山へ
空を飛び南東を目指し、山脈に到着していた。
『この山?』
「いや、山脈だから多分違うんじゃないか?」
さらに南東を目指していくと、高い山が見えてきた。
「おっ、あれかなー」
近くに街や村があるようには見えない。精霊が教えてくれた通りの場所。森に囲まれた高い山。
「辺境に近いのかな? この感じは、霊山か何かか?」
山の近くに到着。確かに高い山で、標高三千メートルはあるように見える。
大地が少し揺れ、何か異変が起きている様子だが、まだ何が起きているかも解らない。
魔力を調査してみるが、山全体に魔力が通り、磁場の乱れが激しい。
「確かに地震みたいなのあるな……精霊達! 居たら反応してくれ!」
カナンが呼び掛けるとしばらくして、ふよふよと精霊が寄ってきた。アイと精霊が交信。
『アキ、山の中腹あたりに居るそうよ』
アイは遠くの交信は出来ないが、近くなら精霊と話せる様になっている。魔力体の身体同士で波長が合っているので、直ぐに仲良く会話している。
「行ってみるかぁ、ありがとな!」
精霊が点滅して、ふよふよと森に帰って行った。
カナンは中腹に到着。
大地の揺れが先程よりも激しくなっている。
「なぁ…あれかな?」
『多分あれね』
そこには不自然な岩の塊があった。大きさは百メートルを超え、歪な形…拳の様な…
「でかいな」
『でかいね』
「なんの魔物だろうなぁ…岩の塊かぁ…」
『なんか動くよ』
カナンとアイの魔力に反応したのだろう。
百メートルはあろう大きな岩が、大きな揺れと共に起き上がる。
「なんだ? 大きな…手?」
『じゃんけん強そうね』
立ち上がる大岩。その形は巨大な腕。
ゆっくりと拳が開き、カナン達の方向を向く。
「ロックハンドの親玉? にしてはでかすぎるなー…なんだコイツ」
『ウフフ、なんだろうねー』
そして、その手がカナンに振り下ろされた。
ブォオオン!__
「__うおっ!」
ドオォォォ!__一気にビルが倒壊したような破壊音が響く。先程とは違う速い動きに、カナンの頬に冷や汗が流れる。
「あぶねえー…」
そして、またゆっくりと起き上がり、振り下ろそうと巨大な拳が握られる。
「何かわからんがぶっ壊すぞ!」
カナンは魔法を発動。
赤、灰、黄の魔方陣を展開。
岩の塊が振り下ろされた隙に、拳の後ろに回り込む。
「__アダマント・パイルバンカー!」
直径十メートルを超える大きな金属の杭が出現。
ドォォン!__爆発の推進力で巨大な手に突き刺さる。
「__バースト!」
ボゴォォン__カナンの言葉と共に、金属の杭が爆発。
破裂音と共に内部から巨大な手を破壊する。
一撃。ガラガラと内部から破壊された巨大な拳は、脆くも崩れ去った。
「…なんの魔物だったんだ? 記憶にあるような無いような…」
『これで終わりかなー?』
ゴゴゴ…
「終わりなら楽な仕事だなー」
『一撃だったね。格好良かったよ』
ゴゴゴ……ゴゴゴ……
「ありがとなー…あー…やっぱり終わりじゃないかも」
『ウフフ、そうね』
ゴゴゴゴゴゴ!__
ドオオン!__再び巨大な腕が現れる。
「あー…仲間が居たのか…ん ?なんか違う」
違うところは、手の向き…
「えっ? うそ…もしかして。さっきのは…左手?」
『後は何が出るのかな?』
ゴゴゴゴゴゴ!__
「やめろ、それはフラグ……だ」
ドゴオォォオオン!__爆発するように生まれたソレは…
『グオオオオオオオ!』
巨大な顔。
岩で出来た目の場所に、窪みがあり、鼻は無く、巨大な口がある。
「なんだこれ、こんな大きさ…ゴーレムじゃない…こんな魔物知らねえぞ…」
高さは百メートルを超え、横幅は三百メートルを軽く超える。
首は無く、後頭部は埋まっている仰向けになった顔。
続いていた揺れが収まる。
巨大な顔と、横の地面から生える腕の魔物。カナンの記憶に無い未知の魔物が現れた。
「アイ、出てこい。本番だ」
『がってん』
やはり、簡単にとは行かない様だ。
アダマント・パイルバンカー~火、土、無属性複合超位魔法、大きな金属の杭を打ち出し、バーストの言葉で杭が爆発する、カナンオリジナルのロマン魔法




