ!」
紅茶が気管に入り、イケメンが崩れる。
「あ、ごめん。気になったから」
「はぁはぁ…絶対わざとだろ…目が濁ってるぞ」
カナンは何を言っているんだというように首をかしげて。
「可愛い弟の純粋な気持ち…だよ?」
「嘘をつけ、何をたくらんでる」
「ほら、これ」
カナンは懐から緑色の宝石が付いたネックレスをブライトに渡す。ブライトは首をかしげ、ネックレスの価値に気付き手が震えている。
「これ、は?」
「ウルカさんにプレゼントでもあげなよ。ちゃんとオリジナルでデザインしたんだから」
「う、高いんじゃないか?これ?」
「ん?そうでもないよ…黒金貨まではいかないから」
「高い…高いぞカナン!お前の金銭感覚は前々からおかしい!」
「いや、だってガラスだと綺麗にならないんだよ?デザイナーとして良い宝石は世に出さないといけないし、納得出来ればそれで良いんだよ。お金じゃない…兄さんの気持ちさ…」
「さらっと流そうとするなよ…はぁ…分かった…」
返そうとしているブライトにネックレスを無理矢理渡す。
「カナンは欲しい物とか無いのか?」
「欲しい物?ははっ、もう…貰ってるさ」
「ん?そうなのか?」
「そうそう、あ、そのネックレス魔力込めると防御壁出来るから教えといてね」
「えっ?宝石の魔導具なんて黒金貨飛ぶじゃないか…はぁ」
部屋に戻り。
「あ、そうだ紅羽」
『どうしたアキ?』
「槍使ってたよな?オリジンのダイヤモンドで槍作ろうと思うけど、希望があったら聞くぞ?」
『本当か!前の槍はボロボロになったから欲しかったんだ!』
「そんなら丁度良かった」
『アキ、私の刀も作って。紅羽の黒天道斬ったらボロボロになったのよ』
「あ、そうだったか…やっぱり極光刀技には耐えられないか。分かったよ」
『ありがと』
『あれ凄かったな。我の黒天道真っ二つに斬られるなんて』
『ウフフ、一振りで刀が駄目になるからあまり使えないけどね』
『もっと強い刀なら耐えられる?』
『そうね、きっとアキが作ってくれるわ』
『我も槍で使えるかな?』
『修行しましょ?』
『ああ!』
「ほどほどにしとけよー」
もうすぐ週末だ。




