原始の輝き2
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加速した時間の中で、更に思考を加速。景色がほぼ止まった様に見える。
深呼吸をしながら、カナンはオリジンを見据る。
「さて、やるか……理論上は出来るはず……」
赤、青、黄、緑の魔法陣を展開。
ゆっくりと球体の形に変えていく。
「………」
魔力を練り、理論を構築しながら試行錯誤。
オリジンが赤色の魔法陣を展開している…
「やっぱり、四属性だと足りないか…」
白色と黒色も追加させ、振り出しから理論を構築。
「頭痛が酷いな…早くしないと」
思考の加速により、脳へのダメージが積み重なる。常人なら直ぐに発狂するレベルの思考加速。カナンは脳に回復を掛け続け、脳が焼けきるのを防いでいた。
炎のレーザーが迫り、アイはなんとか絶海で防いでいるようだが…
「アイ…もう少し待ってろ…」
銀色の魔法陣を上乗せ。
そしてわ色を少しずつ混ぜていく。
「ぐっ……頭が」
ガンガンと響く頭を抑え
高速演算していく…
やがて、キラキラと七色に輝く立体魔法陣が完成。
炎のレーザーが再び迫る。
アイはなんとか絶海で防いだが、左腕が蒸発していた。
「__アイ!」
アイは左腕を失っても微笑みを崩さない。そこには絶対的な信頼があった。
「ははっ、流石だなアイ。その信頼に答えるよ」
しばらくして、七色の立体魔法陣が回転する。
「お待たせ」
高速演算を解除。ゆっくりとした時間の中で、カナンはオリジンに向かって歩く。
立体魔法陣が七色に輝き出した。
再び炎のレーザーが目の前に迫り、カナンはそれに向かって歩く。
「崩壊」
フッ__一言呟くと、迫っていた炎が突然に散る。
頭を抑え、少しフラフラしながらも、オリジンに向かう。
「この魔法にはまだ名前が無い」
オリジンの手に触れる。
それだけで、腕がボロボロと崩れ去った。
「無機物のお前に有効な魔法」
もう一つの腕にも触れると、腕が簡単に崩れ去る。
「この魔法は分子を分解、崩壊させる」
オリジンの胸の中心…一番輝いている所に到着し、胸に掌を当てた。
「なぁオリジン…俺は…」
胸に触れると、オリジンがボロボロと崩壊していく。
「強いだろ?」
オリジンは崩れ去った。
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時間の加速が元に戻り、ズキズキとする頭を抑え、勝利の余韻に浸った。
「ぐっ…いってーな頭」
少しふらつくが、直ぐにアイが寄り添いカナンを抱き締める。ひんやりと冷たい身体が気持ち良かった。
「アキ、格好良かった」
「ははっ、アイのお陰だよ」
ダイヤモンドの残骸を眺める。オリジンの色を失い、透明な輝きが乱反射。圧倒的な美しさを持つが、生命活動は無い。
「なあアイ?」
「ん?」
「俺達さぁ…」
「なーに?」
ダイヤモンドの山を見る。世界一綺麗な山だなぁ…と考えていたが、ダイヤモンドの価値は地球と似て高価な宝石…
「大金持ちじゃね?」
「ウフフ、そうね。プレゼント期待してる」
「いいぜ、何が良い?」
「もちろん結婚指輪よ」
「………」
「永遠の輝き」
「………」
「私がんばった」
蒸発した左腕を見せる。頑張った証を見せ付けるようにウリウリしながら…時間を置けば復活する事は知っていたが、見せ付けられると心に来るものがあった。
「………ネックレスで手を打たないか?」
アイが睨む。
カナンも負けじと見つめる。
ここで折れたら駄目な気がした…
「「………」」
睨み合いが続く。徐々にアイがムスーッとしてきた。それでもカナンは譲らない。
「………はぁ、今はそれで我慢してあげる。今は…ね」
なんとかアイが折れたようだが、諦める様子は無く…
「ウフフ」
「ははは」
笑っていない目を持つ二人が笑い合った。
この戦いで…
この地域一帯には赤色の魔力が撒き散らされ、赤色の魔力が増加する事になった。
ピシ__
それは、赤色の魔物の力が増大した事になる。
この地域は帝国の近く…
すなわちそれは、赤の封印が綻ぶ事を意味する。
ピキピキ__
崩壊~七色複合禁術、対象に触れると分子を分解、崩壊させる魔法、無機物や人間などの生物には絶大な効果があるが、アイなどの魔法生命体には効果が薄い。




